小林プロデューサー×羽住監督のバイオ対談 空白の2006年描く、“サスペンス”としての「バイオハザード」とは(2/3 ページ)

» 2021年07月07日 12時00分 公開
[のとほのかねとらぼ]

3DCGアニメに実写映画の手法を

――3DCGだからこそできたなと思う描写はありますか?

羽住 自分自身が3DCGアニメ業界で育った人間ではないので、そこをうまく使いこなせない部分はありますが、一番の狙いはライブ感を大事にしたかったので、3DCGアニメの良さを120%使おうというよりは、実写の手法を持ち込んで実写映画を見ているような感覚を味わってもらえるようなアプローチをしました。3DCGアニメの限界がどこにあるのかと感じるところまで自分がいっていなかったので、まだいろいろやりようがあるだろうなとは思います。

 実写映画のときもCGを使ったカットはあるので、そのときにも意識していることではありますが、なんでもできてしまうからこそ、なんでもやってしまうと温度差が出てきてしまいます。そのため、CGカットがあったとしても極力、実写と同じようなアプローチで作っています。今回は全編3DCGですが、同様の手法を持ち込みました。

――キャラクターの動きにも影響はあったのでしょうか?

羽住 レオンは結構実写でできないことをやっていますよね。一応小林さんからは、“レオンはトム・クルーズが演じているキャラクターがやることはやれると思って大丈夫”と伺っていました(笑)。

小林 実写映画でトム・クルーズがやるアクションは、レオンもできますよということですね。

バイオハザード バインフィニットダークネス Netflix 小林裕幸 羽住英一郎

――実写映画をこれまでやられてきた羽住監督は、「バイオハザード」をはじめとしたフォトリアルな作品をどうご覧になっていましたか?

羽住 ちょっと気になっていたのは、カメラが入れないところに入っているなとは見ていて思っていました。もちろん、CGだからこそ見たことのない映像が見られるのでそこが魅力ではありますが、今回はドラマでサスペンス要素もあったので、実際にホワイトハウスで撮影した場合にどうなるのか、ここにカメラは入れないだろうなということを意識しました。

 3DCGアニメはいろいろな面白さがあるとは思いますが、多分それを自分がやるとかなわないというか、普段から3DCGアニメの面白さを引き出すような発想をしていないので、やらない方がいい思いがありました。

――では、羽住監督の作品に近い仕上がりになっているのでしょうか?

羽住 全くそうですね。スタッフの方もCGのスタッフですけど、実写でやっていくようなアプローチにするため手持ちのカメラで撮影するなど、最初の時点で相談しました。当初はスタッフの方の肩書を見ても、誰が何をやる人なのか分からなかったところはありますが……。

小林 CGクリエイターの肩書は分からないですよね(笑)。

羽住 ライティングはどの方と話せばいいのだろうという……。初めてづくしではありましたが、最終的にはみんなの良さが出たクオリティーに仕上がりました。すごいですよね。

――「バイオハザード」の世界観も保たれているのですね。

羽住 仕上がりはきちんと「バイオハザード」の世界の一部になっていました。それはよかったですね。舞台が日本ではなくて、キャラクターも日本人ではない、これまでの自分の作品にはない要素だったので何か違うものを見ている感覚でしたが、そもそも「バイオハザード」はルールが明確にあって、歴史もしっかりある作品ですので、初めての自分が加わっても踏み外さないよう、小林さんやスタッフ含め、「バイオハザード」を理解している方たちがサポートしてくれました。

――小林さんから何か注文などはされたのでしょうか?

小林 25年という「バイオハザード」の歴史の中で、ここの時間軸を描いてほしいということや、レオンとクレアがやっていいことと、やってはいけないことなど、制約がある上で監督にお預けしたので、本当の意味での自由ではありませんが、枠の中で自由にやっていただきました。

 ゲームクリエイターとしてCGを実写に近づけるアプローチしている僕ら側からすると、実写の手法を持ち込んでいただいたことはありがたいです。全てのスタッフがとは言いませんが、実写を撮影しているスタッフではないので、そこまでカメラの置き方に気を遣っていない場合もあります。監督が加わったことによって、そこがしっかり守れて、より実写を見ている感覚に近づいた気がします。

 1話で登場する大統領の部屋って引きの映像から入るじゃないですか。ゲームクリエイターだと、恐らく寄った映像になってしまうんですよ。テーブルとかソファも含めた、部屋全体を見せるところから入るのは、実写の監督さんならではだなと感じました。

バイオハザード バインフィニットダークネス Netflix 小林裕幸 羽住英一郎

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた