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» 2021年10月12日 22時50分 公開

最高のカーテンコールをありがとう 傑作ゲーム「Outer Wilds」の追加DLC「Echoes of the Eye」レビュー(※ネタバレなし)(1/2 ページ)

基本ネタバレなしでお送りします(一切情報を入れたくない人は1ページまでで)。

[砂義出雲,ねとらぼ]

 作家の砂義出雲と申します。ご縁があり、この度ねとらぼでインディーゲームの紹介を中心にコラムを書かせていただくことになりました。

 さて、今回は宇宙探索アドベンチャー「Outer Wilds(アウターワイルズ)」のダウンロードコンテンツ、「Echoes of the Eye(エコーズ・オブ・ジ・アイ)」を紹介したいと思います(PS4Xbox OneSteamEpic Gamesストア)。

OUTER WILDS: ECHOES OF THE EYE | Reveal Trailer

ライター:砂義出雲

砂義出雲 プロフィール

作家・シナリオライター。はてなダイアリー「やや最果てのブログ」の運営を経て、2011年に小学館ライトノベル大賞・優秀賞を受賞し『寄生彼女サナ』でデビュー。なんだかんだ10年以上業界の片隅でラノベを書いたりゲームシナリオを書いたりしてきました。映画とゲームとsyrup16gが生きる糧。人生ベストゲームは「Outer Wilds」です。

Twitter:@sunagi



「ネタバレ厳禁」の探険ゲーム、そのDLCに抱えていた期待と不安

 プロフィール文にも書いてある通り、自分はこの「Outer Wilds」というゲームが人生ベストゲームです。既にねとらぼでも何度か紹介されているゲームですが、あらためてどういうゲームなのか簡潔に説明しますと、主人公はとある星系の新人宇宙飛行士として、各惑星に残された異星人の遺跡を調査するために宇宙に旅立ちます。ところが、一定時間がたつと宇宙はとある理由により22分前にループしてしまう……その世界の真相を解き明かしていくという、謎解き要素多めの宇宙探索アクションアドベンチャーゲームです。

 クセのある操作性や高めのアクション難易度、「何も説明しなさ」から人を選ぶゲームではあるのですが、弊ブログでも操作のコツや推奨設定などを含めた紹介記事を書いていますので、ご興味のある方は読んでみてください。

Outer Wilds Echoes of the Eye スタート地点の会話からなかなかの取っつきづらさ

 さて、そんなOuter Wildsですが、本編をプレイした時に自分がどんな箇所に衝撃を受けたかというと、まず「何も分からない」ことでした。これは、このゲームが人を選ぶ最大の点でもあります。最初の数時間は、何をしていいのか分からないどころか、ゲームの「面白さ」すら理解できないという人も少なくないでしょう。

 実は、このゲームにおいて、エンディングへの道筋を含む全ての場所のロックは最初から解除されています。つまり、「知識」という鍵だけを持っていれば、最初のプレイの22分でゲームクリアすることさえできる。このゲームの謎解きは、「分からない」ことを「理解」することから始まるのです。この「分からない」ことが「分かっていく」ことの快感、そして全ての伏線がつながってから迎えるクライマックスの圧倒的にエモーショナルな展開。それこそが、自分にとって「Outer Wilds」を最高のゲームたらしめるものでした。

 ですが、この構造は同時に、一つの大きな瑕疵を抱えることにもなりました。それは、極端な「一回性」です。知識だけがロックという潔い仕様である以上、人生で一度きりしか新鮮な気持ちでプレイできない。それが、このゲームが「ネタバレ厳禁」な理由でもあります。

 よって、「Outer Wilds」をクリアした多くの人間は、こんな願望を抱えるようになります。かなうなら「記憶を消して、もう一度プレイしたい」と。「万が一記憶を失った時のために『Outer Wildsをやれ』って腕に彫っておこうかな」「『Outer Wildsは面白いぞ』というメモだけ残して頭を強く打ちたい」などの声を聞いたことも枚挙に暇がありません。とはいえ、現在の科学ではピンポイントで人の記憶を消すことはできないため、その願いは半ば諦めていたのですが、今年(2021年)になって突如「Outer Wilds」のDLCが発売される、という情報が飛び込んできました。しかも、独立したDLCではなく、完全に本編に組み込まれる「追加要素」であるとも言います。

 衝撃でした。と、同時に一抹の不安もよぎります。どうやって、あのゲームに追加要素を入れるというのか。なにしろ、「知識」だけがロックのゲームなのに、自分は既にいろいろなことを知ってしまっています。ましてや、かれこれ一年以上プレイしたり配信者の実況を見続けたりしてきたことで、私の「Outer Wilds」に対する評価は、「人生ベストゲーム」どころか「人類が生み出した史上最も美しいデジタル構造宇宙」にまで肥大していたため、単純に蛇足になりやしないか? という思いもありました。

 そんな期待と不安と緊張と吐き気を胸に、トレーラーで新情報が出る度に大騒ぎしながら、9月、DLC「Echoes of the Eye」がついに配信され、そのプレイを開始しました。

 ――さて、ネタバレ厳禁の探索ゲーム、そのDLCとは一体どんなものだったか。旅の果てに待ち受けていたものとは何だったのか――!?

 ということで、次の段落以降はネタバレを極力避けて、私がプレイ中に抱いた感情の変化、「インプレッション」を中心に述べていくことにします。そのような情報すらも知りたくないという方は、以後はクリア後に読んでください。

Outer Wilds Echoes of the Eye Echoes of the Eyeは本編に組み込まれるため、セーブデータを引き継いで始めることをお勧めします

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