「なぜ男子はスカートを選べないのか」 “男子でも着やすいセーラー服”が注目集める 制作者が込めた思いとは(1/2 ページ)

なんというカッコいいセーラー服!

» 2022年09月07日 09時55分 公開
[増田雄三ねとらぼ]

 “男子でも着やすいセーラー服”がTwitterで拡散され「私も着たい」「すごく素敵」と注目を集めています。なんというカッコいいセーラー服!

画像内テキスト 注目を集める「男子でも着やすいセーラー服」

 投稿したのは、一般社団法人日本障がい者ファッション協会(JP∞FA)代表理事を務める平林景さん(@tottolink)です。

 セーラー服と聞くと、かの有名な「セーラー服と機関銃」や「セーラー服を脱がさないで」から連想される“かわいらしい”スカート姿を思い浮かべがちかもしれません。ですが、平林さんが投稿したセーラー服は武士や戦士のような勇ましさを感じられるいでたち。セーラー服のニュアンスを残しつつカッコいいデザインに仕上がっています。

 投稿には、「刀剣男士みたいでカッコいいと思います!」「ゲームに出てくる魔法使いみたいでかっこいい」「舞台衣裳みたいで物凄くかっこいいです」と称賛のコメントが寄せられていました。

 平林さんは、「全員がアクセスできるファッション」をテーマに、障害の有無や性別など関係なく誰もが楽しめるファッション「bottom'all」(ボトモール)を展開しています。編集部では、今回の投稿について平林さんに話を聞きました。

「それはおかしいんじゃないか」

平林景さん(@tottolink) 平林景さん:一般社団法人日本障がい者ファッション協会(JP∞FA)代表理事。「全員がアクセスできるファッション」をテーマにボトムス「bottom'all」(ボトモール)を展開。9月27日にはフランス・パリ日本文化会館で「障害×ファッション」をテーマにしたファッションショーを開催する

――今回の投稿に至った理由や経緯について教えてください。

平林さん:数年前から「ジェンダーレス制服」の話題を聞くようになりましたが、この「男子でも着やすいセーラー服」を作ったのは2021年のことです。当時はそもそも制服を選べる学校がほとんどなくて、「それはおかしいんじゃないか」という問題提起として作りました。

 あれから1年経って、女子はスラックスかスカートかを選べる学校が増えてきました。でも同時に「女子はスラックスを選べるのに、なぜ男子はスカートを選べない場合が多いんだろう」と疑問を感じるようになりました。そんな現状へのさらなる問題提起として、今回、再度の投稿をしたという感じです。

――男子でも着やすいセーラー服を作るにあたり、ポイントやこだわった点はどこでしょうか?

平林さん:そもそもスコットランドでは男性の正装がスカート(編集部注:キルトと呼ばれるスカート状の民族衣装)ですよね。「男性がスカートを履くのは変」との考え自体が偏見なんじゃないかという思いから、男子が選ぶもの女子が選ぶものではなく、ユニセックスで全員が着やすい制服を作ることにしました。

 セーラー服は「ポパイ」という水兵のキャラクターが着ているように、もともとは男性の服です。それが今なぜか、日本では女性の服として認知されてしまっている。この違和感をひっくり返せるという点も、面白いなあと。

 こだわったのは、男女どちらが着たとしても「かわいらしさ」よりも「カッコよさ」を感じられるデザインにした点です。

 トップスの丈を短くして足が長く見えることや、座ったときにプリーツの中がきれいに見える所もこだわりです。私は「全ての人がアクセスできるオシャレ」というテーマで服を作っているので、プリーツは車いすの人が着たとしてもカッコよく見せられるデザインにしたいという意図があります。

――平林さんご自身もスカートをはいてその姿をSNSで発信されています。周囲の反応はいかがでしょうか?

平林さん:街では、女性から声をかけられることが多いですね。ほぼほぼ良い反応ですよ。「オシャレね」とか。もちろん中にはネガティブな反応をする人もいますが……。若い人で声をかけてくれる人は、ジェンダーで悩みをかかえておられる場合が多い印象です。「勇気をもらってます」なんて声をかけてもらえますよ。

 今の日本には変なバイアス(先入観や偏り)が多いと思う。「スカートは女性が履くものだ」もそうだし、私は福祉関連の活動をしているので、障害がある人と接する機会も多いのですが、障害者を「かわいそうな人」と思っている人が本当に多い。そういう話を聞くたびに、「そんなことないと思うけど」って言いたくなります。


 9月27日にはパリで「車いすの人だけのファッションショー」を開催する平林さん。立ち上げたクラウドファンディングには現在700万円近い支援が集まっています。

画像提供:平林景さん(@tottolink


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声