528日間、作家に勉強を報告し続けた受験生が大学入試に合格するまで 「ラノベ化決定」「温かさ優しさに感動……」(2/3 ページ)
――この受験生からのDMは毎日来ていたのでしょうか
屋久さん たまに1日空いて2日分が一気に送られてくる日などはあったかもしれないですが、基本ほとんど毎日来ていました。1年と半年間もそれを続けるのは、本当に大変だったと思います。僕の執筆時間より長かったんじゃないかなと震えています。笑
――DMが来るようになったのは2020年9月8日のようですが、なにかきっかけはあったのでしょうか
屋久さん 僕の著作「弱キャラ友崎くん」はぼっちの高校生が表情、姿勢、服装など基礎の基礎から努力を重ねてリア充になっていくストーリーなのですが、その作中で主人公が行っていた課題を実践し、リア充を目指す「友崎くんチャレンジ」がファンの間で始まりました。それを僕が取り上げて広がったことから流れが始まったように思います。
その派生のなかで特に拡散されたのが筋トレをDMで送ってきた子で、そこからDMでの努力報告が増えて今回の件につながりました。他にも作家になった子や、筋トレとともに駄じゃれを贈り続けてきた子などさまざまです。笑
――屋久さんから返事を送ることはどのくらいありましたか? やりとりの中で感じたことや印象に残っていることがあれば教えてください
屋久さん 10日から30日に1度くらいが平均だったかなと思います。相手の子が送ってくるメッセージに迷いや不安を感じたときに短く励ます言葉を投げかけたり、迷いの中身を話してみるよう促したり、が多かったかなと。やっぱり通信制という環境では吐き出せる相手もいないと思ったので、毎回アドバイスまではできなくとも、もし自分が同じ立場だったら聞いてもらえるだけで心は安らぐかな、と思っていました。
Twitterでは4枚の画像しか入れられないので伝え切れていないのですが、実は最初の受験で小論文の回答の縦書きと横書きを間違えてしまったというDMが来たことがありまして、そこで「見守ってくれていたのに申し訳ない」と僕に対する謝罪もつづられていたことはとても印象に残っています。そのときは謝る必要はないことを伝え、自分が過去にライトノベルの新人賞でヒロインの名前を誤植したまま送ってしまった失敗談を話して安心してもらう、というやりとりをしたのですが、そのときは「自分の職業ってこういう意味の『先生』だっけ?」と自問自答していました。笑
――合格の報告が来たときの気持ちをお聞かせください
屋久さん 前述の失敗なども見ていたので、とても安心しました。こうして思春期の大切な時期の思い出の1つになることができて、そしてその頑張りが多くの人に知ってもらえたことは、僕にとってもうれしいことです。そしてこれだけ頑張れる彼なら、きっと楽しいキャンパスライフを送れると思うので、いつかそんな後日談が聞ければいいな、と思っています。
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