日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた(1/3 ページ)

これがアラブのエンターテインメントか。

» 2021年06月26日 21時30分 公開
[ヒナタカねとらぼ]

 6月25日から、日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語」が新宿バルト9と梅田ブルク7で公開されている。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ

 どこかのアメコミ映画で見たような「日本人よ、これがアラブのエンターテインメントだ」(予告編は黒田崇矢ボイス)という挑発的なキャッチコピーが付けられているが、本編を鑑賞してみれば、その自信のほどにも納得できた。

 作画や物語の質は高く、なおかつ独自の要素も盛りだくさんの、圧倒的な娯楽性を誇る内容に仕上がっていたのだ。具体的な作品の魅力を記していこう。

「ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語」予告編

古谷徹と神谷浩史の関係性で飯がどんぶりで食える

 本作の大筋は「戦士たちが侵略者に立ち向う」というシンプルなものだ。大勢の軍隊がぶつかり合い、お互いの軍勢の中から強者を選び戦うという「代表戦」も展開し、かわいいゾウさんまでもがバトルに参加する。このスケールの大きさと娯楽性の高さは、日本でも熱狂的な支持を得たインド映画「バーフバリ」を思い出す方も多いのではないだろうか。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ

 もちろん、ヒロイックな主人公も活躍する。日本の観客にとって大きな目玉となるのは、その声を務めているのが「名探偵コナン」の安室透役などでおなじみの古谷徹ということ。元より特徴のある声が、確かな信念を持ち戦いに挑む一方で、その内面には迷いや弱さをも見せる複雑な役柄にとても合っていた。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ

 そして、その古谷徹ボイスの実直な青年の、ライバル的存在のニヒルな傭兵を演じるのが神谷浩史である。彼はキレイゴトが嫌いであり、初めは思想を巡って主人公と対立する。しかし、実は共に過酷な少年時代を過ごした過去があることも分かり、ツンツンしているように見えて「コイツ……本当は久しぶりに幼馴染の親友に再会できて喜んでいるんだろう……!」とジワジワと思えるようになっているのだ。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ

 筆者はここで「ライバルキャラがなんだかんだ言っても共闘して、肝心な時に助けてくれるやつだ」と思い始め、さらに物語が進むと「これをおかずにしてご飯何杯でもいけるな」となり、心の中で炊飯器のスイッチを押した。その予想は完全に当たっていた。「バーフバリ」的要素だけでもお腹いっぱいになれたのに、別腹で「どんぶりでいける! 何十杯でもいけるぞ!」という展開が雨あられのように待ち受けていたのである。

 古谷徹と神谷浩史のファンが必見なのは言うまでもなく、「お互いに憎からず思っている」関係性に萌えられる人は明日地球が終わろうとも見るべき1本だ。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ
日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ

 また、主人公は表向きは「愚直」なまでに真っすぐでブレないキャラだ。彼を批判するライバルキャラがいなければ、その複雑な内面の多くは伝わらなかっただろう。関係性萌えだけに止まらない、作劇上も重要なキャラクターを作り上げていることを称賛したい。

超豪華キャストと最強レベルのスタッフたちのタッグ

 古谷徹と神谷浩史の他のキャストも、中村悠一、中井和哉、三石琴乃、麦人など、日本の声優界のアベンジャーズじゃないかと思うほどの豪華さで、耳が幸せK点越えである。特に黒田崇矢の悪役はカリスマ性がありすぎて秒で服従したくなる。公式サイトでの掲載はないが、小太りで親しみやすいキャラに川田紳司がバッチリハマっているのもうれしい。各声優のファンが見ても、きっと満腹になれるだろう。

日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた (C)2021 マンガプロダクションズ
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」