一度泊まれば一生自慢できるぞ! 旧任天堂本社に泊まれるホテル「丸福樓」がついに開業、一足早く内部をレポート(3/3 ページ)

» 2022年03月31日 14時30分 公開
[しげるねとらぼ]
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バルコニー付きの部屋が魅力の「クラブ」棟

「クラブ」棟は元倉庫。ドア脇にはっきり書いてありますね
こちらの建物は昭和5年(1930年)竣工
中に入ると、小ぶりなエレベーター(現在は非稼働)が鎮座しております
分電盤がむき出しでくっついてるあたり、マジで倉庫だったんだなという感じです
窓にはこれまでの建物と共通の装飾が
消火用の設備もそのまま残されています
歴代の任天堂製トランプが飾ってあったりします
「クラブ」棟なので、階数の表示もクラブのマーク。オ、オシャレ……!

 4つめの「クラブ」棟は、もともと任天堂の倉庫だった建物。1階には宿泊客向けのレストラン(なので、レストランのみの利用は現在のところ不可能です)である「carta.」が入っており、2階から上が客室となっています。「任天堂の倉庫」と言われて想像する建物としてはちょっと小さい気がしたんですが、そもそもこの建物で仕事をしていた当時の任天堂の売り物って花札とかだから、多分商品自体がそんなに大きくないんですよね。なるほど、だからこのくらいの倉庫でも機能してたし、荷物を運ぶためのエレベーターが妙に小さいのね……と勝手に納得。

バルコニースイートのソファやカウチは、実際に任天堂本社で使われていたもの
この扉も、もともと倉庫の中で使われていたものです
室内はラグジュアリーな雰囲気なんですが、天井がなくてそのまんま斜めの屋根になっているあたり「倉庫だな!」という感じです
バルコニーもタイルが市松模様になってたりして、いちいち凝ってる
そして窓を見上げればそこに任天堂の文字が!

 この棟の3階に用意されているのが、バルコニースイート。倉庫棟についていたバルコニーをそのまま利用した客室で、東山を一望できる見晴らしの良さが魅力です。室内にあるソファや扉は、もともと倉庫にあったものをそのまま利用。往時の任天堂で使われていた調度品を、宿泊すればそのまま使うことができます。

このホテルに泊まるためだけに京都行くのもアリ

というわけで再びエントランスに戻ってきました

 以上のように、4棟それぞれに異なる持ち味のある丸福樓。なんせ建物が古いので、現代的なホテルの快適さとはちょっと趣の異なる部分もあります。特に新築棟以外はエレベーターがなく、昔の建物特有の幅が狭めで急な階段のみで上下の移動をしなくてはならないのは、微妙にしんどいところがあるかも。

 が、それをわかった上でも、このホテルに泊まるのはバリューのある体験なのかも……と思ったのも事実。なんせこれだけぜいたくな昭和初期の建物の中に入ること自体が珍しく、しかもそこに宿泊できるというのは相当貴重な体験です。実用的な雰囲気の漂う「スペード」棟や「クラブ」棟、そして当時のモダンなデザインがパンパンに詰め込まれている「ハート」棟と、建物によって味付けがかなり違うので、そのあたりをじっくり見られるのは眼福。いたるところに凝ったデザインが詰め込まれたディテールを観察するもよし、レトロな雰囲気に浸るもよし、泊まる人によっていくらでも楽しめる部分があるな……と思った次第です。京都なので周囲は観光地だらけですが、とにかく見所が多いので「このホテルに泊まる」という目的のためだけに訪れる価値があります。

 運営が任天堂ではないので「おなじみのキャラクターが大集合!」みたいな要素もないですし、ゲーム関係の展示も控えめですが、任天堂創業家の建物なのは間違いなし。そこに泊まれるというのは、ゲームファン的にもアツいはず。どの部屋も一泊10万越えなので、正直お安くはない。ですが、一度泊まれば「任天堂の本社に泊まったんだぜ〜」と一生自慢できますし、何かのタイミングで泊まってみるのもかなりアリだな……というホテルでありました。

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