「私は社畜でした」 友達の通夜より仕事を優先しようとした実体験 ブラック労働に感情を壊される漫画が壮絶(1/2 ページ)

仕事を回すことで頭がいっぱい。友だちの死すら素直に悲しめないように。

» 2021年07月17日 12時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 過酷な労働環境に心も体も支配され、自分の感情や大切な存在を見失う――。そんな「社畜」といえる状態になった経験を描いた漫画が注目を集めています。作者は芹澤柚衣(@serizawan23)さん。

私が社畜をやめるまで タイトな仕事にがんじがらめ。いつしか当たり前の感情すら持てないように

 某社の添乗員として働いていた芹澤さんは、当時を振り返り「私は社畜だった」と言います。勤務は朝7時半から22時半、社員は率先してサービス残業しなければならない風潮で定時には帰れず、人員に余裕がなく体調が悪くても休めないハードな職場でした。

私が社畜をやめるまで 電車に飛び込むのでは……と不審気に見られる羽目に

 毎日へとへとになるまで立ち仕事。帰宅途中に電車のホームを見つめながら泣き続けてしまうことも。そんな日々の中で、気付かないうちに精神は限界を迎えていたようです。そしてある日、職場にいた芹澤さんに友達の訃報が届きました。

私が社畜をやめるまで 「友達の死を悲しむ」「定時に帰りお通夜に出席する」――そんな当たり前のことすら許されないと錯覚してしまったのでした

 メールを見るなり、掃除用具ロッカーでうずくまる芹澤さん。同じ職場の方が心配して声を掛けますが、「私はアテンドリーダーなので 休憩室でこんな顔 見られる訳にいかない」「放っておいてください」と、憔悴(しょうすい)しながらもかたくなな態度を取り続けます。

私が社畜をやめるまで 何とかお通夜に到着

 それでも、なお「後のことは何も考えなくていいから 行きなさい」と諭され、芹澤さんは退勤。友達の通夜に飛び込むように参加します。最後のお別れには間に合いましたが、その後、仕事を辞めることに。もう休んでも良いんだと理解したとたん、起き上がれなくなり、何日も眠りこんでしまいました。

私が社畜をやめるまで これまでの疲れが、どっと出てしまったのでしょう

 目を覚ました芹澤さんは、埃(ほこり)をかぶったペンを見て、好きだった絵を長く描いてなかったと気付きます。久しぶりに絵を描きながら「良い人ばかりだったけど 心から 仕事を辞めて良かったなぁ」と実感するのでした。

 漫画には「泣けた」「自分の社畜時代を思い出して泣いてしまった」と感じ入る声が上がりました。「辞める選択が出来て良かった」「マトモな環境だけの社会になりますように」と芹澤さんを気遣う人も。勤務の過酷さに追い詰められていく心情がよく伝わり、感情移入しながら読んだ人が多そうです。

 そして、再び絵を描き始めるラストについては「また絵を描き始めるくだりすごく好き 再生の儀式」「"人間に戻る"物語が過去の自分を見ているようで胸が締め付けられました」といった感想が寄せられています。単に仕事を辞めるだけでなく、自分らしさを取り戻していく過程が描かれることで、救いを感じる人もいるのでしょう。

 芹澤さんは実体験をもとに本作を描いたことについて、「色んな事情があるので一概には言えないけれど、あなたの人生を二の次にしなければ回らないような職場にいる方は、一度考えてみてもいいかもしれません」というメッセージも発信しています。

 芹澤さんは趣味の漫画をpixivやTwitter、アルファポリスに投稿しています。

作品提供:芹澤柚衣(@serizawan23)さん
記事:谷町邦子(FacebookTwitter

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声