魔王を先に倒された勇者の哀れな末路 立場を失った勇者が性悪魔法使いにいじられる漫画が意外といい話(1/2 ページ)

勇者の条件とは。

» 2021年12月16日 20時00分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 魔王を倒した勇者が称賛される陰には、先を越された悲しい勇者の物語があった? 漫画「魔王退治、してない方。」が、哀れながらも心にしみる良い話です。

アイキャッチ1 何の成果もないまま帰郷するの、つら……

 「勇者一行が魔王を退治」の号外を手に落ち込む“魔王退治してないほうの勇者”。かつて旅立ちの日、盛大に見送ってくれた故郷の人々にどのつらさげて帰ればいいのかと途方に暮れています。

アイキャッチ2

 あまりにもいたたまれない状況に、旅の仲間はとっくに離散。魔法使いだけは故郷までおともすると言ってくれましたが、その理由は忠義や信頼の類でなく、単に「弱くて哀れな人間をそばで見ていたいだけ」という、たちの悪いものでした。

アイキャッチ3

 実はこれまでの冒険中、主人公は弱いくせに上級モンスターへ挑んでは返り討ちにされてばかり。散々な失態で魔法使いを喜ばせてきました。さらに、このまま帰郷すれば、冷遇されるか同情されるか、いずれにせよみじめな目に遭うのは明白。サディスティックな魔法使いにとって、旅はここからがお楽しみの本番というわけです。

アイキャッチ4
アイキャッチ5

 やがておかしな2人連れは、かつてドラゴンの襲撃から守った村にたどり着きました。もっとも、その戦いぶりは散々で、まるで歯が立たずに仲間からも村人からもあきれられる始末。しまいにはドラゴンが同情して自ら退散してくれたという、勇者にとっては最悪、魔法使いにとっては最高の思い出が残る場所です。

アイキャッチ6

 勇者は村人に見つかって、当時のやられっぷりをいじられるはめに。しかし、それ以来ドラゴンが人間をあわれんで優しくなり、ほかの魔物から村を守ってくれていると聞き、皮肉めいた結果に戸惑います。

アイキャッチ7

 そんな勇者を端で見ながら、魔法使いは心の中でつぶやきます。「敵に情けをかけられるほど弱くても戦う。哀れな姿を人にさらして、笑いものになったとしても……それこそ本当の勇気……なんて、死んでも言ってあげませんけど」――と。複雑な感情を秘めたほほえみを、勇者に「またバカにしてんだろ」となじられると、「哀れんでただけです」と、また嫌味で返すのでした。

 同作は漫画家の野村UFO(@UFOnomura)さんが、『少年サンデーS増刊』に寄稿した読み切り作品。サンデーうぇぶりでも公開されています。

作品提供:野村UFO(@UFOnomura)さん

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/13/news021.jpg 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  2. /nl/articles/2501/12/news018.jpg 【ハードオフ】たった“1650円”のジャンク品を持ち帰ったら…… “まさかの結末”に仰天 「中古店は宝の山」
  3. /nl/articles/2501/11/news038.jpg セリアのイス脚カバーの“じゃない”使い方に「天才ですか!?」 斬新な活用法に「めっちゃ可愛い」「探してくる!」
  4. /nl/articles/2501/10/news070.jpg 中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
  5. /nl/articles/2501/12/news004.jpg 「やばいやばい」 ブックオフに990円で売っていた“まさかの掘り出し物”に大興奮 「ラッキーすぎる」
  6. /nl/articles/2501/12/news031.jpg “スカイラインの墓場”に潜入したら、目を疑う光景が…… ヤバすぎる実態に衝撃走る「ここまでやる人はいない」「凄いな」
  7. /nl/articles/2501/12/news022.jpg 「腹がいたいwww」 一家で体調不良→78歳おじいちゃんの“お年玉”に爆笑 「これは本当に気持ちがこもってる」
  8. /nl/articles/2501/13/news017.jpg 100均の毛糸5色を“シェブロン編み”していくと…… うっとり美しい防寒グッズ完成に「分かりやすくてスイスイ編めた」「色のセンスも素敵!」
  9. /nl/articles/2501/13/news025.jpg 道に落ちていそうな黒い石ころ→磨いたら…… まさかの“正体”が158万再生「超すごい」「砂利に似ているのに」【海外】
  10. /nl/articles/2501/13/news013.jpg 夫婦でプラダンの二重窓をDIYしたら…… 予想以上の断熱効果に驚き「す、す、すっごい! 一番分かり易くて、可愛いくて、何より簡単そう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  2. ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
  3. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  4. 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  5. 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  6. 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  9. 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  10. サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」