厚紙・板紙特集の『デザインのひきだし44』がとんでもない厚さと表紙加工 「まるで鈍器」「本トッツォ」
デカい付録が挟まった見た目がまるでマリトッツォです。
デザイン・印刷・紙・加工の情報誌『デザインのひきだし』(グラフィック社/2420円)の44号がとんでもなく分厚くてすごいことになっていると話題です。10月11日ごろ店頭に並ぶ予定で、一部ネット書店では売り切れも出ているようです。Twitterで「鈍器」「本トッツォ」なんて声も上がっているその中身とは……?
『デザインのひきだし44』は厚紙・板紙特集。書籍表紙や名刺などに使われる厚紙・板紙の種類から使用例、印刷加工までを紹介しています。
見た瞬間に驚くのは、付録「板紙・厚紙サンプルBOOK」のデカさ。板紙・厚紙を109枚もとじ込んだ“50ミリ厚”の実物サンプル帳で、製本機でつくれる限界の厚みとのこと。これを挟んだ本誌の見た目が、まるでクリームたっぷりのマリトッツォ……!
もう1つインパクトがあるのが、3色ある表紙。特殊な加工もされており、実際に触ってみたくなります。厚さもかなりあるような?
そこで気になる部分について『デザインのひきだし』編集長の津田淳子さんに伺うと、今回の特集テーマに合わせて、表紙にもヨーロッパから輸入されている「アートボール ナチュール」という分厚い板紙から3色を使用したそうです。
※アートボール ナチュールは、1平方メートルあたりの重さが610グラムもあり、通常のB5サイズ本の表紙より3倍近い厚みがあるとのこと
この厚みが1ミリもある板紙に、熱をかけながら金属の凸版を使って押しつぶす「加熱空押し加工」でロゴや文字などを押しています。さらに表紙の紙が厚すぎると硬くてめくりにくくなるため、加工時には2センチ間隔の縦スジも押してもらったとのこと。「これがあることで紙が折れやすくなり、お風呂のふたみたいにちょっとしなやかになるだろうという計算からです笑」。
また詳しくは加工を手がけた箔押し会社・コスモテックのnoteに書かれていますが、本番加工時には室内および紙に含まれる水分量の変化によるアクシデントが発生。「2万回、手作業で霧吹きで水を吹き付けながら」加工することになったというエピソードも。霧吹きをかけすぎて握力が限界に達する方もいたという話が壮絶……!
そしてついに完成した『デザインのひきだし44』。他にもシート状の板紙なども付録しており、結果的に厚さ70ミリ、重さ1.5キロという“鈍器”になりました。
ちなみに付録の板紙・厚紙サンプルBOOKの表紙は25色あり、内容としても「普通では入手しづらい板紙・厚紙サンプルがたくさん入っているので、(デザイナーや編集者などが)実際に仕事で使いたいときに役立つのではと思っています」と津田さん。
本の表紙・3色と、付録の表紙・25色は通販だと選択不可。組み合わせが75パターンもあるので「どうしてもこの色が良い!」という人は店頭に並ぶのを待つのも手です(※中身はどれも同じです)。
特集のメインは「板紙・厚紙と、そのかっこいい使い方」。基礎知識からオススメの板紙・厚紙の紹介、他にも表紙が作られるまでの過程も詳しく載っていますよ。
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