「深谷ネギみたいなスティックシュガー」がかわいいと話題に 発案者は旅館のおかみ、渋沢栄一にまつわる開発の経緯を聞いた
埼玉・深谷は大河ドラマ「青天を衝け」の舞台にもなっています。
「親父が地元でもの作って売ってるんだけど、この不況で売れないからって捻り出した答えがこのスティックシュガー。親父……」というツイートが話題になっています。ネギそっくりのスティックシュガーが、これまた本物そっくりのネギ箱に入っているかわいらしい一品です。商品発案者に、開発のきっかけと、渋沢栄一の出身地でもある地元・深谷への思いを聞きました。
この画像を投稿したのは、TwitterユーザーのENEMYS Souさん(@enemys_sou)。「深谷ネギみたいなスティックシュガー」の発案者は旅館「きん藤(きんとう)」のおかみで、協力して開発・製造したのが投稿者の父親が経営するはやし物産です。Twitter上ではこの商品に対して「めっちゃいいじゃないですか! かわいい!」「ぜひ買いたい!」と言った声が寄せられています。現在ネット通販は行っていませんが、きん藤、ふるさと館オーク、大河ドラマ館で販売されています。きん藤のおかみに、開発の経緯を聞きました。
――「深谷ネギみたいなスティックシュガー」がTwitterで話題になっているのはご存じでしょうか? その反響は旅館にも届いていますか?
はい、周りから聞いてびっくりしています。若い方にいいねといってもらいうれしいです。旅館にTwitterを見て買いに来たという方はいらっしゃいますし、バズってから近所の「ふるさと館オーク」に置く量を増やしたところ、毎日かなり売れてるそうです。
――「深谷ネギみたいなスティックシュガー」を開発した経緯を教えてください。
深谷市が大河ドラマ「青天を衝け」の舞台となり、大河ドラマ館が来ることになったため、2020年の今頃、商工会議所でお土産開発の講習会が開かれました。そこで、深谷は今まで観光地ではなかったのでお土産を作ろうという話になり、「これは何かしないともったいない」と思い、30分の車通勤中に考えたのがネギシュガーでした。
忘れないようにチラシ裏に絵を描いて、翌日社長に見せましたが、その時は「売れないだろう」と却下されました。そこで親戚の会社(ネギシュガー製造元のはやし物産)にも見てもらったけれど、そこでも却下されてしまいました。
商品開発は素人なので、「だめかもしれない」と思いましたが諦められず、女性の意見を聞いてみることにしました。旅館も製造会社も社長は男性なので、女性の意見を聞いていなかったんです。そこで若おかみの会議でこの話をしてみたところ、皆から「かわいいから絶対売れる」と言われたので、その言葉を引っ提げて社長と製造に掛け合いました。すると「試しに一回分作ってみよう」ということになったのです。
Twitterでこの品を紹介してくれたのは、製造会社の社長の子どもで、私の遠い親戚でもあります。まさか若い人にウケるとは思いませんでしたが、今回こういう形で広まって、本当にありがたいです。
――大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一は深谷出身ですが、観光客の増加など大河ドラマの影響は感じていますか?
遠くから来ましたという人も少しいらっしゃいますが、やはり緊急事態宣言中のため少ないです。2020年の暮れまでは渋沢栄一目当ての観光客の方でいっぱいだったのですが、緊急事態宣言でさっぱりいなくなってしまいました。今は旅館の方の潤いは全くなく、取りあえず開けてるだけという状態です。
――コロナ禍で大変な状況ではありますが、深谷に興味を抱いた方に向けて伝えたいことなどはありますか?
深谷はいい街なんです。田舎な部分も残ってますし、古い建物があったり酒蔵があったりして、歩くと発見が多い街です。商店街も頑張っています。大河ドラマを見て気になった方は、ぜひ観光ついでにネギシュガーを買いに来ていただければうれしいです。
渋沢栄一の思いが息づく街
大河ドラマの舞台となり、注目の集まった深谷。そこから「深谷ネギみたいなスティックシュガー」という思わぬヒット商品が生まれました。おかみはこの商品について「製造会社も旅館もコロナ禍であまり業績が良くない状況で、自分だけでなく皆でもうかる案を考えたかった。渋沢栄一が『皆が幸せになるように』と言っていたのを思い出して、今回こういう形で実現できて良かったです」とコメントしています。渋沢栄一生誕の地には、今も彼の思いが息づいていました。
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