「PS5購入者は箱に名前を書いてもらう」ノジマはなぜ転売ヤーを許さないのか? 苛烈な転売対策の背景を担当者に聞いた(1/2 ページ)

転売対策にかける思い。

» 2021年10月26日 12時00分 公開
[ねとらぼ]

 ゲーム機、衣服、トレカ、ライブチケット……あらゆる人気商品に群がる転売業者たち。中には「商品が完売しているのだから小売は損していない」と自らの行いを正当化する転売ヤーも存在します。

 そんな詭弁を真っ向から否定するように、家電量販店「ノジマ」が行っている苛烈なまでの転売対策をご存知でしょうか。

 「PS5の抽選販売から転売ヤーを1件ずつ目視で排除した」「iPhoneの販売時に電波の使用状況を調査する」。執念じみたものが感じられる取り組みの数々は、たびたびTwitterで話題の種になっています。

 なぜノジマは「転売撲滅宣言」を掲げるのか? 転売対策をけん引する担当者に取材しました。

「売らない」判断を現場に任せる、後手に回らない環境づくり

――いつごろから転売対策に力を入れ始めたのでしょうか?

ノジマ 転機は2020年に開始したプレイステーション5の抽選販売でした。PS5は「抽選専売」という珍しい販売形態を取っていたのですが、そのためにシステムを一から構築する必要があり、かねて問題視していた転売への本格的な対策を導入しました。

――「目視で転売ヤーを落選させたから結果発表が遅くなった」あれですね。謝罪のツイートを投稿されていましたが、むしろ「すごい!」「がんばれ!」と応援する反応の方が多かったように見えました。

ノジマ その節はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした……。あのツイートを投稿してから「転売目的だけど買えました!」といったリプライも届くようになり、そのたびに気を引き締めております。

――実店舗での取り組みがTwitterで話題になっている様子もお見掛けします。直近では「購入した商品にマジックペンで名前を書いてもらう」取り組みがTwitterでバズっていました。あれはどのような狙いが?

ノジマ 購入した商品に記名いただく施策は海外への流出を防ぐためのものです。お客様の声などから、名前が記入してあるだけで買取価格が1万円前後下がる場合があるとわかりました。大量購入するような本気の業者はある程度けん制できるのではないかと考えています。

――やはり各店舗にも“転売撲滅”の意識を共有しているのでしょうか。

ノジマ そうですね。むしろ、現場にいるからこそ感じるものもあると思います。私も私服で店舗の調査に赴いた際、人気商品が手に入らず泣いているお子様を店頭でお見掛けし、非常に申し訳ない気持ちになったことを覚えております。すぐにフリマサイトを調べると、メーカー小売価格をはるかにオーバーする金額でその商品が販売されていました……。

 密にやりとりを重ねたうえで「怪しい方には販売をお断りする」といった判断は各店舗に任せています。いちいち本部の許可を求めていては、どうしても後手に回ってしまいますから。

――「転売目的だろうと売れればいい」わけではないのですね。

ノジマ 商売としては成立するかもしれませんが、本当に欲しい方が商品を購入できないなどということが許されていいはずがありません。ノジマではこれからも転売対策を続けてまいります。

 その結果、抽選に時間がかかるなど、一般のお客様にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。なるべく早くお手元に商品を届けられるようなシステムを構築しておりますので、今しばしお待ちいただけますと幸いです。




 転売業者と戦う小売の裏にあるのは、利害を超えた“思い”です。人気商品を「本当に欲しい人」がいるように、それを「本当に届けたい人」がいる。そんなドラマを感じさせるからこそ、ノジマの取り組みは注目を集めるのかもしれません。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/17/news022.jpg 【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
  2. /nl/articles/2403/18/news022.jpg 1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
  3. /nl/articles/2403/17/news063.jpg 「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
  4. /nl/articles/2403/17/news047.jpg 北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
  5. /nl/articles/2403/18/news042.jpg 生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
  6. /nl/articles/2403/15/news126.jpg 「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
  7. /nl/articles/2312/29/news019.jpg 「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
  8. /nl/articles/2403/18/news025.jpg “おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
  9. /nl/articles/2403/18/news056.jpg 大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
  10. /nl/articles/2403/18/news064.jpg 赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  2. 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
  3. 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
  4. 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
  5. 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
  6. 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
  7. 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
  8. 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
  9. 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
  10. 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」