タニタのバーチャロンの大会に出たら「もしかしたらマジで、今からでもバーチャロンってeスポーツとして定番化も夢ではないのでは?」と思った話:マシーナリーともコラム(2/4 ページ)
マシーナリーとも子セレクトベストバウトを取りあえず見てくれ
と、前説はこんなところにしといてせっかくアツいバトルが繰り広げられまくったので、私が大会を通してこう思ったああ思った言うよりはとっととすんげーレベルの戦いを見てもらっちゃおうかな。全部Web配信されてたから後追い再生できるしね。これがeスポーツ時代のゲーム大会の良さだな。というわけで各部門から私なりに「うおお」と思ったバトルをチョイスしてみた。ゴタクはいいから取りあえず見ろ。
【OMG/決勝】むっちりを超えた存在[ドルカス]vs KGT[テムジン]
決勝は全勝で勝ち進んできた“むっちりを超えた存在”選手のドルカスに対して、氏に負けたことでルーザーズに送り込まれたKGT選手のテムジンがリベンジマッチを仕掛けると言う形。圧巻はKGT選手の回避行動。放射状に爆弾を投下することで前面に多数の火柱を発生させるドルカスのセンターウェポン「ファランクス」は非常に回避しづらい攻撃なのだが、それを華麗なダッシュキャンセル(これもOMGに限り入力が難しい)や、あえて動きを完全に止めることで回避。それに対応してむっちりを超えた存在選手も旋回して角度をズラすことで対応するなどヒリヒリした攻防がいい……。3ラウンド目の畳み掛けるような展開も見どころ。
【フォース/ウィナーズトーナメント準決勝】テツオEvolutionチーム(のすけ[VOX テツオ]ガーゴイル[VOX テツオ])vs サーフィング勇者様チーム(スミ[ライデン512A]チル[テムジン747A])
うなったのは2ラウンド目のライデン視点。開幕間もなくテツオの核ミサイルがヒットするという実際のダメージはもちろん精神的ダメージも大きかろう状況から果敢にダッシュ近接攻撃をキメてリードを奪う展開がアツい。対するテツオEvolutionチームも3ラウンド目では負けじとライAのダッシュ近接をガーゴイル氏のテツオがしっかりガードしリバサで返すなどキッチリ対応していく姿が対比となってまたスバらしい。この戦いではテツオチームが敗れるも、ルーザーズを勝ち残り決勝で再激突というのが「ドラマ〜〜!」となってよかった。なので決勝も見るべし。
【オラタン/ルーザーズトーナメント準々決勝】BA.[サイファー]vs 鈴蘭やくも[サイファー]
バーチャロンはよく分からないけど声が出るようなバトルが見たいぜという人類におすすめなバトルがこちら。ゲーム中最高のスピードとティッシュペーパーのような装甲を持つサイファーのミラーマッチなのだがあまりに攻防がギリギリすぎて観戦側も「ウオオ!」と声が出てしまう、精神の削り合いマッチ。よくスポーツものやバトルものの作品で「力量はまったく互角なので後は精神力の勝負だ……」みたいな言われ方をする戦いが出たりするけど、これはまさにそれで見てるほうも脳の端っこをカリカリ削られてるような感覚を味わえる。
マジでeスポーツとして定番化も夢ではないのでは?
いや、上記の対戦たちマジですごくない? ちょっと「マジでバーチャロンでeスポーツ流行ってほしいな」と思ってたのがかないかけてるじゃん。
最初に貼ったけどオラタンの決勝戦、これ見てよ。マジですごいでしょ?
ライデンのネットからのダッ近を高速レバガチャで抜け出しつつガードし、返す刀でブルー・スライダーをキメるというあまりにも出来すぎたムーブ。それを見て声を出す一同。こんなの、こんなの美しすぎるじゃん……限定戦争やんけ!!
この最終戦を踏まえて、私は『CYBER TROOPERS VIRTUAL‐ON REFERENCE SCHEMATIC -電脳戦機バーチャロン副読本』より、以下の文章を引用したい。
但し、いくつかの問題点はある。DNA内で編成されたVR部隊が、数々の実践を経てまとめあげた報告書には、VRのセールスポイントになりうる数々の特徴が列挙されている。その中で最も興味深いものの一つに、VR同士の近接戦闘が挙げられている。このハイリスク・ハイリターンな戦闘法は、従来の兵器では実現し得なかったVRの高機動力と高攻撃力による賜物で、一般規定に基づく限定戦争の本質に叶ったシチュエーションが形成し得る。しかるに現用VRは、そのいずれもが近接戦闘に対応した装備が施されていない(後略)。
「電脳戦機バーチャロン」シリーズの世界では、戦争は「限定戦争」と呼ばれるショービジネスと化し、人々がエンターテインメントとして消費するために戦いが行われている。そんななかで「二足歩行ロボットによる戦いは戦車や航空機といった従来兵器による戦闘よりはるかに見栄えが良く、いい商売となり得る」という理屈が、この作品世界内で「なぜわざわざ人型ロボットで戦わなければならないのか」の理由付けとなっている。
上記文章はトンファーを装備した近接戦VR「アファームド」の開発の経緯について触れられたもの。導入当初のVRは、せっかく人型の兵器でありながら運用に難があり、面倒でありつつ戦いは撃ち合ってばかりでパッとしない。やっぱりロボットなんだから殴り合いをしなきゃダメだろう、殴り合いできるVRを作らせろという意見が書かれている。
この決勝戦を見たとき、私はこの文章を思い出して「本当じゃん! VRって殴り合いしたら超盛り上がるじゃん!!!!」と叫んでしまった。そして限定戦争という、ゲームを成り立たせるためのフレーバーでしかない設定が、eスポーツという形でほぼ実現しているその光景に感動を覚えた。これはマジで、いまリアルな「バーチャロン」を見てしまっているんじゃないか? マジでロボット同士がかっこよく戦う姿に魅せられてしまっているじゃないか……。
思えば「OMG」も「ゲームセンターの筐体が実際のバーチャロンの適性テストと、実戦に向かっているVRの遠隔操作である」というリアルとバーチャルを融合させた設定のゲームだった。今も昔もバーチャロンは現実を侵食してくるんだなあ……。
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