【知ってる?】初代ロマンスカーに「展望席」はなかった:月刊乗り鉄話題(2021年5月版) 「小田急ロマンスカー」まめ知識(1)(3/4 ページ)
【ロマンスカークイズ 2】「ロマンスカー」はいつから走り始めた?
- (A) 1927(昭和2)年 戦前
- (B) 1949(昭和24)年 戦後すぐ
- (C) 1957(昭和32)年 高度成長期
【解答】1927年の“京阪電鉄"。(小田急ではなかった)
正解は(A)の1927(昭和2)年です。想像以上に昔からありました。
そして小田急電鉄ではなく、はじめは関西圏の「京阪電鉄」でした。京阪電鉄の社史によると、日本で初めて「ロマンスカー」として宣伝された電車は、京阪電鉄の京阪線(天満橋〜三条)に導入された急行電車「1550型」でした。
当時、鉄道車両の座席は4人向かい合わせのボックスシートかロングシートでした。1550型は転換クロスシートを搭載し、2人掛け専用席が同一方向に並びました。その様子が映画館に似て、珍しかったと思われます。ロマンスカーの語源である映画館のロマンスシートも戦前からあったといえそうです。
このころからロマンスカーは「2人掛け座席の車両」の代名詞となりました。南海電鉄、参宮急行電鉄(現在の近畿日本鉄道大阪線ほか)、山陽電鉄などもロマンスカーを走らせました。関東でも小田急電鉄のほかに、東武鉄道などもロマンスカーを走らせました。
その後、小田急電鉄以外の会社はロマンスカーの愛称を使わなくなり、使用するのは小田急電鉄だけになりました。2021年現在「ロマンスカー」は小田急電鉄の商標になっています。
ちなみに(B)の1949年は、「小田急電鉄のロマンスカー」が走り始めた年です。ロマンスカーミュージアムに飾られる車両よりもずっと前でした。「1910形」といいます。
1910形は何だかレトロな雰囲気です。流線型でもありません。扉付近がロングシート、中央部は4人掛けボックスシートでした。ロマンスシートの趣ではないかもしれません。しかし、当時の小田急電鉄はこの車両でポスターを作り「ニュールックロマンスカー」というキャッチコピーを付けました。従って、小田急ロマンスカーの起源はこの車両です。
1910形は座席こそありきたりのセミクロスシートでした。しかし3両編成の2両目には喫茶サービスコーナーを設け、当時ハイカラな紅茶を座席に届けるサービスがありました。
このサービスは日東紅茶が商品のPRという名目で始めたそうです。後に森永も参入しますが「ロマンスカーと日東紅茶」のお付き合いはここから始まっています。沿線案内係として「ウグイス嬢」も乗務していました。現在で言えばアテンダントさんですね。
1950年に小田急電鉄の電車は箱根登山鉄道の箱根湯本駅に乗り入れます。特急列車の乗客が急増したため、新たに転換クロスシートの「1700形」が登場しました。これが初の「ロマンスシートのロマンスカー」。初代ロマンスカーだった1910形は特急の任を解かれ、ロングシートに改造されてしまいます。
なお(C)の1957年は「小田急ロマンスカー3000形(小田急3000形電車)」が誕生した年です。流線型の美しい姿、バーミリオンオレンジの塗装が斬新でした。鉄道に新しい時代がやってきた! 当時の人々は驚き、憧れたことでしょう。小田急の箱根行き特急は大人気となり、こうしてロマンスカーの名前が定着したのでした。
【ロマンスカークイズ 3】小田急ロマンスカー3000形が達成した「偉業」とは?
【ロマンスカークイズ 3】小田急3000形の偉業とは?
- (A) スピードで世界最高記録を作った
- (B) 日本で最初に連接台車の実用化に成功した
- (C) 日本で初めて冷房装置を搭載した
(正解は次のページへ)
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