「アイドルマスター SideM GROWING STARS」感想 一度は終わった「SideM音ゲー」再チャレンジの出来は?:モバクソ畑でつかまえて(2/2 ページ)
ストーリーを「読む」ハードルはかなり低め
ストーリーまわりについてはメインストーリー、誕生日などに解放されるアイドルエピソード、出会いを描いたエピソード0が収録されています。メインストーリーを見る限り皆デビューしたてという設定ではあるのですが、既に数年間活動しているアイドルでもあるわけで、そのあたりの「最初からの説明」を別枠にしているのは分かりやすくて良いと思いました。
メインストーリーは読みやすくポンポン読んでいけるのですが、いかんせん各ストーリーが短く区切られています。「連続モード」を使って続けて読んでいくほうがストレスはないかと思います。メインストーリーは特に何かをすることなく解放されており、お話を読むだけならレベル上げなどが一切いらないのはありがたいところです。また、ストーリーが短く区切られている点については「お気に入り」機能の存在も関係あるのかと思いました。好きなシーンだけ読み返したい、という人向けに、なるべくストーリーを細かく分割することで対応しているのかもしれません。
同様にイベントもハードルが低く、こちらもストーリーは最初から全開放。報酬のRアイドル1枚だけならストーリーを読むだけでもらえます。もちろん、限界突破するための素材や他のイベント限定SRがほしければ周回せよ、という話になるのですが、これもオートライブに加えて体力3倍消費でポイントや経験値も3倍になるアイテムが存在しており、周回も容易になっています。ただ、体力3倍消費がある割に体力上限が低く、3倍消費も回復アイテムも最初は限られているため、上位を目指すのであればジュエルを割って体力回復する、という形での力押しの突破も必要になるかもしれません。
新ユニット「C.FIRST」は過去キャラにも劣らぬ個性持ち
また、今回サイスタとしてスタートする際に新ユニット「C.FIRST」が加わっています。偶然出会うことになった別々の学校の生徒会長3人組なのですが、メインストーリーの1話と今回のイベントストーリーが彼らのお話になっており、「誰これ」ということなく新しいアイドルに馴染むことはできました。
この3人も過去のアイドルに負けず劣らずの個性持ちなのですが、特に重力を感じさせる「花園百々人」が個人的にお気に入りです。さまざまな方面似才能を持ちながらも、それが突出していないため両親に「あなたは特別な子じゃない」と見捨てられるという衝撃的なスタートを切る彼ですが、偶然出会ったプロデューサーに「すごい才能だ」と褒めたたえられ、アイドルとして誘われたことでどうにも深すぎる思い入れをプロデューサーである自分に持っているもよう。
「なんの才能もない僕に生きる意味をくれた」
「キミのためなら、何だってするよ」
などと語る彼に能天気に他のメンバーと同じように対応しているプロデューサーの鈍感さが最高にお気に入り。メインストーリーで(声を聞いていると落ち着く)という心の声を聞かされた後、イベントで「声が聞きたくなっちゃった」と電話してくる流れは実によくできているなと思いました。今まで「確かに曲は悪くないけど男性アイドルだしそこまで追いかけるわけでもない」と思っていましたがこの子の来し方行く末がどうなるのか、は気になっています。
と、オススメアイドルの話ばかりになってしまいましたが、音ゲーとしては実際そこまでやり込んでいないこの作品。それでもこれだけストーリーが読め、キャラクターへの思い入れは持ててしまいました。思惑に乗せられた感もありますが、私のように「興味はあったけどSideMの世界にあまり触れていない」人が取っ掛かりとして入るにはちょうどよいボリュームの作品なのではないでしょうか。そのような「良いストーリーがあるんだから全部見ていってくれ」という作品は増えており、個人的には良い傾向だと思っています。例えば先に取り上げた「プロセカ」では声優さんと振り返るプロセカストーリーシアターと言う形ではありますが、動画でメインストーリーやイベントストーリーを閲覧することが可能だったりします。
ただ、最初のハードルが低い作品は後から難易度が上がったり締め付けがキツくなったりするとファンが引いてしまうリスクがあります。完全新作ゲームではなく「ある程度の人間はついてくるだろう」という確信がある、「SideMの新作ゲーム」という点がこういうバランス取りを許しているのかもしれません。この調整が吉と出るか凶と出るか、今後に注目しつつぴいちゃんとして見守っていきたいと思います。
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