さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー(1/3 ページ)

性別の違いはささいなことである。

» 2022年09月02日 19時30分 公開
[ヒナタカねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 さかなクンの半生をのんが演じる映画「さかなのこ」が9月1日に公開された。

さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー 『さかなのこ』 9月1日(木)よりTOHOシネマズ 日比谷 ほかにて全国ロードショー 配給:東京テアトル (C) 2022「さかなのこ」製作委員会

 本作のキャッチコピーには「さかなクンがさかなクンになるまでのすっギョいおはなし」とある。実際の本編を見ると確かに「すっギョい……(いろんな意味で)」と思わざるを得ない、普通の実話ものではあり得ない特徴がわんさかとある映画だった。

映画「さかなのこ」予告

のんとさかなクンは確かに似ていた

 さかなクンをのんが演じるコンセプトを聞いて、誰もがまず「……性別は……?」と思うだろう。だが、沖田修一監督はこのように公式のコメントを残している。

「さかなクンを描くのに、性別はそれほど重要ではないと思いました。実際と顔が似ているとか似ていないとか、そういう問題を取っ払って、もっと自由に、さかなクンの映画を作りたいと思いました」

 自分の先入観や視野の狭さを思い知らされるコメントである。実際、映画本編を見ると確かにのんとさかなクンが似ているとか似ていないとか、性別が違うとかは本当に良い意味でどうでもよくなってくる。

 その理由の筆頭が、さかなクンの底抜けな明るさを、のんが抜群の笑顔や、自然な一挙一動を持って見事に表現しているように思えることだ。その明るさは決して「さかなクンのモノマネ」などではなく、のんというその人が本来持っている「らしさ」そのまんまにも見えてくるのだ。

さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー (C) 2022「さかなのこ」製作委員会

 しかも、その明るさ以外でも、漠然とした「のんとさかなクンって確かに似ているのかもな」という印象が、映画を見ている間じゅう頭に植え付けられるような、独特の感覚があった。では、何が具体的に似ているのか?と問われれば、これがまったく言語化ができなくて困る。「よくわかんないけど、なんか似ているんだよ!」と言うしかないので、各自が実際に映画を見て確認していただきたい(丸投げ)。

ほぼ完璧な不審者として登場するさかなクン

 本作のさらなる衝撃、それはさかなクンの幼少期を描く序盤のパートにて、さかなクン本人が「ギョギョおじさん」というキャラクターを演じていることである。ギョギョおじさんは下校途中の小学生を見るにつけ足早で近寄り、「ねぇねぇ、君はお魚さん好き?」と聞いたりする、客観的に見れば純度99.9%の不審者だった。

さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー さかなクンにしか見えないが、劇中では不審者そのものな「ギョギョおじさん」というキャラクターである。(C) 2022「さかなのこ」製作委員会

 だけど、幼少期のさかなクンこと、当時「ミー坊」と呼ばれていた少年はもちろんその頃からお魚さんに興味津々であり、おまけに人懐っこい。望むところだと言わんばかりに両親へ「ギョギョおじさんのお家に遊びに言っていい?」と聞くのだが、父親からは「イタズラでもされたらどうするんだ!」と猛反対される。当たり前の親心である。

 そして、ギョギョおじさんのお家に遊びに行ったミー坊がどうなったのか? という顛末は、ぜひ映画本編を確認してほしい。お魚の話をするのが楽しくって夜までお家にいてしまい警察に通報されてしまうのは「でしょうね」と完全に想定内だったが、その後のまさかの光景がぶっ飛びすぎていて、「どういう気持ちになれと?」と思うしかなかったのだから。

さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー (C) 2022「さかなのこ」製作委員会

 もちろん、このギョギョおじさんは実在しない映画オリジナルキャラクター。脚本家の前田司郎によると、ギョギョおじさんは「さかなクンの影というか、もしも歯車が1つズレていたらと思って」創作した人物だそうだ。

 なるほど、後述もするが、現実のさかなクンも映画の中のミー坊も、人の「縁」や本人の「お魚が好き」という気持ちのおかげで成功していくのだが、ギョギョおじさんのように「そうなれなかった」人物は現実の世界にはいるかもしれないのだ。

さかなクンをのんが演じてさかなクンが不審者を演じる映画「さかなのこ」レビュー (C) 2022「さかなのこ」製作委員会

トラウマ化する大好きなタコさんをめぐる出来事

 衝撃はまだまだある。例えば、ミー坊は幼少期に「大好きなタコさん」をめぐってショッキングすぎる出来事に遭遇することになるのだが、こちらはほぼ完全に実話。笑っていいのかどうかも分からない、嘘のような本当にあった出来事がすさまじい絵面となっていた。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」