ゆるふわ女子の日々を眺めながら、凄惨な中学生の悲劇を追う 2回目の「Project:;COLD」は情報量マシマシ、エモさマシマシ:あのキャラに花束を(4/5 ページ)
公式による情報整理
今回はみやまんメンバーと異なり、どこの誰かも知らない子たちが被害者で、同じく知らない人が加害者です。うわさには尾ひれがつくもので「漆ヶ原中学校学校裏サイト」として、Discordサーバーが存在。生徒たちがあることないこと言いたい放題で、こちらも常時更新され続けていました。ここは視聴者は書き込むことが出来ない、監視だけできる状態です。
昔から学校裏サイトは問題になっていましたし、前回もTwitterの裏アカウントが話題になりましたが、クローズドSNSサーバーに進展しているこの事態、今の時代に即していて生々しいです。LINEなどで実在しそうです。会話も極めて中学生的で幼い。そのままノリで書き込む子もいれば、聴いた話を着色する子、「キモ」など感覚で話す子も。ここは完全ゴシップゾーンなので、どこまでがヒントで、どこからが臆測なのか全く分かりません。
今回の謎解きルートは、ネット上での情報の量が本当に莫大です。一人で全部整理し把握するのはまず無理です。
それを融解班の集合知も取り上げながらうまく公式がまとめていたため、最終的にノイズを省いて大事なところが分かるよう整理されました。ここも前回からのエンタメとしての見事な進化でした。
まずは「C」による整理。管理している「現代SF探究サロン ― ジョン・タイターと國分玲とわたし」を見れば、必須情報のサイトやTwitterのURL、ハッキングするアカウント、解いたパスワードまで全部整理されてまとまっています。謎解きリーダー役兼書記として、非常に有能な立ち回りのキャラクターでした。しかもサイトには、知らなくても大丈夫だけど知るとびっくりする隠しネタも(これがまた見つけにくい!)。
公式のTwitterアカウントも途中経過をその都度しっかりまとめています。毎日更新は追えない! と多少乗り遅れても、「C」のサイト、みやまんチャンネル、公式Twitterを見れば大体空気感も含めて分かるくらいにまで、すっきり整理されています。もっともっとシンプルに、最低限の流れだけ把握したい場合は公式サイトを見るだけでOK、というのも親切設計でした。
とはいえ、今回の面白さとリアルさは、ノイズの多さにもあります。
愛のあるインターネットノイズ
今回の「case.633」はノイズ情報に対して、とても愛情が注がれていました。直接の関係者じゃない声が多数記録されており、ぶっちゃけそれらはなくても物語が成立するものです。けれども確実に別の人生があるのが感じられる、丁寧な作りこみのノイズでした。
これは漆ヶ原中学校三年生の子のアカウントです。「ソーランヒップホップ」は前の方で話題に出ていた学校の話題で、流れで出てきた一発ネタ単語として見る人のほうが多かったように思います。ところが事件解決後に、まさかの歌詞プリント全文アップ。このためだけに作ったのか。
確かに笑いのネタとしても見られるけど、これ真剣にやったらそれはそれで、いい中学校時代の思い出なんじゃないか? これを考えた先生、参加した生徒、歌詞を書いているときの気持ち……別の人間の存在が向こう側にあるのを感じさせてくれます。事件と関係ない面々が、ただのモブになっていません。
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