ニュース
» 2022年07月20日 11時00分 公開

とらのあな「ほぼ全店閉店」衝撃発表の理由とは? 店舗事業撤退の裏側を聞いてみた(1/2 ページ)

「とらのあなといえば同人ショップ」のイメージからは変わっていきそう。

[しげるねとらぼ]

 同人ショップ「とらのあな」を運営する虎の穴が7月5日、池袋店を除く全店を8月31日をもって閉店すると発表しました。とらのあなはコロナ禍以降閉店が相次いでおり、残っていたのは6店舗のみ。それらの店舗も、1拠点を残して全て閉店する事態となりました。

とらのあな 閉店 閉店の発表

 今後はネットを使った通販を中心に、同人誌や商業誌、グッズなどの販売を続けていく方針とのこと。しかし、全国規模で展開していた店舗を閉めるということになれば、それなりに大きな影響があるのでは……。また、虎の穴が運営するファンティアなど別事業との関係も気になります。そこで、ほぼ完全閉店となる今回の事態の裏にはどのような事情があったのか、親会社であるユメノソラホールディングスの取締役であり、虎の穴の取締役でもある鮎澤慎二郎氏に聞いてみました。

ギリギリで決断した(ほぼ)全店閉店

──既にリリースなどで発表されてはいますが、今回の閉店についてあらためて具体的な理由を教えていただけますか?

 以前から閉店が続いているように、コロナ禍の影響もあって店舗事業自体が厳しい状態になっているというのは、2020年以降変化していません。その状況下で、採算が厳しい店については一店舗づつ精査しながら撤退の可否を判断してきました。そんな中、7月から新しい四半期が始まるにあたって、これからの事業をどうするか議論する中で閉店を決定したという流れです。実態として、今回締めることになった5拠点は事業として採算が厳しく、それであればこの2年で大きく伸びている通信販売にしっかり投資をしていくべきでは……という判断から閉店することになりました。

とらのあな 利用者推移 店舗と通販の利用者数推移

──「閉店した方がいいのでは」という議論が始まったのは、いつ頃でしょうか。

 2021年11月ごろです。我々は四半期ごとに来期どうしていくかを定めながら計画を組むんですが、ひとつ重要なのが夏コミと冬コミの繁忙期での売り上げの状況なんです。2021年は、夏コミが終わってこれから冬コミがくるという11月のタイミング(※)で、店舗での売り上げがそこまで上がっていませんでした。そこから「これからどうしていくか」という議論が始まりました。

※2021年は東京五輪延期の影響でゴールデンウィークにコミケを開催予定だったものの、感染拡大を受けて冬に延期となったため、夏コミは開催されなかった

──同人誌の委託販売の仕事だから、夏と冬のコミケのタイミングでの売り上げが経営判断の重要な材料になるわけですね。

 そうですね。なので2022年2月ごろにも、冬コミが終わって実際どうかという議論が出ました。そこでも状況には大きな変化がなかったんですが、もうひとつ大きな商機としてゴールデンウィークがあります。コロナも落ち着いてきて制限が解除されるという中で期待を持っていましたが、7月以降の事業計画を組もうと思うと5月というのはギリギリのタイミングです。そんな理由もあって、このゴールデンウィークが過ぎたあたりの数字から撤退を決断しました。撤退するにしてもすぐ撤退できるわけではないですし、正直何度か行ったり来たりしながらの決断でした。

──店舗に関して思い入れもあるでしょうしね……。

 弊社の代表も、感情的な面も含めてそこは悩んでいましたね。28年前に秋葉原で店を立ち上げて、そのままずっとやってきたので。しかし事実として厳しい売り上げの数字がある中で、ここで決めないと7月以降の計画が完成できませんでした。閉店を決めた要素として、店舗が定借であるという事情もありまして、物件を借りられる期限が切られているのでこのタイミングでの決断になったという理由もあります。本当に最近決まったので、従業員には迷惑をかけてしまいましたし、クリエイターやお客様にもギリギリの案内になってしまいました。そこは大変申し訳なく思っています。

──それだけ店舗の状況が厳しいというのは、やはりコロナという要因が大きかったのでしょうか?

 短期的には集客も激減し、コロナの影響が確かに大きかったといえます。とはいえ、しっかり店舗事業を維持している他社さんもいらっしゃるので、コロナだけかと言われると違います。営業努力や、適切に店舗のありようを変化させていくというところにテコ入れできなかったところもあるので、コロナのせいだけにするべきでもないと思っています。本来ならば事業転換として店舗事業を見直すタイミングもあったと思うので、しっかりテコ入れをするだけの手がなかったというのが正直なところです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/11/news037.jpg まるで絵画 SNSで公開された“世界屈指の美しい犬”の姿に「女神様」「サラブレッドのお馬さんかと」
  2. /nl/articles/2312/10/news033.jpg 捨てられて真っ黒だった元野良猫が、家猫になった今では…… 真っ白で幸せいっぱいの暮らしに「ほんときれいな美猫さんに」「胸が熱くなる」
  3. /nl/articles/2312/11/news030.jpg 猫たち、日常を写した1枚に爆笑ポイントを詰め込みすぎてしまう 108万件表示された光景に「猫4匹いる!?」「笑っちゃったw」
  4. /nl/articles/2312/11/news094.jpg ハロプロアイドル、自撮り加工での大失態暴露「最悪です」「あー恥ずかしい」 やらかし写真は投稿済でファンの反応まちまち
  5. /nl/articles/2312/10/news019.jpg 入院で2週間不在だったママを待ち続けた猫、再会の瞬間…… 涙を誘う喜びあふれる“お返事”に「深い絆に涙が」「嬉しさがひしひしと」
  6. /nl/articles/2312/10/news018.jpg 同居猫のおしりを嗅いで「テメェ屁こいたなぁ!!!!!??(怒)」と理不尽ギレする猫の姿に抱腹絶倒「夜中に爆笑させないで」「名作」
  7. /nl/articles/2312/11/news074.jpg ロッチ中岡、「エンゼルスの大谷翔平」をすべり込みセーフで撮影 “お別れ1時間前”の写真に「マジ? 奇跡だ」「さすがもってる!」
  8. /nl/articles/2312/11/news097.jpg King Gnu井口理、プライベートでスペイン旅→同行した“超大物”に驚きの声 「まさかの」「番組一本できるやつ!」
  9. /nl/articles/2312/08/news128.jpg 木村拓哉、「DA PUMP」ISSAとの舞台裏ショットが感動モノ「兄弟みたい」「泣きそうになる」 “縁のあるチームTシャツ”に反響「愛を感じます」
  10. /nl/articles/2312/10/news011.jpg 犬同伴OKのビュッフェに柴犬と行ったら…… 全く別の楽しみ方をしてしまう姿に「かわいいいいい」「気持ちよさそう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」