アニメ界の“最終防波堤” 「作画崩壊」でトレンド入りした演出家に直撃インタビュー 「作画監督が10人とかいるアニメは無駄の極み」(3/5 ページ)

» 2022年10月02日 21時00分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

――13本抱えてたときは、どんなスケジュール感で仕事をされていたんですか。

佐々木 気合と根性と無心ですね。

――力技だ……。

佐々木 連日打ち合わせがあるから、やるべきことが自動的に逆算されていくんです。昼12時に音響スタジオでアフレコ。16時に打ち合わせ。夕方スタジオに戻ってくると、そこから朝まで演出チェックの作業。徹夜で作った素材を使い翌日の昼13時からカッティング。それが終わると同じ編集スタジオですぐにまた別作品の作業があったり。そこからさらに夜まで打ち合わせが続いたりします。

36時間のスケジュール例
【※コンテ撮シート】テレビアニメを放送尺に合わせるカッティング(編集)作業などのために作られる、コンテ撮(絵コンテを撮影した動画素材)用のタイムシート。カッティングでは通常、原画の絵やタイムシートを使用するが、スケジュール上やむを得ない場合などにコンテを基に仮のタイムシートを作成し、直接コンテの絵を使って編集作業を行うことがある。

――聞いてるだけで具合が悪くなってきました。

佐々木 この感覚を説明するのは難しいんですが、カレンダー上でスケジュールがミサイルのように飛び交うイメージなんです。「マーキングが落ちる」→「作打ちはこの日できない」というように、日程がミサイルのように飛び交って、パズルゲームのようにこれしかないという形に組み上がる。

 それでもイレギュラーな事態は起こるもので。結果、カッティング会場で5社ぐらいの制作が腕組みしながら「この後の佐々木のスケジュールをどうしましょうか」と話し合いを始めたりする。

――手塚治虫の原稿待ちをする編集者たちみたいな光景が……。

佐々木 そんな仕事量だから、あの頃は「中身を見ずにマルをつけてるんじゃないのか」と噂されたりもしました。そう言うなら「マルを付けるだけでいいから13本やってみろ!」と言いたい(笑)。

佐々木さんの机に置かれたカット袋の山

アニメーターA 名義貸しの人と違って佐々木さんは手を動かして、レイアウトも描いてますからね。中身を見ないでマルを付けるだけだと、そもそも放送できませんよ。本当にそんなことをしたら次の仕事が来ないどころか、たぶん途中で降ろされます。アニメ業界にいれば、それが絶対に通用しないのは分かるはずなんです。それでも、実情と異なる噂が先立ってしまう。

 このあいだもスケジュールが放送まで1カ月とちょっとしかない状態で半パート助けてくださいと相談されて、悪い噂を耳にしていたその作品の監督が「こんなところに頼まなきゃいけないほど切迫した状況なのか……」と肩を落としていたらしいんです。でも、上がりを見て「あれ?」と。

――噂と違って、ちゃんとしてるじゃないかと。

佐々木 「Twitterは辞めたほうが良いですよ」とは言われましたけどね(笑)。それでも放送後、現場の経緯を全く把握してない、良い生活をしている上役から「なんだこの佐々木ってやつは!」と文句を言われることはある。

「年収4000万円」の真相

――良い生活と言えば、先日はクルーザーに乗った写真を上げてましたね。

佐々木 世間的には我々が予算を抜いてハワイでバカンスみたいなイメージになっているようですよ?

アニメーターA またわざわざ煽るようなツイートを……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた