「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」を漫画でレビュー ピーターの宿敵・マグレガーさんの愛すべき魅力は最新作でも全開です(2/2 ページ)

» 2021年06月25日 11時30分 公開
[直江あきねとらぼ]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ティーンエイジャーになったピーターの成長に注目

ピーターラビット
ピーターラビット

 今作でも、叱られているときに耳栓をしたり、悪態をついたりと、ピーターの茶目っ気は健在。一方で、一緒に暮らすことになったマグレガーさんの言うことをなるべく守ろうするなど、ピーターの成長ぶりも感じられます。前作を見ていると、相変わらずウザさ満点、さらに急に父親ぶり口うるさいマグレガーさんに対し、飛び蹴りをくらわさず我慢しているピーターの姿は「とても偉い……!」と感動してしまうほど。

 どんどん成長するピーターに対し、成長は全く見えてこないマグレガーさん。ピーター=子どものことを信頼できていないマグレガーさんの様子は、親として他人事とは思えませんでした。

 前作から数年経ったピーターを「本当の自分」を模索するティーンエイジャーとして描く今作は、自分の気づかいが周りの人に全然気づかれないときの虚しさや、本当の自分を理解してもらえないときの悲しさが、面白おかしくも丁寧に表現されています。生い立ちやこれまでの行動によって、周囲から「悪者」扱いされ葛藤するピーターの姿には、胸がちくりとしました。

出版社の思惑に翻弄されるビア

ピーターラビット
ピーターラビット
ピーターラビット

 そんな中、ピーターたちについて描いた絵本が見初められた画家のビアは、出版社を通して作品を大々的に売り出すことになります。しかし、商業主義の出版社により、彼女の作品はどんどんと変更させられていきます。

 周りの反応を見ながら、こうすればウケるだろうと考え、自分が最初ににやりたかったことや作りたかったものと離れたものが出来上がってしまった、という経験は誰しもあるはず。自分のやりたいことよりも世にウケるものを優先させがちな筆者も、身につまされる部分がありました。

ピーターラビット
ピーターラビット
ピーターラビット

 しかし、筆者が今作で一番面白いと感じたのは、出版社が提示してきたハチャメチャなストーリーを実際に映像で再現してしまうシーンなのです! 自分の世界観を大事にしていこうという話だったはずなのに、ド派手なアクションシーンこそが面白い、という矛盾は、イギリス流の皮肉なのでしょうか……?

 あるキャラクターがピーターを指して言った「バカじゃない、若いんだ。失敗もする」「良くも悪くもピーターは挑戦者」というセリフが印象的な今作。失敗を恐れずに挑戦をしてはじめて自己のアイデンティティは形成されるのだ、というメッセージは、名作絵本を実写化するという批判されやすい偉業を成し遂げた作品だからこそ沁みるものがあります。

 ところで、今作の邦題は「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」です。バーナバスって誰……? という部分は、ぜひ劇場でお確かめください。

ライター:直江あき(ブログ:気ままに夢見る記

ライター・漫画家。早稲田大学教育学部卒。一児の母です。ブログ「気ままに夢見る記」に漫画などをアップしていきたいと思っている。

前回までの「おこのみ若者映画いろいろ」

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」