松屋のみそ汁、一部地域で有料化! 衝撃のニュースであらためて思う、「カレーとみそ汁」の松屋らしさ(2/3 ページ)
おざなりに出てくるからこそ輝くみそ汁の存在
しかしこのみそ汁は、おざなりに出てくるからこそ光り輝く。カレーの合間にあのみそ汁を啜ることで、「雑な店で雑な食い物を食べているな……」という実感が心の底から湧いてくるのである。考えてもみてほしい。あのみそ汁が存在せず、カレーだけが単品でポンと出現したら、それはもうただの「牛丼屋で出てくるにしてはうまいカレー」である。松屋のカレーはうまいが、それはカレーの専門店で出てくるちゃんとしたカレーのうまさとは方向性が違う。牛丼屋のカレーにしては丁寧でうまい松屋のカレーだが、それは牛丼屋という業態や価格帯などの前提があってこその丁寧さやうまさであって、しっかりしたカレー屋のカレーとは戦っている土俵が異なるのだ。
思うに、カレー専門店でカレーを食べる体験と松屋でカレーを食べる体験の間に最も濃く一線を画しているのが、あのおざなりなみそ汁ではないか。松屋のカレーは(牛丼屋のカレーとしては)丁寧でうまい。しかし、みそ汁はなんとも雑に登場する。この丁寧さ・おいしさと雑さの落差をのぞき込むことこそ、松屋のカレー系メニューの醍醐味なのだ。
確かに食べ合わせとしては合わない。カレーはこんなにうまいのに、なんでみそ汁なんだろうか。でもまあ、せっかく出てきたし食べるか……思ったより熱いな……これじゃカレーの方を先に食べ終わっちゃいそうだ……困ったな……。こういった、みそ汁の存在を受けての心の動き、みそ汁に対する諦め、そして諦めたみそ汁を啜った後に食べるカレーのうまさ、カウンターから見る店員の動きや店の中の雰囲気、そういった諸要素の集合体こそが、おれにとって「松屋でカレーを食べる」という体験なのである。
この体験は、あくまで松屋でしか得られない特別なものだ。よその牛丼屋では、全メニューにみそ汁をつけるようなざっくりした方針をとってないから不可能である。他の飲食店と松屋を分つもの、それがあの何にでもくっついて出てくるみそ汁だ。松屋という店の雑さ、そして「牛丼に勝手にみそ汁がついてきたらお客さんが喜ぶだろう」というサービス精神の象徴こそが、あのみそ汁なのだ。
というような松屋の松屋性を味わうスペシャルな体験が、みそ汁が有料になるとどう変化してしまうのか。定食には変わらず付いてくるのだろうし、牛めしなどのサイドメニューとしてもみそ汁の需要はあるだろう。しかし、松屋にカレーを食べにきた人が、あえて60円払ってみそ汁を頼むだろうか。おれは頼まないと思う。どうせカレーのサイドメニューを頼むなら、「ポテト」や「生野菜」、はたまた「ソーセージエッグ」あたりのほうが収まりがいいだろう。わざわざみそ汁をチョイスする理由が、全然見当たらないのである。カレー&みそ汁というあの松屋ならではの組み合わせは、いったんみそ汁が有料になったらまるで最初から存在していなかったように、われわれの前から消えてしまうであろう。おれだってみそ汁が有料になったら、カレーと一緒には頼まないと思う。
幸いなことに、おれが現在住んでいるエリアではまだみそ汁は有料になっていない。今住んでいる場所の近くには松屋がなく、加えてわざわざ遠出したときに松屋で飯を食うという選択肢を取りづらかったため、正直最近は足が遠のいていた。が、この物価高ではいつ全国的に有料になるか分からない。今のうちにみそ汁とカレーの食い合わせの悪さを味わっておくことこそ、かつて散々松屋の世話になっていた人間が今やるべきことなのではないだろうか。取りあえず、今週末は街に出て松屋でカレーを食べてこようと思っている。当たり前に存在していたあの食べ合わせの悪さは、いつまで味わえるか分からないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
-
「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
-
大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
-
「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
-
「大企業の本気を見た」 明治のアイスにSNSで“改善点”指摘→8カ月後まさかの展開に “神対応”の理由を聞いた
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
-
松田翔太、憧れ続けた“希少な英国製スポーツカー”をついに入手「14歳の僕に見せてあげたい」 過去にはフェラーリやマクラーレンも
-
「行きたすぎる」 入場無料の博物館、“宝石展を超えた宝石展”だと40万表示の反響 「寝れなくなっちゃった」【英】
-
自動応答だと思って公式LINEに長文を送ったら…… 恥ずかしすぎる内容と公式からの手動返信に爆笑 その後について聞いてみた
-
ユザワヤが教える“引っ張るだけで簡単に畳めるエコバッグ”の作り方が100万再生 便利でかわいいアイテム完成に「何枚あってもいい」「最高です」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた