「Kindleの本が全部消えた」 Amazonの“アカウント結合”の仕様が怖いと注目集める 日米アカウントを結合している人は気を付けて(1/2 ページ)
総額30〜60万円ほどの電子書籍が全て読めなくなったとの報告がネットで注目を集めています。
「Kindleの本が全部消えた話」というブログエントリ(1/2/3/4)が、ネット上で「怖い」「気をつけよう」と話題になっています。幸い、現在は解決したようですが、一時は300冊以上(総額30〜60万円ほど)あったKindleライブラリが全て消えてしまったといい、Amazon利用者は「こういう落とし穴がある」という点には注意しておいた方がよさそうです。
話題になったのは、Twitterユーザーのsatさん(@satoru_takeuchi)のブログ。最初のエントリは4月21日に投稿され、なぜKindleライブラリが消えるに至ったのか、その後Amazon側とどのようなやりとりがあったかなどを、これまで約1カ月半、全4回にわたって報告しています。幸いなことに、最終的にはAmazon側でライブラリを復旧してくれることになったそうですが、ここに至るまではかなりの苦労があったようです。
そもそもなぜsatさんのKindleライブラリが「全部消えた」のか、原因はAmazonの「アカウント結合」の仕様にありました。
アカウント結合とは、Amazon.comやAmazon.co.jpなど複数地域のAmazonアカウントを持っている場合に、アカウント情報やライブラリなどを1つにまとめられる機能のこと。現在はできなくなっているのですが、例えばKindle上陸前に米国版をいち早く利用していた人などは、その後取得した日本アカウントと結合したことがあったりするかもしれません。
satさんも過去にアカウントを結合し、現在はAmazon.co.jpのアカウントをメインに使っていた一人でした。しかし、少し前に別のちょっとしたトラブルがあり、原因がアカウント結合にあったのではと思い、もう使っていなかったAmazon.comのアカウントを削除。ところがアカウント削除から90日後、Amazon.co.jp側で突然、Kindleの本が全て見られなくなってしまったそうです。さらにAmazaonプライム・ビデオやAmazonミュージックなどのアプリにログインできなくなった他、買い物アプリもすぐにログアウトされてしまうといった症状も。
その後satさんがAmazonに問い合わせたところ、この「過去にAmazonのアカウントを結合したことがあり、その状態で米国版アカウントを削除すると、購入した電子書籍などが見られなくなってしまう」という現象は、はAmazon側の“仕様”であるとの回答があったとのこと。satさんがよくよく確認すると、確かにアカウント結合についてのヘルプページや、またアカウント削除前の注意文にもそのことは書いてあったといいます。
しかし、いくら事前に注意書きがあったとはいっても、うっかり踏んでしまったときのダメージの大きさを考えると、相当に危なっかしい仕様なのは間違いないでしょう。加えてsatさんの場合、サポートとのやりとりの中で「使用していないAmazon.comのアカウントを閉鎖してもいいか」「そうですね」といった会話があったことも、アカウント削除を後押ししてしまう形となりました。Amazon側はその後、アカウント閉鎖による影響について案内しなかったことの非を認め、消滅したライブラリを特別に復旧させると約束してくれたそうです。
その後、6月8日にsatさんはTwitterで「みなさんわたしのkindle本リストが戻ってまいりました」と無事に問題が解決したことを報告。別の新規アカウント上にライブラリを復旧してもらえたほか、プライム・ビデオやAmazonミュージックなどについても、アクセスできなかった期間分の返金を受けたうえで、新規アカウントから再契約する形で解決したとのことでした。
ただ、これはあくまでsatさんの場合であり、もしも同じようにアカウントの結合・削除によりライブラリが消滅してしまった場合、同様に対応してもらえるかどうかは不明です。satさんは、事前の注意書きを見落としてアカウントを削除してしまったことや、当初記憶違いでブログに「サポートの指示でアカウントを消した」と書いてしまったことなど(※)自身の落ち度についても反省しつつ、Amazon.comとAmazon.co.jpのアカウントを結合して利用している人に対し「amazon.comのアカウントを消してはならない」と注意を呼びかけています。
※「使用していないAmazon.comのアカウントを閉鎖してもいいか」「そうですね」というやりとりはあったが、“指示”があったわけではなかった
なお、編集部でもアマゾンジャパン広報にこれらの仕様について質問を送っていますが、Amazon.com側にも確認する必要があり、回答には時間がかかるとのことでした。
※記事協力:satさん(@satoru_takeuchi)
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