バレたらポイント返還で一方的な幕引き? オンラインクレーンゲームが抱える問題点、業界大手5社に見解聞いた(3/3 ページ)
「連続プレイ中の設定変更を行った事例があるか」について尋ねたところ、取材に応じたすべての企業が「お客さまがプレイ中の筐体において調整を行うことは原則的にあり得ず、連続プレイ中に設定変更を行うことはない」との主旨の回答をしました。
また実店舗でのクレーンゲームサービスとオンラインクレーンゲームの両方を提供する企業においても、「実店舗、オンラインクレーン共に、連続プレイ中に機械設定を操作することはありません」、(タイトー)。「(連続プレイ中の設定変更は)実店舗、オンラインともにございません」(イオンファンタジー)との回答が寄せられました。
次に「連続プレイ中にメンテナンスに突入することはあるか」について尋ねたところ、「起きえないことについては回答できない」という回答を除き、「原則的には連続プレイ中にメンテナンスを行うことはありません」との回答がほとんどの企業からありました。
原則に反してメンテナンスを行う場合がなぜ存在するのかについては、「万が一、機械の故障やエラーが出てしまった場合はいたしかなくメンテナンスに入る場合がありますが、その場合は状況に応じて真摯に対応しております」とタイトー。
東洋も「物理的な筐体の故障、もしくは、お客さまが獲得された景品が在庫の最後の1個であった場合に関しては別景品を投入する関係でやむなく調整に入るということはありますが、その場合であってもお客さまに丁寧な説明を行ってご納得していただいたうえで実施するため、お客さまに分からないように設定を調整するといったことはあり得ません」としました。
またイオンファンタジーは「実店舗の場合は、品切れ、筐体故障等により一時プレイを休止とすることはございます。オンラインの場合も、マシーンエラー、通信不具合等で意図せずメンテナンスとなってしまう場合がございますが、意図的に連続プレイ中にメンテナンスに入れることはありません」との回答を寄せました。
誤ってメンテナンス画面に突入したり、連続プレイ中に調整を加えてしまったりする可能性はあるか」については、実店舗でもオンラインでもクレーンが動作しているかを目の前で確認できるため、誤ってメンテナンス画面に突入することはあり得ない旨の回答が主で、イオンファンタジーは「オンラインの場合、マシーンエラー、通信不具合等で意図せずメンテナンスとなってしまう場合がございますが、意図的に連続プレイ中にメンテナンスに入れることはありません」と回答を寄せました。
なぜ連続プレイ中の設定変更を行ってはならないのか
最後に「なぜ連続プレイ中の設定変更を行わないのか」「なぜ連続プレイ中の設定変更を行ってはならないのか」を尋ねたところ、各社より「お客さまの信頼を損なう不正行為であるからです」「ゲームプレイ中の設定変更は『不正』であると判断しているためです」「ユーザーへ不信感を与えてしまう可能性があるからです」「クレーンゲーム事業はお客さまとの信頼関係で成り立っている商売であり、連続プレイ中の設定変更はやるべきではないからです」「弊社以外のサービスの状況は分かりかねますが、実店舗、オンラインクレーンともに連続プレイ中の設定変更は行っておりません」との回答がありました。
サイバーステップを再取材
こうした回答を踏まえて、ねとらぼ編集部はトレバを運営するサイバーステップに再度取材を申し入れました。トレバについては2020年11月に掲載した記事において、個別のプレイヤーに対する連続プレイ中の設定変更2件については発生を認めたものの、原因は「スタッフのミスや機械の不具合に由来するもの」であったと取材後に反論。故意性について否定した上で、名誉棄損を理由に記事の部分的な削除を求める仮処分命令申し立てを行いました。尋ねた点は、以下の通り。
(1)顧客の連続プレイ中に筐体の設定を変更することはあるか。
(2)仮差し止め請求時の主張では、YouTuer、VTuberのコラボ時には、撮影時間内に獲得する景品数を定めていることから撮影のためにプレイ中に設定変更する場合がある、としていたが、広告案件では連続プレイ中の設定変更が行われているという理解でよいか。
(3)仮差し止め請求時の主張では、総プレイ数59万2938回と非常に多くのユーザーによる膨大な数のプレイの内わずか2回、連続プレイ中の設定変更がミスや不具合によって発生したとしても全く不思議ではない、とのことだったが、どうしてもこの程度のミスや不具合は発生するのか。また対策等を行っているか。
(4)連続プレイ中の設定変更についてプレイヤーからは「不正にあたる」との意見が上がっているが、運営会社から見ても「不正」にあたるか。もし不正にあたる、やってはいけないことという意見の場合、なぜやってはいけないのか。
(5)連続プレイ中の設定変更が起きてしまった場合、プレイヤーに対してどのような対応を取るか。
(6)顧客の連続プレイ中にメンテナンスに突入することはあるか。
(7)実店舗とオンラインでのクレーンゲームの一番の違いはどういうところか。
以上の7点について、サイバーステップからは「ご質問の件ですが、貴社の記事を巡る当社と貴社の係争は現在も継続中であると認識しており、ご質問への回答は控えさせていただきます」との回答がありました(取材時である5月24日時点)。
Aさんも言及していましたが、複数のプレイヤーから「YouTuberやVTuberのプレイ時は通常よりも設定がいいのではないか」「PR動画のように簡単には獲れない」旨の情報提供が寄せられていたため、ねとらぼ編集部は消費者庁に対し、そうした手法で撮影された動画広告がPR動画として公開されることに関する問題点を取材しました。
表示対策課の担当者は、「個別の事案についての回答ではなく、あくまでも一般的な回答」として、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であることを示す行為、または、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示については、禁止されている「優良誤認表示」(景品表示法5条1号)に該当する可能性があると説明。
また故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになるとのことでした。
経済産業省が2016年7月に「店舗内において客に遊技をさせることが想定されないことから、風営法第2条第1項第5号に規定する営業に該当せず、同法の規定による規制を受けない」との見解を示したことにより、実店舗を構えるゲームセンターに対しては風営法が適用される一方で、オンラインクレーンゲームサービスにおいては風営法の規制を受けないことが明確化されました。
急成長を遂げる一方、現在は同サービスを規制する法律や明確な基準がないため、今回の取材でアミューズメント大手5社や複数のプレイヤーが見解を述べている「連続プレイ中の設定変更が不正に当たるかどうか」についてもあくまで、業界内での常識、慣例といったものになります。
しかし、業界各社が今回のようなコメントを寄せることについては、「全国のクレーンゲームを楽しむユーザーにとっても心強い言葉になる」「健全化に向けての大きな進歩になる」との声がプレイヤー、運営会社双方から上がっているほか、規制する法律や明確な基準が不明確な状態についても双方から問題視されています。
オンラインクレーンゲームを取り巻く環境改善のためにも、ある程度の法規制が必要なタイミングに来ているのかもしれません。
(Kikka)
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これはどう見てもナイキのスニーカー。
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