プロが本気で撮ったポケモン見たくない? 『ポケモンスナップ』で写真に目覚めたフォトグラファーが語る「博士に何を言われても撮りたい作品」(1/2 ページ)

「ポケモンスナップ」をきっかけにプロの道へ進んだフォトグラファー・AYATO.さんにインタビュー。

» 2021年06月02日 20時30分 公開
[戸部マミヤねとらぼ]


 2021年4月30日の「New ポケモンスナップ」発売から約1カ月が経過しました。

 22年ぶりの完全新作で、並々ならぬ期待を抱いていた前作ファンも多い同作。そんな経験者をまず驚かせたのが、プロカメラマンとして成長した前作主人公・“トオル”の再登場でした。彼の出演は完全にサプライズでしたから、直撃世代の皆さんは「おいお〜い!! 来るなら連絡しろよ〜!!」と同窓会気分を味わったのではないでしょうか。旧友と顔を合わせる機会が減った昨今、パラスに炎技を撃つように効果抜群だったといえるでしょう。

 そうした中、懐かしいトオルの顔を見て、単なる“郷愁”以上の感情を覚えた人もいます。「ポケモンスナップ」をきっかけに写真の道に進んだプロフォトグラファー、AYATO.さんです。

 AYATO.さんはアクション撮影を中心に活躍するフォトグラファー。その原点は「ポケモンスナップ」にあるといい、Twitterのサブアカウントに“プロのカメラマンが本気で『New ポケモンスナップ』に挑んだ写真”を投稿しています。

 AYATO.さんが撮影するポケモンからは、生命力が発露する瞬間を切り取ったような、エネルギッシュなかっこよさ・美しさが感じられます。静止画なのに「動いてる!!!」と思わせる躍動感。どうすればこんな写真が撮れるのでしょうか?

 プロ目線で見る「New ポケモンスナップ」の面白さ、写真撮影に使えるスキルなど、ますますゲームが楽しくなる話をAYATO.さんに聞きました。

博士に何を言われても「伝えたいもの以外は省く」! “ポケモンの魅力”と“自分の個性”を引き出すために

――まずはAYATO.さんのプロフィールをお聞きしてもよろしいでしょうか。普段はどのようなお仕事をされているのですか?

AYATO. アクションフォトグラファーとしての活動がメインです。代表的な仕事では、RED BULLの契約フォトグラファー、ダンスプロリーグ「D LEAGUE」のオフィシャルカメラマン、ダンスチーム「RAB(リアルアキバボーイズ)」の専属カメラマンをしています。


――人とポケモンの違いこそあれ、アクションの最高の瞬間を捉えるという意味では、通じる物を感じますね。「ポケモンスナップ」をきっかけに写真の楽しさを知ったとのことですが、詳しく教えていただけますか?

AYATO. 今でこそスマホで気軽に写真を撮れますが、当時は小学生がカメラに触れる機会なんてそう多くありませんでした。11歳だった僕にとってもそれは同じで、写真撮影自体が特別な体験だったんですね。

――カメラを持つとちょっと大人になったような気持ちになりましたよね。

AYATO. 「ポケモンスナップ」は、そんな特別な体験を子どもながらに味わえるゲームで、ずっと飽きずに遊んでいました。自分でシャッターを押したタイミングが形として残ることがとにかく楽しかった記憶があります。

 そこから写真に興味を持ち、親からカメラを借りて近所の風景写真を撮り始めた原体験が今の仕事につながっています。

――それだけ思い入れがあるなら「New ポケモンスナップ」が発表されたときも相当うれしかったのでは?

AYATO. それがそうでもなくて、正直なところ「あーー懐かしい、また出るんだ」くらいの感覚でした(笑)。今思えば、うれしすぎたからこそ、発売までの期間を長く感じるのが嫌で、本能的に感情を抑えていたんだと思います。発売日が近づくにつれてそわそわするようになり、当日は午前中から買いに走っていました。


――そんな発売の興奮冷めやらぬままにトオルが登場し、冒頭のツイートにつながったわけですね。他に第一印象で心動かされた点を教えていただけますか。

AYATO. 1番を挙げるのであれば、ポケモンが自然体で生活していると感じた点です。ポケモンが画面の向こうで、しっかり生きているなと。

――今作は「ポケモンの生態」がコンセプトのひとつになっているそうで、相当力を入れた部分なのだと思います。

食事したり、縄張りを争ったり、生きたポケモンたちの姿が描かれている

AYATO. そうですね。このゲームを企画・制作した皆さんは、ポケモン愛にあふれた方々なんだろうなと強く感じました。

――フォトグラファー目線で進化したと感じる点はありますか?

AYATO. ボケ感の調整やトリミング、加工機能が追加されて、同じ場所から同じポケモンを撮った場合でも、他の人とは違う自分らしさを出せるようになりました。(プロとして)写真を撮る上では、他の人と違う“個性”の発揮がとても重要ですから、よりカメラマンらしい体験ができる方向に進化したと感じています。

――なるほど。それでは、AYATO.さんは“個性”を出すために、どのような工夫をされているのでしょうか?

AYATO. 僕の場合は「伝えたいもの以外は省く」を徹底していますね。

 例えば「かわいい」と思える写真が撮れたならば、その写真のどの要素が「かわいい」と思わせるのかを考えるんです。

 「表情がかわいい」のであれば画面いっぱいに顔が写るようにしますし、他のポケモンや背景との「関係性がかわいい」なら必要な要素のみを画面に入れます。写っていなくても構わないものは、極力入れないようにしています。あくまで僕の方法ですけどね。

――博士を喜ばせようと“あれもこれも”と盛り込みすぎても良くないわけですね(笑)。加工に関するこだわりも教えていただけますか?

AYATO. 加工の考え方も同じです。まずどう見せたいかを考えて、テーマに沿った加工だけを選んでいけば、自然と自分らしい写真になっていくのではないでしょうか。

 例えば、コントラストを上げれば強く鮮やかに見えますし、下げれば軽くあっさり見えます。感覚的で正解もない難しい工程ですが、チャレンジした先に自分の個性が生まれると思っています。どの加工でどう印象が変わるのか、自分の感覚を大切にしながらいろいろ試してみてください。

「雨フレーム」を使った写真。加工を使えば写真に物語を持たせられる



 ポケモン対戦が時間泥棒な“沼”であることはファンに周知の事実ですが、“正解がない”点で「ポケモンスナップ」は対戦以上に底が見えないコンテンツかもしれません。

 AYATO.さんは6月1日より自身のTwitterで「New ポケモンスナップ」の写真コンテストを開催中。既にカメラを置いてしまった人も、こうした交流をモチベーションに、“誰かに見せたい”と思えるような、自分だけの個性が輝く写真に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 次ページには、AYATO.さんが撮影したお気に入りの写真をコメント付きで掲載しています。あなたの写真をもっと魅力的にするヒントになるかもしれませんよ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」