クラウドファンディング実施中「シロナガス島への帰還」レビュー これは性癖のヤサイマシマシニンニクマシアブラマシカラメだ!:やや最果てエンタメ観測所(2/2 ページ)
マシマシその3 フェチシズムがマシマシ!
クリエイターとしての鬼虫氏の強みは自分でイラストも描いているところだと思う。全てをほぼ一人で完結させられる作家は強い。なぜならフェチシズムのアクセルを全開にできるからだ。特にそれが感じられる真骨頂はクリア後のおまけシナリオ。本編と直接関係がない分はっちゃけられたのか、尋常でない「肋骨(ろっこつ)」への拘りを感じた。主要女性キャラのほぼ全員に肋骨が浮いている。実はこのキャラデザ、めちゃくちゃ「攻めている」のである。
筆者も商業ライトノベルを描く人間なので説明すると、普通ならヒロインを複数配置する時に身長・体形などは全体でバランスを考えるものなのだ。なぜなら、キャラデザはできるだけ広くレンジを取った方が多くの読者に「引っ掛かる」確率が上がる。ところが本作では全員痩せ形で肋骨が浮き上がっている! まるで肋骨のバーゲンセール! こんなバランスのキャラデザ、まさしく個人制作でもなきゃできない。やりたい放題やる! という強い意志が感じられて大変良い。あえて写真を載せないが、「脇毛」にも強いこだわりを感じた。そこもちゃんと描くか!
カラメその4 味付けとしての見事なコスパ戦略
極め付きは、「シロナガス島への帰還」の優れたコストパフォーマンスだ。PC版は定価たったの500円である。しかも、本作は最初にリリースされてからも立ち絵に口パクアニメーションが追加されたり、もともとフリー素材だった音楽が専用のものに変更されたりするなどアップデートを続けており、そのコストパフォーマンスたるや天井知らずである。
その結果、作品は大ヒットを記録し、現在はNintendo Switchへの移植版発表と、それに伴い声優を追加するためのクラウドファンディングが12月5日まで実施中なのだが、あっという間に達成してしまい、ストレッチゴールが追い付かない状態だ。
これも作者が「やりたいことをやりきった」結果だろう。なお、このクラウドファンディングでは限定デザインのサントラやパッケージ版、資料集などもリワードに入っているので、この作品の既存ファンだけでなく新規ファンも限定版を注文するぐらいの覚悟で一つ乗ってみるのはどうだろうか。
ちなみに、鬼虫氏は現在、本作と共通のキャラクターも登場する続編「遙かなる円形世界(仮題)」を制作中。早くこのゲームのおかわりが食べられる日が楽しみだ。
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