オフラインとオンラインの同時開催で活気を取り戻した「東京ゲームショウ2022」レポート 岡山市から専門学校まで、現地ならではの雑多な魅力が戻ってきた!:東京ゲームショウ2022(2/3 ページ)
壁際にある中小企業やインディーパブリッシャーのブースを巡るのが楽しい!
毎年、自分が真っ先に向かうのは大手のブース……ではなくて、壁際にある中小のパブリッシャーや、インディーゲームのブース。まずは会場内を壁に沿ってぐるっと1周しながら、面白そうだと思ったブースに突撃しています。
なぜ、そんなことをするのかって? それは、ここでしか見られないような展示物や、意外な名作を発見できたりするから。インディーゲームコーナーの外側にある各地に散らばったブースは、どうしても大手に隠れてしまいがちです。しかし、ここにも興味深いものがたくさん展示されています。
例えば、シルバースタージャパン。毎年、「AI売ります」の看板に引かれるこのブースは、囲碁や将棋のゲームでおなじみのメーカーさん。「銀星将棋」シリーズから「リアルタイムバトル将棋」のような変わり種まで、自社が誇るAIを使った将棋や囲碁のゲームを出しているだけではなく、法人向けにAIの販売も行っています。
そんなシルバースタージャパンブースですが、2022年はなんと銀星将棋AIを搭載したロボットが出現! 会場を訪れた人がリレー形式で将棋を指しながら、AIと戦うコーナーがありました。
こういうのを見たかったんですよ! オフラインのTGSじゃないと見られない催し物じゃないですか。こうした真面目なものから、ちょっとエッチなブース、謎めいたブースまで、現地に直接足を運んでみるからこそ見られるものがあるのです。
ちなみに、私もすぷくんに挑戦してみたかったのですが、下手の横好きで私はとてつもなく将棋が弱い! アークシステムワークスの「毎度 へぼ将棋」にすら勝てないレベルの弱さなので、会場の人の足を引っ張らないように泣く泣く断念しました。
「スーパー野田ゲーWORLD」でゲーム業界でも存在感を示しはじめた吉本興業のブースを通り過ぎ、「まだゲームにお金と時間を使うのか?」という強烈な煽り文句が目立つNFTゲームの広告を横目に移動。今回、よく見ると壁際だけではなく中央にもNFTゲームのブースがいくつかありました。
ゲーマーとNFTの関係はいろいろと難しい問題なので省略しますが、日本でもNFTなどのブロックチェーンゲームが存在感を増してきたことの表れといえるかもしれません。多分、来年はもっと増えそうな予感がします。
TGS2017で体験した南米チリ産のインディー2D格闘ゲーム「OMEN OF SORROW: THE DARK STRUGGLE」の展示もUNICOブースで確認。海外では2018年にリリースされているのですが、日本だと音沙汰がなかった作品です。個人的に楽しみにしていたのですが、出ないな〜と思っていたら日本語版が来るとのこと。こういう情報が分かるから、壁ブース巡りはやめられません。
壁際だけでなく、中央寄りのブースにあるインディーゲームを探すのも楽しみの1つ。大手のゲームだと80分待ちなどが多いですが、そこまで並ばずに遊べるのも魅力ですね。
そうやってインディー巡りをしていると、CRESTブースで「BLACK WITCHCRAFT」を発見しました。ゴスロリの女の子が戦うアクションゲームなのですが、じつはこの作品。初展示がTGS2015なんですよ。当初は今冬発売予定として2015年に展示されていたものが、紆余曲折を経て2022年の9月28日にSteamでリリースされるという7年ぶりの長期スパン。出るまでに、ビックリするくらい時間がかかっています。
自分と同じく、スタッフさんに「やっと出るんですね」と声をかけていた人もいたみたいですね。実際に遊んでみると、TGS2015のバージョンよりも格段に良くなって、動きも滑らかになっていました。あのとき、すぐに出さなくて正解だったのだろうと思いつつ、とはいえ2015年から2022年は長いよな〜と、ゲーム開発の大変さに思いをはせるブースでした。
ゲームを遊ぶだけがTGSじゃない! 岡山市やニトリなどの独特なブースも
小島監督率いるKOJIMA PRODUCTIONSが展示していた謎の看板を見たり、110Industriesの「Wanted:Dead」ブースの作り込みがやけにいいなと感心したりしながら、だらだらと会場内を行脚。今年は、人が多いと言ってもぶつからない程度の感覚で歩けるくらいには余裕があるので、逆に各ブースを回りやすかったかも。
さて、そんな私が次に向かったのは大手のブース……ではなくて、今度は岡山市。はい、岡山市です。あったんですよ、岡山市のブース。ビジネスデイ限定じゃなくて、日本ゲーム大賞の隣に。ゲームやPCパーツのブースに混ざって岡山市があったのです。
なぜ岡山市が? そもそも、なんの目的で? 気になって仕方がなかったので聞いてみたところ、市の産業観光局の方が答えてくれました。なんでも、目的はゲーム企業の誘致も兼ねた宣伝とのこと。岡山市はゲームの専門学校が4つくらいあるゲーム開発にも力を入れた市なのですが、肝心のゲーム会社が足りないそうです。そのせいで、せっかく地元で学んでもゲームを作りたい若者が東京に出ていってしまうとか。
う〜ん、なるほど。いろいろな目的を持って出展されているブースも多いですが、こういう地方ならではの悩みもあるのですね。これを読んでいる岡山市出身のゲームクリエイターの皆さん。TGSに出るくらい、岡山市はゲームに関心を持っているみたいですよ。市の公式ページを見ると、IT・デジタルコンテンツ産業の企業誘致や人材育成に取り組む試みも始まっており、ゲームを作りたい人にとっても住みやすい街になりそうです。地元にも注目してみたら、新しいキャリアが開ける……なんてことがあるかも?
こういったゲームそのものとは違う出会いもあるのがTGSの楽しいところ。例えば「お値段以上、ニトリ」のCMで知られるニトリは、ゲーミングチェアなどの家具を展示していました(関連記事)。
自分に合った快適なゲーム空間を作るのも、楽しいゲームプレイには必須といえます。自分は普段、庭の倉庫を乱雑に改造した超適当な空間、家族いわく「ゲーミング座敷牢」でゲームや仕事をしているので、こういうしっかりした家具をそろえて快適に過ごしたくなりました。
ヤマハミュージックジャパンでは、ストリーマーの関優太さんの防音室を完全再現。実際に体験できるというサービスもありました。来年のTGSに行く人は、こういう直接ゲームを遊ぶわけではないけれど、普段と違う体験ができるブースを積極的に巡ってみると、より楽しい思い出になるかもしれませんよ。
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