ペットにかかる医療費用を知っていますか? ケガや病気……経験者に聞く医療費の実態【第2回:犬編】
愛するペットを守るため。
大事な家族の一員であるペットのケガや病気で動物病院へ――。そこで支払う額の多さに、驚く飼い主もいるのではないでしょうか。動物病院は自由診療のためかかる費用は病院によって幅があり、ともすれば治療を諦めざるを得ないほどの高額になることも。近年、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響でペットを飼う人が増加していますが、動物は大切な1つの“命”。ブームに乗って安易に迎えるのではなく、医療費などかかる費用も考慮に入れ、慎重を期さなければなりません。
平成27年に日本獣医師会が実施した「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査」では、ひと月に1家庭で犬/猫にかける医療費の平均は、大型犬:9281円、中型犬:8183円、小型犬:8217円、超小型犬:7435円、猫:6991円となっています。これにプラスして突発的なケガや病気ではその都度万単位の金額がかかることも。これからペットを迎える人は医療費に関しても十分に熟慮を重ねたうえで迎えるべきでしょう。
そこでねとらぼ生物部では、ペットの医療費に関するアンケートを実施。症例や費用、またペット医療保険の加入の有無や医療費に対する心構えなど、集まった回答を紹介していきます。
第2回「犬」
自己免疫性溶血性貧血/生姜谷わさびさんの愛犬(コーギー)
――かかった病気やケガの名称
自己免疫性溶血性貧血……自己免疫の異常により赤血球が壊れ、貧血になる病気。同時に血液凝固系にも異常をきたすことがあり、全身のショック症状のおそれもある危険な疾患
――通院時の年齢
9歳
――通院期間
約3年
――トータルでかかった医療費
250万円
――ペット医療保険加入の有無
非加入だった
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
生き物ですから人間と同じく生涯怪我とも病気とも一切無縁、なんてことはまず有り得ません。時期の遅い早いや程度の差は有れど、何かしらは有って当然なのでその覚悟と準備だけはしておきましょう
マラセチア皮膚炎/「小次郎」くん(チワワ)
――かかった病気やケガの名称
マラセチア皮膚炎……皮膚の上でマラセチアが過剰に増殖することで、ベタつきやフケ、臭い体臭、赤みが出る皮膚病。強いかゆみを伴い、慢性化していくと病変部が黒く色素沈着し、皮膚表面が固くなることも
――通院時の年齢
3歳
――通院期間
現在8歳、通院中(約5年)
――トータルでかかった医療費
月に1万円〜2万円、合計約50万円(保険適用で飼い主3割負担)
――ペット医療保険加入の有無
加入していた
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
意外と対象外のことも多いので、情報収集は必須。ペット保険に入る代わりに、ちゃんとお金を積立している方がいいかなぁという印象(手術や大きいケガをしたことがないから言えることではありますが)
心膜型中皮腫癌/おてちさんの愛犬「マイリー」ちゃん(雑種)
――かかった病気やケガの名称
心膜型中皮腫癌……胸腔、腹腔、心膜を覆う漿膜を裏打ちしている細胞である中皮が腫瘍化したもの。胸水や心嚢水(心臓と心膜の間に液体がたまること)による運動不耐性、発咳や呼吸障害、湿疹、腹水貯留による腹部膨満、食欲不振、嘔吐などの症状が起こることも
――通院時の年齢
10歳
――通院期間
約1年
――トータルでかかった医療費
150万円ほど
――ペット医療保険加入の有無
非加入だった
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
今まで12頭の犬猫と暮らしましたが、咄嗟の入院費15万位はペット用貯蓄として抑えるべきです。現在5匹の猫達には全員ペット保険を掛けてますが、それでも何かあったとき用の蓄えは別にしてありますし、長期通院も考えれば予貯蓄はしっかり管理をしたほうがよいです
前十字靭帯断裂/ならいさんと暮らす「ぽん」ちゃん(ミニチュアシュナウザー)
――かかった病気やケガの名称
前十字靭帯断裂……太ももの骨(大腿骨)と、すねの骨(脛骨)を繋ぐ十字靭帯のうち、前十字靭帯が断裂してしまう疾病。膝関節が不安定になり、足を引きずることも
――通院時の年齢
8歳
――通院期間
1カ月、現在も通院中
――トータルでかかった医療費
約25万以上
――ペット医療保険加入の有無
非加入だった
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
犬は予防接種やノミ・ダニ・フィラリア対策があるため、人間並み(以上?)にお金がかかります。金銭的に余裕がない場合、飼うことは勧められません
歩行異常/ピヨママさんと暮らす「ピヨ」ちゃん(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル)
――かかった病気やケガの名称
歩行異常……一時的な要因(筋肉の炎症や骨の異常)、または脳や伝達系神経の障害などの要因から歩行やジャンプが困難になる症状。低い段差も上り下りできなくなるなど日常生活に支障をきたすことも
――通院時の年齢
8歳
――通院期間
3日
――トータルでかかった医療費
1万7000円(保険適用で飼い主5割負担)
――ペット医療保険加入の有無
加入していた
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
病気に限らず、アレルギーのかゆみどめや、犬種独特の(例えばキャバリアなら心臓の定期検査、外耳炎になりやすい)など、思ってる以上に医療費がかかる。保険のきかないものも多い。金銭的なこともそうだが、信頼できる獣医に出会えて、そこにすぐ通えることが重要だと思う
ヘルニア/N.Gさんと暮らす「モノ」ちゃん(パピヨン)
――かかった病気やケガの名称
ヘルニア……椎間板が変性して突出し、脊椎の上にある太い神経(脊髄)を圧迫することで起こる病気。 頚部、胸部、腰部どこにでも発症の可能性があり、痛みや麻痺といった神経症状が生じる
――通院時の年齢
6歳
――通院期間
20日(1年に2回かかった)
――トータルでかかった医療費
6万円(保険適用前60万円)
――ペット医療保険加入の有無
加入していた
――これからペットを迎える人・ペットがいる人への医療費についてのアドバイス
若い子でも急に怪我などで入院手術があるので手術保険はほんとに必須。入ってなかったら2回のヘルニア手術は乗り越えられなかった
※医療費の金額に関しては、それぞれ個々の状態や通院した動物病院によって変動があるため、あくまで参考としてご覧ください
ペット医療保険について
日本でペット保険が誕生したのは1995年。その歴史は20年ほどです。それまでのペット医療には公的制度がなく、飼い主が医療費を全額負担しているという状況でした。医療保険の誕生は飼い主の経済的負担の救いになったのではないでしょうか。しかしながら疾患、ペット種によっては対象外であったり、手続きの煩雑さに申請をしなかったり……ただやみくもに加入すればいいというわけでありません。保険に加入するのであれば自分のペットに合ったものをしっかりと調べること、加入しないのであれば医療費を貯金する・積み立てるなどの対策が必要となってくるといえるでしょう。
ペットと医療費アンケート、次回は「その他の動物」編をお届けします。
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すてきなお家に来れてよかった。
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