鈴木さんと富永さんのバトルは「最初からお願いした」―― 令和によみがえる「お笑いマンガ道場」初代Pと放送作家が語るお化け番組の裏側(2/5 ページ)

» 2021年09月24日 20時00分 公開
[しげるねとらぼ]

―― 企画の構想からオンエアまでどのくらいかかりましたか?

澤田:どのくらいかかったんだろう……。長い構成会議は東京でやったよなあ。あまりに長いんで大岩さんにいい加減にしろって言われました。お金ないから誰かの家でやってたんだよなあ。軌道に乗ってからはうちの東京支社の会議室でやるようになりましたが、最初はねえ、構成作家の誰かの家でやったのを覚えている。いい加減長いよって怒ってましたよ。

大岩:そう?(笑)

澤田:長けりゃいいってもんじゃないんだってね。でもね、そのときに大岩さんが、クルッとフリップを回してマンガのコマ転換を見せるというやり方を考えて、これは僕にとっての衝撃で、「それだね!」って。でも本人は覚えてないって言うんだ。

大岩:覚えてないですね。僕は大体覚えてないんですよ。マンガ道場に限らず、自分の番組の経緯とかほとんど覚えてないんです(笑)。

澤田:このフリップを回すことって番組作りの根底であって、ものすごく大事なことを学んだんですよ。コママンガを見せるということをちゃんと考えなきゃいけないんだっていうことをね。その話ずーっとしてなかったんですけど、数年前に大岩さんにまた名古屋で仕事してもらったときにお茶飲み話でちょっとしたら、「ん? そんなこと言った?」って言われてびっくり(笑)。

大岩:そもそもでいうと、静止画だからね。あと、マンガ道場がヒットした要因の一つに、優秀な作家がいたんですよ。こじま琢磨っていう。彼がものすごくアイデアマンだし、熱心だし、フリップにマンガを描くってことと、フリオチってこともあるんだけど、フリップ自体にいろんな遊びを入れていったんですよ。フリップを2枚重ねておいて、上を引っ張ると伸びるとか開くとか、ドアに見立てたりだとか、フリップに工夫をしたんです。やっぱりそれが後々、マンガ道場の特徴になっていきました。彼がこの番組を命がけで考えてきたってところだと思うんですよね。彼がいなければ多分続いていなかったかもしれない。それくらい貢献度は大きいですよ。結局急逝したんですけどね。

澤田:1983年、享年34歳。33回忌が6年前でしたね。だから番組が始まって7年たったくらい。彼にはマンガ道場と「5時SATマガジン」の両方やってもらってましたから。

大岩:弟子とは言わないけども、僕の唯一の弟みたいな存在でしたね。はかま満緒先生(大岩さんの師匠)の流れでいうと、1番手2番手3番手の3番手。すごい優秀でしたよ。ものすごい努力家でね。彼の名前をなくしては、マンガ道場はないと思う。あとは、かすやたかひろくんがね、よく貢献してくれましたね。

―― 番組ロゴはどなたが作ったんですか?

澤田:これはうちのテロップ屋さん。手書きで書いてるテロップの担当の人が作りました。今回のロゴは初期のもので、後期にもう一回ロゴが変わるんです。


こちらが1回目の台本

当時の台本には澤田さんや大岩さんの名前が

大岩:よくこの第1回目の台本残っていたねえ。

澤田:会社には残してなくて、高畑(部長)が持ってたようです。僕は一切捨てましたよ。ここ(プロデューサーのところ)にWって書いてある。これ僕が書いたんだけど、忖度で上司の名前を書いた。でも、さっき言ってたような事情でやらなくなっちゃったの。じゃあ、まあいらないかと。でも台本が残ってるもんだから、フライデーの取材でも「Wさんが初代プロデューサーですか」って問い合わせが来て、瀬古(7代目プロデューサー、今回の番組も担当)から私に電話かかってきて。

大岩:まあね、当たりゃみんなの手柄になるんだ。

澤田:先ほどのこじま琢磨も大岩さんが「すごくいいのがいるから」って言って連れてきてくれた。

―― こじまさんもだん吉さんも大岩さんですね。

大岩:当てようと思ったら、人の力を借りないと絶対に当たらないんですよ。まあ当たり前のことだけど。番組って当たらないとね、誰かが足引っ張って誰かのせいだって言う。でも当たると、それがみんなのせいになる。芸能界は特にそうなんですよ。だから僕いつも言うんだけど、「五木ひろしは俺が育てた」って言う人が500人くらいいるんですよ。

―― なるほど。よくある話ですね……。

大岩:でも僕自身はそれでいいと思うんです。僕はずっと視聴率にこだわって生きてきた。それはなぜかというと、当たればみんなハッピー。当たらないときに必ず誰かが悪者になるんですね。悪者にさせられるんです。「俺はこう言ったのに、あいつはこう言ったからだ」とかね。何一ついいことないから、数字は取らないとダメなんです。本もそうです。売れなきゃダメなんです。やるからには、どんな手を使ってでも。そうしないと、いいことないじゃないですか。


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