サメがクソみたいなCGで襲ってくる映画「BAD CGI SHARKS 電脳鮫」 映画祭で上映拒否されまくった怪作、堂々配信開始(2/3 ページ)

» 2021年06月10日 12時00分 公開
[サメ映画ルーキーねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「BAD CGI SHARKS 電脳鮫」に登場するクソCGザメは本作をメタ・サメ映画たらしめている重要なキャラクターだ。数多のサメ映画の情報をネットで収集した彼女(多分メス)はサメ映画におけるサメの扱いに怒り狂い、サメによるサメの為のサメ革命を企てるに至る。

3DモデルのXYZ軸を露出したまま街を徘徊するサメ

 MaJaMaの3人がそれぞれ演じるキャラクターも非常に魅力的である。マッテオが演じるバーナードは映画を現実にする魔法の力を持つキーマンでありトリックスターだ。彼はわれわれ観客に「直接」語りかける、いわゆる “第四の壁” を自覚したデッドプール的存在である。

 どこまでも自分の夢を信じてやまない兄ジェイソンと夢を諦めてしまった現実主義者マシュー(実際に2人は兄弟)、そして“3人目の兄弟”であるサメのぬいぐるみチャムレー達が見せる兄弟愛にも注目してほしい。

ジャケットデザイン:ヨロコヴ(@yorokovu0721

 本作はサメ映画であるにもかかわらず、ちゃんとしたテーマがある。それは「夢と創作の力」だ。フィクションはどこまでも行ってもフィクションだが、そこからメッセージを受け取った人々は時に現実を変えるほどの力を得る。

 不幸にして人喰いザメを呼び寄せてしまう元凶となった兄弟の脚本は、ジェイソンとマシューの子ども時代の夢がたっぷりと詰まっていたからこそ強烈な力を発揮する。しかし彼らのかつての夢は今の、そしてこれからの夢へと変わっていく。

 「クオリティーなど関係ない。創造する事をためらうな」というのがぶっ飛んだサメ映画たちの重要なメッセージだと私は勝手に解釈しているが、本作はそれを最も分かりやすい形でわれわれに提示してくれているのではないかと思う。

 この作品が世に出るまでにかなりの紆余曲折があった事も知っておいてほしい。情熱に満ちたチームMaJaMaは数々の映画祭に本作を出品し、ことごとく上映を拒否された。その数は60以上に及ぶ。最終的にイギリスの国際コメディ映画祭で受賞した時は喜びもひとしおだっただろう。

 日本上陸を達成するまでにも長い道のりがあったが、それを一番待ち望んでいたのは他の誰でもない監督達である。監督の1人ジェイソンはもともと日本の怪獣映画をこよなく愛しており、日本のサメ映画ファンの層の厚さと熱量の高さも知っていた。日本配給が決まる前から日本向けのプロモ映像を作ってしまう程の気合の入り様である。

 しかし、私やSRSの社長の必死の営業努力も虚しくあらゆる日本の配給会社は全く興味を示さなかった。だが最後の最後でコンマビジョンが手を挙げてくれたのだ。サメ映画に関してはもはや「コンマビジョンしか勝たん」と言っても過言ではない状況である。

 自分の作品の一部がアダルトサイトに無断転載されているのを喜ぶような狂人達が作った狂ったサメ映画ではあるが、中身は確かだ。誰にでもオススメできるというわけではないが、アレな感じのサメ映画が好きなら本作もきっと気に入るはずである。どうかその目で彼らの大冒険の行く末を見届けてほしい。

サメ映画ルーキー


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」