ライブが中心の芸人たちの仕事に変化は? 緊急事態宣言下での今後の生活に思いをはせると恐怖

耐えられるのか……。

» 2021年04月29日 10時30分 公開
[さんきゅう倉田ねとらぼ]

 ついに、3度目の緊急事態宣言が発令されました。

 東京などの一部地域では、まん延防止等重点措置(まん防)適用中のさらなる制限となります。飲食店は20時までの時短営業を行っていましたが、酒類を提供する店は休業することになります。

 筆者は渋谷に住んでいますが、これまで20時を過ぎて営業しているチェーンのラーメン店や居酒屋には、連日行列ができていました。時短要請を無視して営業している店はとても少ない。何百件も店がある中、堂々と開いているのは確認した限り2軒だけです。

 事情は分かりますが、要請に従い補償金を受け取る選択が個人的には望ましいと思います(補償金が適正かは別議論として)。先日、仕事で知人2人と会ったところ、飲食店の営業時間が20時までとなっていることを知りませんでした。新聞やテレビを見ていないだけでなく、まん防の不徹底が招いた悲しき無知です。

さんきゅう倉田連載

さんきゅう倉田

大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイトTwitter


今までと異なる緊急事態宣言

 菅首相は記者会見で「ゴールデンウイークの機会を捉え、効果的な対策を短期間で集中して実施し、ウイルスの勢いを抑え込む」と言っていました。対象は東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で、期間は4月25日(日)〜5月11日(火)となっています。

 要請の内容を見ると、飲食店は20時までの時短営業、カラオケの使用や酒類を提供がある飲食店は休業、イベントは無観客、鉄道やバスは平日の終電繰り上げと週末・休日の減便、勤務地への出勤者7割減、部活動の自粛、床面積1000平方メートル超のデパートは生活必需品エリアを除いて休業、映画館や美術館も床面積に応じて休業、テーマパークや遊園地は休園となります。なお、各都府県の知事は要請に応じない事業者に対して「命令」することができ、拒否した場合は30万円以下の過料を科すとしています。

 スーパーやコンビニに対する要請はありませんが、渋谷駅周辺の路上で100人を超える人たちがアルコールを飲んでいる様子を2カ月以上見ていると、20時以降の酒類販売を禁じるといった議論も起きかねないのではないかと強く感じます。

ライブが中心の芸人さんたちの仕事に変化は?

 ぼくの同期の芸人は、今回の緊急事態宣言中に単独ライブを予定していましたが、無観客での実施を避け、延期しました。

 お笑いライブの多くが、配信可能となっていますが、劇場で見るのと映像で見るのでは、演者にとっても客にとってもざまざまな点で大きな違いがあります。端的に言えば、劇場で見る方が面白い。延期が賢明だと思います。

 また、ゴールデンウイーク中の営業の多くが中止となりました。営業とは、芸人が家電量販店や競馬場、企業のイベントに行って、ネタやトークを行うものです。人が集まる場所に行かずに実施することはできません。政府の一律「無観客で」という要請は、現実にマッチしておらず、多くのイベントが中止、予定していた収益も発生しないこととなります。しかし、イベントの主催者や出演者に対する補償はありません。

 政治家や公務員は、緊急事態宣言が出ても歳費や俸給が出るかもしれませんが、イベントで生活している人たちはどうなるのでしょうか。例えば、お祭りの屋台の事業者やイベントMC、テーマパークの運営者は一時的にでも売上が0になります。その損害は計り知れません。

休業や時短の補償はどうなっている?

 都府県によって対応は異なりますが、東京都は要請に応じた飲食店に1日4万円〜20万円、大型商業施設には1日20万円、そのテナントには1日2万円、一部の劇場や運動施設などにも1日2万円を支給します(4月27日時点)。休業を要請された経営者や個人事業者の売上減少や今後の生活の思いをはせると、恐怖すら感じます。

さんきゅう倉田連載

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