首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社!? 鹿児島にある「面白殿」の歴史が深かった(1/3 ページ)

現代の感覚では残酷ですが、真相は果たして……?

» 2022年07月07日 11時00分 公開
[石関隆景ねとらぼ]

 「首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祀る神社」――その名も「面白殿(おもしろどん)」。現代の感覚ではぎょっとしてしまうような不思議な名前を持つ小さな神社が、Twitterで反響を呼んでいます。

 話題となっているのは、吉蔗さん(@kissya_ch)のツイート。吉蔗さんは「#見た人も無言で記紀神話に登場しない神様をあげる」というハッシュタグを添えて、鹿児島県にある面白殿や若宮神社(大山祇神社)・米次千人塚など面白殿にまつわるスポットの画像をいくつか投稿しました。

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 面白殿の鳥居
首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 確かに「面白殿」って書いてある

 面白殿の説明書きによると、その名前は、斬首された武将が「若年で面白の美青年」だったことと、「斬首した時面白いほど多量の血が噴き出した」ことに由来するといいます。その衝撃的な由来に対し、Twitterでは「祟り起きるで」「人間って怖い」などの反応が。

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 面白殿の説明書き

 果たしてそんな残酷な命名理由が本当なのか。過去と今で生死に関する感覚は違ったのか。若宮神社を含む24〜25の神社を管理している宮司の濱崎(さきは「たつさき」、以下同じ)さんに尋ねてみました。

※若宮神社とは面白殿の仇敵である島津忠兼を祭る阿久根市鶴川内の神社のこと。また、若宮神社とは地元の人の通称で、Googleマップや鹿児島神社庁Webサイトなどでは「大山祇(オオヤマヅミ)神社」とされています。

面白殿は山の頂上とふもとの2カ所に存在

 面白殿があるのは、鹿児島県阿久根市田代にある田代小学校から、薩摩川内市藤川方向へ46号線を800メートルほど南下した場所。

 小さい竹山に赤い鳥居を構え、その奥に高さ約60センチほどの灯篭が置かれているその小さな神社は、「正式には神社ではない」と濱崎さんは言います。

 「面白殿は、ふもとの灯篭と山の頂上にある石碑の総称なんです。本殿はありません」

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 ふもとの灯篭

 ツイートを投稿した吉蔗さんは頂上に石碑があるということについて「初耳でした」と話します。それもそのはずで、石碑のある頂上までの道は険しくなっており、地元の人でもなかなか訪れることができないのだそうです。

 頂上までの道には石の階段があった形跡がありますが、濱崎さんが地元の方から聞いた話によると、水に流されたり、たけのこを収穫するためのトロッコを引くために撤去されたりして現在はなくなっているのだといいます。

 

面白殿のエピソードは「中之峰の戦い」という史実から

 また、面白殿の逸話は実際の史実に準拠したものだと濱崎さんは語ります。『阿久根市誌』という阿久根市の歴史をまとめた書物によると、その舞台は天文十七年(1548年)に起きた「中之峰(首塚山)の戦い」とのこと。

 現在若宮神社で祭られる武将・島田忠兼が率いる出水方と、東郷重治率いる東郷勢との間で生じたこの戦は、東郷勢の敗戦に終わり、東郷勢の一武将が出水方に捕らえられて、斬首されました。

 「この武将は、まだ若年で面白(おもじろ)の美男子であり、また、ざん首した時面白いほど、多量の血が噴き出たことなどから、『面白殿』と呼び、この武将の霊を祭って一社を建てたのが、現在の面白殿社である」と『阿久根市誌』(164ページ、6〜9行目)に記述されていることから、面白殿の由来は史実に即したものだと言えるでしょう。

 

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/05/news107.jpg リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  2. /nl/articles/2502/05/news112.jpg “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  3. /nl/articles/2502/05/news051.jpg こ、これは! ウインナーにホットケーキミックスをつけて揚げたら…… “まさかの料理”が爆誕 驚きのビジュアルが293万再生
  4. /nl/articles/2502/05/news049.jpg 「思ってたんと違う」 ダイソーの“クマさんグッズ”→鼻を押すと…… 衝撃ビジュアルに「想像超えてきた」
  5. /nl/articles/2502/03/news138.jpg 空港で荷物が重すぎると呼び出され…… 職員に囲まれ確認されたスーツケースの中身に「密輸や笑」「気持ちはわかる」
  6. /nl/articles/2502/05/news012.jpg 「お父さん(78)昔は美男子だったのよ」→娘は信じていなかったが…… 当時の“驚きの姿”に「漫画に出てきそう」
  7. /nl/articles/2502/05/news022.jpg 田んぼに捨てられていた小さな黒猫→2年後…… 驚きの“現在”に「2年で!?」「あらまぁ!!!」と300万表示
  8. /nl/articles/2502/05/news004.jpg 「尊敬します」 妻が22時に作る“旦那弁当”をのぞくと…… 残り物がパッと豪華に見える“ひと工夫”に「幸せ者ですなぁ」
  9. /nl/articles/2502/05/news077.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコを水槽に入れたら…… 予想もしなかった波乱万丈な生きざまに「タコに泣かされる日が来るなんて」「まじでツラい」
  10. /nl/articles/2502/04/news008.jpg 【ヤフオク】ブックオフから買った“約8000円のジャンク品”→開封したら…… “ぶっ飛んだ代物”にネット大興奮 「夢が広がる」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議