“心が折れた”オビ=ワン演じたユアン・マクレガーが劇中に仕込んだイースターエッグ ユアンとヘイデンに最終回配信前インタビュー(1/2 ページ)
アナキンの“恨み”とオビ=ワンの“愛”。
ディズニープラスで配信中のドラマ「オビ=ワン・ケノービ」が6月22日に配信される6話でフィナーレを迎えます。「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」と「エピソード4」以降をつなぐ物語として注目を集め、世界中のファンがオビ=ワンとダース・ベイダーことアナキンの新たな物語を見守っています。
主人公オビ=ワン・ケノービを演じるのは、「エピソード1〜3」で同役を演じたユアン・マクレガー。シリーズ開始前のインタビューでは「国際的俳優としての地位を得るきっかけとなった役柄」とオビ=ワン役への強い思い入れを明かしており、今作では主演に加えて製作総指揮も務めています。
さらに「エピソード1〜3」でアナキン・スカイウォーカーを演じたヘイデン・クリステンセンは、映画史に残る悪役“ダース・ベイダー”としてシリーズに凱旋(がいせん)。仮面の下の素顔を見せる場面はほとんどないものの圧倒的な存在感で、「エピソード4」以前に銀河の人々がどんな絶望的な世界を生きていたかを示しています。
最終回の配信が迫る中、ユアンとヘイデンは日本国内メディア向けインタビューに参加。大きな話題になった5話での回想シーンや、毎回配信のたびに盛り上がるSNSでの反響について、思うことを聞かせてくれました。
誰も見たことのない英雄を “心が折れたオビ=ワン”を描いた新シリーズ
同作の舞台は「エピソード3」から10年後の世界。ジェダイの身分を隠して暮らすオビ=ワンはすっかりやつれ、反対にアナキンはダース・ベイダーとして恐怖で銀河を支配しています。ヘイデンはダース・ベイダーとしての撮影は「楽じゃない。すごく暑いし、トイレに行くのも大変。衣装としてはとてもかっこいいけれどね」とコメント。視聴者にとっても2人の変わり様は大きな衝撃を与えました。
―― 配信開始後には「エピソード3」までのイメージとは異なり、弱くなったオビ=ワンや、ダース・ベイダーとして残酷さを増したアナキンの姿に衝撃を受けたという声もSNS上には多く見られました。もちろん、エピソード4以降を考えれば納得できる描写ですが、こうしたリアクションはどう捉えていますか?
ヘイデン・クリステンセン(以下、ヘイデン) ネタバレはしたくないけれど、ショックを受けたファンがいるのだとすれば、“忍耐”の一言を伝えたい。それぞれのキャラクターに歩んできた道のりがあり、彼らの旅には彼らのまた違った側面を反映した軌跡が必要だから。
僕としては、このシリーズを面白くしている要素のひとつは、心が折れたオビ=ワンを見られること。今までにない一面を見せることで、オビ=ワンの物語全体がより興味深いものになっている。
ユアン・マクレガー(以下、ユアン) まだシリーズは終わっていないからね。最終回後に皆さんがどう感じるのかを待ちたい。
僕自身がこのシリーズに挑むにあたって何よりワクワクしていたのが、僕らがよく知り愛しているオビ=ワン……つまり、いつだって頼りになって窮地を救ってくれる“オビ=ワン・ケノービ”というキャラクターを、心が折れるような状況に置くことだった。アレック・ギネスが演じた何事にも動じることのない賢者としての彼や、僕が新3部作で演じた若くて自信たっぷりの彼をね。
―― オビ=ワンにとっては試練が続きますが、一方でアナキンをまだ諦めていないオビ=ワンの気持ちが垣間見えました。「エピソード3」から10年後の物語となる作品で、お互いへの思いがどう変化したと捉えていますか?
ヘイデン 「エピソード3」の最後の戦いは悲劇的なものだった。観客は2人の歴史を理解しているし、お互いにとって兄弟同然で、どれほど愛しているか理解しているからこそ、死闘を繰り広げる姿を見ると打ちのめされてしまう。
「オビ=ワン」でのダース・ベイダーは、まだオビ=ワンへの恨みの感情に飲み込まれているんだと思う。ジェダイに惑わされ、裏切られたと感じている。もちろん彼の主観だけどね。オビ=ワンを憎む気持ちは強いけれど、それはまた仲たがいをする兄弟のようでもある。心の底にはまだ相手に対する大きな思いが残っている。
ユアン そうだね、オビ=ワンはアナキンのことを諦められない。その人物の心に善があると知っている限り、らしくない状況に陥ってしまったり、以前とは違った人になってしまっていたりしたとしても、かつて誰だったのかを切り捨てることはできないんじゃないかな。諦めて切り捨てるとしたら、相当極端な状況まで行き着かなければ。
でもアナキンはまだ、そこまでは行っていないんだと思う。オビ=ワンはアナキンを愛しているし、自分が「エピソード3」の終幕でアナキンを殺してしまったのだと、ダークサイドにアナキンを取り込まれた責任だけではなく、アナキンの命を自ら奪ってしまったという自責の念を抱えて生きてきた。
でもアナキンがまだ生きている、自分の手にかけたわけではないと知ったとき、オビ=ワンの中にはさまざまな感情が渦巻いたんじゃないだろうか。もしかするとアナキンを取り返せるかもしれない、救えるかもしれないと、希望すら感じているんだと思うよ。
―― 切ない……。5話の回想シーンには師弟時代の姿で登場して話題になりました。当時のままの若々しさにビックリしましたが、ビジュアル面での役作りの秘訣(ひけつ)を教えてください。
ユアン 仲間からたくさんの助けを借りたよ(笑)。
ヘイデン デジタル界の仲間からね。
ユアン 当時の衣装に身を包んであのセットに戻れるのはやはり特別な経験だった。スタッフからもそれは感じたね。現場の雰囲気もすごいものだった。
このシリーズを作る中でよかったのは、スタッフの多くが新3部作世代で正真正銘の「スター・ウォーズ」ファンだったこと。だから現場は常にワクワク感であふれていたけど、特にヘイデンがいるとそれが最高潮に達するんだよね。ベイダー姿のヘイデンが見られるということで(笑)。
でも昔の姿をした僕らが登場したエピソードの撮影は……あの衣装は「エピソード2」だよね、ヘイデン?
