JR線、意外と知られていない「幹線」と「地方交通線」の違いのお話(2/2 ページ)

» 2021年08月11日 19時00分 公開
[新田浩之ねとらぼ]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

冊子の「時刻表」を見てみよう 幹線と地方交通線の簡単な見分け方

 うちの近所のJR線は、幹線? 地方交通線? どっち? を確かめる簡単な方法は……冊子の「時刻表」を見るのがおすすめです。

 例えばJR時刻表の「索引地図」を広げて見ると一目瞭然。「黒」の線は幹線、「青」の線は地方交通線で色分けして示されています。

 この他ザックリな判別方法では、○○本線のような大きな都市間をつなぐ路線やその都市近郊を走る路線は幹線であることが多いです。

photo 「偉大なローカル線」といわれることがある山陰本線だが、実は幹線

幹線と地方交通線で分けられた理由は……「国鉄時代の赤字」

 せっかく営業キロ数別に細かく定めたのだから、全国共通にすれば客も会社も計算が楽で分かりやすいのに……とも思ってしまいます。では日本の鉄路はいつごろから、なぜ幹線と地方交通線に分かれたのでしょう。

 区別されるようになったのはJRグループの前身である国鉄の経営が悪化した1980年代です。国鉄の経営改善促進のための法律「国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)」に基づき、赤字ローカル線対策・施策のために全国の路線が、“もうかる路線”の幹線と、そうでない地方交通線に分けられました。

photo 現在は観光客が多く利用する京都丹後鉄道線も、もともとは特定地方交通線だった

 地方交通線の運賃が高く設定されるのは赤字対策のため。さらに、地方交通線の中でも特に利用者数が少なく「このままではやばいです」と指定された路線は「特定地方交通線」に分類され、廃線の対象になりました。2021年現在、対象となった特定地方交通線の多くはバスもしくは第三セクター鉄道に移管されました。

photo LRTへの移管がうわさされる岡山県内を走る吉備線

 もちろん「特定地方交通線」ではないので大丈夫というわけでもなく、やはり昨今は、一部の地方交通線も廃線の岐路に立たされています。もしかして……将来、赤字を出し続けて立ちゆかなくなれば「新幹線」が地方交通線に見直されるような事態も起こるのでしょうかね。

 今後、感染症流行に関連した社会情勢や需要の変化に伴い、JR各社とも改善・合理化を進めていくことでしょう。その過程で地方交通線の未来がどうなるか、十分に観察したいと思います。

新田浩之(にったひろし)

1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める




前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた