「摩周で会いましゅう」釧網本線90周年ツアー 網走〜釧路166.2キロを走破して分かった北海道鉄道旅の再発見(4/5 ページ)
釧路湿原ノロッコ号で夕陽に感動
川湯温泉ホテルで再集合した一行は、バスに乗り、釧網本線と平行する国道391号線を南下しました。目的地は摩周駅、その途中の「美留和(びるわ)駅」を見学します。
美留和駅は無人駅。待合室として、「車掌車」が設置されています。車掌車はかつて貨物列車に連結されて、車掌さんが乗務していました。貨物列車の車掌業務が廃止されたため、余った車掌車が活用されているのです。北海道の無人駅で時々見かけます。車輪が取り外されていることから、達磨大師像にちなんでダルマ駅舎などとも言われています。
美留和駅は無人駅ですが、地元の小学校の生徒さんたちが美化運動を実施しており、清掃が行き届いています。車掌車に描かれているイラストもほんわか。そしてこの日は駅のそばの美留和郵便局の皆さんも歓迎してくれました。
名残惜しいけど、先を急がなくてはいけません。え、帰らないって? いや、帰ろう、ニッポンへ帰ろう、ポロロン、ポロロン♪……「美留和の竪琴」 なんつって。オヤジギャグ失礼しました。
摩周駅で網走グループ、釧路グループはそれぞれの帰路へ。え、これじゃ摩周で会いましゅうじゃなくて「摩周で別れましゅう」じゃないの? というツッコミはヤボってモノですよ。
筆者をはじめ網走グループの数名は、ここから釧路グループに入れてもらって釧路へ向かいました。釧路グループの帰路は釧網本線の観光列車、釧路湿原ノロッコ号です。これに乗りたかった!
釧路湿原ノロッコ号は、4月から10月まで釧路〜塘路(とうろ)間を走るトロッコ風列車です。ディーゼル機関車1両と客車4両で編成されて、ガラス窓が大きく、季候の良い時は窓を全開にします。乗客は風を浴び、まるで風景と一体になれたような気分になります。釧路〜塘路間は釧路湿原の中を走り、釧路川沿いの景色の良い区間です。
ノロッコ号は年に1度、塘路〜川湯温泉を延長運転する日があります。この日、10月9日が貴重な年に1度の日だったのでした。
北海道の大地を駆け抜け、標茶駅を過ぎて、茅沼(かやぬま)駅の手前から釧路湿原に入ります。釧路湿原は日本最大の湿地帯で、淡水に浸水された草原という感じです。
高いところでは木も生えていますが、だんだんと陸地と見分けにくくなっていき、草ばかり、水面が目立つようになります。タンチョウなど野鳥も生息するところ。陸地ではシカもいます。
特に釧路〜塘路(とうろ)間は、併走する道路がなく「線路しかない」ルートです。列車に乗った人だけ見られる景色です。自然の風景がそのまま残っていて、まるでジャングルクルーズのような景色です。
一体なんでこんなところに線路を敷いたのでしょう。実は、釧網線はもともと東側の港、厚岸へ結ぶ計画でした。しかし釧路が発展したため、エイッと進路変更し、釧路湿原を貫く形で釧路と結んだのでした。
だんだんと陽が落ちてきました。釧路と言えば、釧路港から見る夕陽が「世界三大夕日」なのだそうです。ちなみに他の2つはフィリピンのマニラ、インドネシアのバリ島。世界の海を眺めてきた船乗りたちが多く挙げる美しい夕日なのです。
釧路港にはかなわないかもしれませんが、釧網本線の列車から見る釧路湿原の夕日もすばらしいものでした。釧路川に赤い日差しが反射し、木々が影絵のように通り過ぎていきます。同じ形が2度と来ない回り灯籠とでもいいましょうか。
日が落ちて車窓は真っ暗になり、やがて人工的な光が増えてきます。釧路市街に入りました。
釧路湿原ノロッコ号は17時30分に釧路駅に到着します。釧網本線を約9時間で走破しました。海、山、大地、硫黄山、湿原、夕日の旅。今回はツアーでしたが、自分で日程を組み立てて巡りたくなる行程でした。
「SL冬の湿原号」「流氷物語×オホーツクに消ゆ 第2弾」も予定 2022年も釧網本線が熱い
「摩周で会いましゅう」ツアーは釧網本線沿線等9市町村により構成される「JR釧網本線維持活性化実行委員会」が実施します。テクテク釧網本線めぐりは2022年3月まで開催。沿線巡りの「郵便局編」「斜里町編」「標茶町編」「釧路町編」「清里町編」「鶴居村編」「弟子屈町・摩周編」「釧路市編」とチェックポイントも拡充していく予定です。
さらに、2022年1月22日から釧路〜標茶間で「SL冬の湿原号」も運行予定です。2022年は5両の客車のうち2両をリニューアルし、展望通路を備えた「たんちょうカー」にする計画です。
網走市有志のMOTレール倶楽部は、2022年2月に「流氷物語×オホーツクに消ゆ」の第2弾実施に向けて検討中です。前回2021年は感染症流行の影響で参加できなかった人も多かったようなので、2022年もぜひ実現してほしいです。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100%(2021年4月時点)
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