「ババアはいらねぇ」「どのツラ下げて来てんのか」 ディズニーランドの“キャラクター出演者”訴訟に判決 オリエンタルランド社に88万の支払い命令

2018年7月の提訴から約3年半でついに判決。

» 2022年03月29日 13時30分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で“キャラクター出演者”としてショーやパレードに出演していた女性が、運営会社のオリエンタルランドに対し「安全配慮義務違反」と「パワーハラスメント」を訴えた裁判について、千葉地裁(内野俊夫裁判長)は3月29日、オリエンタルランド社に対して原告女性Bさんに88万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

東京ディズニーランド TDL オリエンタルランド 傍聴にはオリエンタル・ユニオンの関係者ら50人以上が列をなし、傍聴券が抽選になるなど注目度の高さがうかがえた

提訴の概要

 原告AさんとBさんはともにディズニーランドでコスチュームを着用する“キャラクター出演者”として勤務していた女性。

 年間パスポートを自費で購入し、キャラクターの動きを研究するなど熱心なキャストだったAさんは「毎日いきいきとした出演者を演じるため腕や肩を無理な姿勢に保つ必要があった」ことに起因して、2017年1月10日には医師から「胸郭出口症候群」との診断を受けました。

東京ディズニーランド TDL オリエンタルランド 提訴当時、記者会見を開いた被害者弁護団と女性ら(プライバシーに配慮し、一部モザイク処理を行っています)

 これについて船橋労基署は上肢障害の労災を認定。Aさんは、「業務の質・量の改善」「コスチュームの軽量化」「(不測の事態が発生した際の)代替者の確保」などを求めたいとしていましたが、職場復帰の際に、同僚や先輩スタッフらから「どのツラ下げて来てんのか見に行ってやろうぜ」「(オリエンタルランド社に)謝った方がいい。謝るんだよ」といった圧力をかけられていたことが発覚。パワハラについても追加提訴していました。

 Bさんは13年以上オリエンタルランド社で勤務してきたベテラン。ゲストとのふれあい時に右手薬指を故意に反対側にひねられてねんざを負うという事象が発生し、上司に労災を申し出たところ「エンター(エンターテイナー)なんだからそのくらい我慢しなきゃ。君は心が弱い」と一蹴されたと訴えていました。

 Bさんが特に問題視していたのは「閉鎖された狭い空間でのイジメの発生」。

 うわさ話や「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」「病気なのか。それなら死んじまえ」 といった悪口がはびこる職場について、「ディズニーランドで働き続けたいからこそ環境を変えなくてはいけないと考えています」「長年耐えてきましたが、我慢するだけでは何も変わりません。パワハラがない、安心して働き続けられる職場になるのが私の夢です」と涙ながらの陳述を行っていました。

 こうした状況について2018年にAさんはオリエンタルランド側に対し「過重な重量業務で、上肢障害を発症した」ことにより安全配慮義務を欠いたとして約425万円の損害賠償(治療費、2017年1月10日から4月末までの休業損害、慰謝料含む)を請求。

 Bさんはオリエンタルランド側に対し「従業員に対してのパワハラの防止教育」「パワハラ発生時には調査して内容を把握する義務」「被害者の苦悩を取り除くための措置義務」(安全配慮義務)を怠ったとして約330万円の損害賠償請求を行っていました。

東京ディズニーランド TDL オリエンタルランド

 こうした訴えについてオリエンタルランド側は、「労災が認められたということは認めるが、認定されたからといって安全配慮義務違反があるということではない」との姿勢を被害者弁護士団に示して反論。裁判直前には、あくまでも「裁判に影響するものではなく全ての従業員に求めるものの確認」として、AさんとBさんに対して「あなた方は従業員である以上、会社のプライバシー保護、秘密事項や会社の業務等をする必要がある」という旨の通知書を送付していたことも明らかになり、被害者弁護団からは「このタイミングでの送付は『あなた方の身分に影響しますよ』と言わんばかりで異常です。オリエンタルランド側に誠意を持って臨むという姿勢が見られない」との声が上がっていました。

東京ディズニーランド TDL オリエンタルランド 判決を言い渡した千葉地裁

 2018年7月の提訴から約3年半、2回の判決延期を経て出された今回の判断。オリエンタルランド社はねとらぼ編集部の取材に対し、「今回の判決において、当社の主張が一部認められなかったことは誠に遺憾であり、判決内容を精査した上で今後の対応を検討して参ります。なお、原告が主張するパワーハラスメントに該当する発言は認められませんでした。ゲストの皆様をはじめとする日頃より当社を支えてくださる全ての皆様に対しご心配おかけしておりますことをお詫び申し上げます」とコメントしました。

なお原告Aさんの裁判については、裁判が分離されたため現在も継続中とのことです。

(※)原告の記者会見を受け、より正確な表現とするため、一部記事を加筆修正しました。

(※)オリエンタルランド社からコメントを一部修正したい旨の連絡があった為、差し替えました。

(Kikka)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」