ヘイデン そうそう。
ユアン 撮影現場は明らかにざわついていたね(笑)。僕らもお互いと戦うことができたし。撮影も確か3話での戦いの前だったので、本当にエキサイティングだった。
ヘイデン まさに、とても特別な日だった。「あのシーンを僕らで演じられるなんて」ってずっと思いながら演じてたよ。デボラ(・チョウ監督)が「アクション!」と言う度に僕らは戦闘体勢に入り、「今、僕らは最高にクールなことをやっているんだ!」という気持ちを共有している感覚がずっとあった。「この場に自分がいて、こんなことができるなんて」と。とても特別で、本当に本当に素晴らしい経験だったよ。
僕のヒーローへささげる 初公表のイースターエッグ
―― レイアがなぜ息子にベンと名付けたのか、いの一番にオビ=ワンを頼ったのか。新作にはオリジナル3部作、新3部作へつながるさまざまなイースターエッグが含まれていると思います。撮影時に「これはファンは驚くだろう!」とやっていたものがあれば教えていただきたいです。
ヘイデン (脚本、製作の)ジョビー・ハロルドと、デボラ・チョウがみんなが楽しめるように巧みにいろいろと仕込んでいるので、何度か見直したりながら新しい発見をしてもらえれば。まだ見つけていないイースターエッグに触れるとネタバレになってしまうので、それについてはノーコメントで。でも最終話にも楽しいイースターエッグがあるのでお楽しみに!
ユアン 実は「スター・ウォーズ」とは全く関係ないんだけど、僕個人のイースターエッグを入れているんだ。まだ誰にも言ってないんだけどね。僕のモーターサイクル界のヒーロー、バレンティーノ・ロッシが2021年にレースを引退したんだけど、ロッシの降車の仕方はすごく独特。それをオビ=ワンがイオピーを降りるときにやっている(笑)。
ヘイデン え! ホントに?
ユアン ロッシは前から足を跨いでバイクを降りるんだよ。そんな降り方をする人は他にいなくて、みんな後方から足を跨いで降りる。だからイオピーを降りるとき、イオピーの首を足で跨いで降りた。僕のヒーロー、バレンティーノ・ロッシへのちょっとしたオマージュだよ(笑)。
ヘイデン 最高!
―― それはさすがに誰も気付いていないかも……。第3話の対決シーンや昨日の第5話での回想シーンなど、オビ=ワンとアナキンのファイトシーンがすごく話題になっていますが、一緒のファイトシーンで印象に残っていることや、撮影エピソードなどがあれば教えてください。
ヘイデン オビ=ワンとダース・ベイダー……アナキンと呼んでも、ベイダーと呼んでもどちらでもいいけれど、彼らの対決は僕にとって間違いなくハイライト。ライトセーバーでの戦いはどれも最高に楽しかったね。
「エピソード2」の撮影時、ユアンと僕はかなり一緒にトレーニングをしたんだけど、お互いと戦うことはなかった。それが「エピソード3」で直接対決。あれは本当に楽しかったよ。すごく記憶に残る経験だった。
そして今回「オビ=ワン・ケノービ」で再び相まみえることができただけでなく、フラッシュバック(回想)でも対峙(たいじ)するシーンがあって、まるでタイムトラベルしているみたいだった。すごく不思議な感覚で。セットで再び同じキャラクターを演じているのに、時間が全く経過していないような感じがした。
ユアン 同感だよ。ヘイデンと仕事ができること自体が本当に素晴らしいことで、新3部作を撮影した時間というのは僕らにとっても本当に特別だったよね? だからヘイデンとともに同じ役を再び演じられるのは故郷に戻ってくるような感じがあった。
当時、セット外の作業の核にあったのは、アクション用にジムで過ごす時間だったかも。オーストラリアでニック・ギラード率いるスタント・チームに、複雑な殺陣を教わったあの時間! 楽しかったし、雰囲気もとても良くて。それをまた「オビ=ワン・ケノービ」で経験できたのは最高だった。僕らが対決するのをファンのみんなが楽しみにしてくれているのが分かっていたから、エキサイティングだったし、撮影にも熱が入ったよ。
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