「私は社畜でした」 友達の通夜より仕事を優先しようとした実体験 ブラック労働に感情を壊される漫画が壮絶(1/2 ページ)
仕事を回すことで頭がいっぱい。友だちの死すら素直に悲しめないように。
過酷な労働環境に心も体も支配され、自分の感情や大切な存在を見失う――。そんな「社畜」といえる状態になった経験を描いた漫画が注目を集めています。作者は芹澤柚衣(@serizawan23)さん。
某社の添乗員として働いていた芹澤さんは、当時を振り返り「私は社畜だった」と言います。勤務は朝7時半から22時半、社員は率先してサービス残業しなければならない風潮で定時には帰れず、人員に余裕がなく体調が悪くても休めないハードな職場でした。
毎日へとへとになるまで立ち仕事。帰宅途中に電車のホームを見つめながら泣き続けてしまうことも。そんな日々の中で、気付かないうちに精神は限界を迎えていたようです。そしてある日、職場にいた芹澤さんに友達の訃報が届きました。
メールを見るなり、掃除用具ロッカーでうずくまる芹澤さん。同じ職場の方が心配して声を掛けますが、「私はアテンドリーダーなので 休憩室でこんな顔 見られる訳にいかない」「放っておいてください」と、憔悴(しょうすい)しながらもかたくなな態度を取り続けます。
それでも、なお「後のことは何も考えなくていいから 行きなさい」と諭され、芹澤さんは退勤。友達の通夜に飛び込むように参加します。最後のお別れには間に合いましたが、その後、仕事を辞めることに。もう休んでも良いんだと理解したとたん、起き上がれなくなり、何日も眠りこんでしまいました。
目を覚ました芹澤さんは、埃(ほこり)をかぶったペンを見て、好きだった絵を長く描いてなかったと気付きます。久しぶりに絵を描きながら「良い人ばかりだったけど 心から 仕事を辞めて良かったなぁ」と実感するのでした。
漫画には「泣けた」「自分の社畜時代を思い出して泣いてしまった」と感じ入る声が上がりました。「辞める選択が出来て良かった」「マトモな環境だけの社会になりますように」と芹澤さんを気遣う人も。勤務の過酷さに追い詰められていく心情がよく伝わり、感情移入しながら読んだ人が多そうです。
そして、再び絵を描き始めるラストについては「また絵を描き始めるくだりすごく好き 再生の儀式」「"人間に戻る"物語が過去の自分を見ているようで胸が締め付けられました」といった感想が寄せられています。単に仕事を辞めるだけでなく、自分らしさを取り戻していく過程が描かれることで、救いを感じる人もいるのでしょう。
芹澤さんは実体験をもとに本作を描いたことについて、「色んな事情があるので一概には言えないけれど、あなたの人生を二の次にしなければ回らないような職場にいる方は、一度考えてみてもいいかもしれません」というメッセージも発信しています。
芹澤さんは趣味の漫画をpixivやTwitter、アルファポリスに投稿しています。
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