「お金配り」「お金贈り」、税制上の取扱いがどうなるの?

見極めが必要です。

» 2021年03月03日 18時40分 公開
[さんきゅう倉田ねとらぼ]

 Twitterでは、自分がフォローしている人間に偏りがあると気付かないことがあります。今回ねとらぼスタッフの方と打ち合わせをしていて「お金配り」「お金贈り」という言葉がでてきました。まったくなんのことか分からず確認すると、ある著名人が個人にお金を寄付することを「お金贈り」などと命名して、実施されていたんですね。

さんきゅう倉田

大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイトTwitter


お金配り 日本はお金の話をすることを“よくないこと”と捉える傾向が強い?

 その方が100万円をTwitterのフォロワーに寄付していたことは知っていましたが、現在では、一緒に500万円寄付する人を探したり、特定の分野で頑張っている人を応援したりと、寄付の幅を広げてらっしゃいます。寄付が一般化して、誰でも当たり前に寄付を行うようになり、富の再分配が進むかもしれません。

 一方で 、「100万円を配る」と言ってフォローとリツイートを促す模倣的な人もたくさん現れました。そのような人が本当にお金をくれるとは個人的には思いませんが、簡単な作業で夢が見られるためか拡散されています。

 日本では寄付をしても公表しない人が多く、アメリカは比較的公表する人が多いという話をよく聞きます。

 寄付する人が少ないとは思いません。日本はお金の話をすることをよくないことと捉える傾向が強く、寄付を公にすると「こっそり寄付するのが美しいのに、金持ち自慢するな」などと批判されてしまう。だから、公表を控える人が多い。寄付したんだから、自慢くらいさせてほしいと思いますが、世間の一部は許さないんですね。

 以前、とても大きくて有名な検定協会の代表に、どうしてお金持ちや成功者は寄付をするのか、聞きました。贖罪だと。成功の過程で大なり小なり悪いことをし、後悔している。だから、罪を償うため、心を雪ぐために寄付を行うと言っていました。協会としてたくさんの寄付を受け、自分自身もたくさんの寄付を行う過程で、そのような考えに至ったようです。

 100万円が配られるようになった頃、100万円をもらった場合の税制上の取扱いはどうなるか、よく話題になっていました。

 贈与は110万円まで申告不要だ、いや一時所得だから50万円を超えたら申告が必要だ、そんな議論に発展していたと記憶しています。では、お金を配る側の処理はどうなっているのか。複数あると思います。

 まず、個人でお金を配っている場合は、単純な贈与で特段の税務上の処理はしていないと思います(事業として配っている人もいるかもしれませんが……)。

 法人からお金を配っている場合は、「寄付金」として処理することになります。ただ、100万円をたくさんの人に配っても、節税になるようなことはありません。

 お金を配る法人によっては、「広告宣伝費」として処理している場合もあると思います。自社名やタレント名が拡散され、フォロワーが増えるという効果があるので、そのための費用だと考える人もいるでしょう。その後の売上アップにつながるかもしれません。

 あくまで寄付のつもりで個人的に配る、外見はそうであるが実際は個人・法人の宣伝として行っているなど、場合によって税務上の処理は異なります。

 実際に100万円は配らず、知り合いに振り込んで記帳された通帳の写真を送ってもらい、それを証拠として投稿する人もいると聞きます。そもそも、誰にも振り込んでいない人もいるでしょう。軽率な拡散で誰かを不幸にしてしまうこともあるので、内容や発信者をよく確認して行うようにしましょう。

お金配り 中には実績がなくただフォロワーを増やすために使われることもあるのでご注意を

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