映画「貞子DX」レビュー 令和の貞子は“謎解きとコメディー”と“仮面ライダーっぽさ”がマシマシに(1/3 ページ)
みんながウザキャラの川村壱馬を好きになる。
10月28日より「貞子DX(ディーエックス)」が劇場公開されている。本作は言わずと知れた、小説および映画「リング」シリーズのホラーキャラクター「貞子」をフィーチャーした最新作だ。
結論から申し上げれば、本作は面白い! これまでのシリーズからかなり大胆な“路線変更”がされており、それを受け入れてしまえば(ここ重要)大いに楽しめる快作に仕上がっていたのだ。
その路線変更ぶりは、「貞子DX」というハナから怖がらせる気がなさそうなタイトルや、「IQ200の天才が挑む<呪いの方程式>」「超体感型<謎解き>タイムサスペンスホラー開幕!」という「なんかジャンルが違う」キャッチコピーからもうかがい知れるだろう。
しかも本編には「意外にちゃんと怖いじゃねーかよ!」と良い意味での文句も言いたくなる一幕もあったりする。さらなる魅力をネタバレにならない範囲で解説していこう。
貞子がかすむほどに濃いキャラたち
いきなりだが、この「貞子DX」のメインの登場人物の名前と肩書を紹介しよう。
- 一条文華/IQ200の天才大学院生(小芝風花)
- 前田王司/自称“王子様”占い師(川村壱馬)
- Kenshin/人気霊媒師(池内博之)
- 感電ロイド/謎の協力者ハッカー(黒羽麻璃央)
お分かりいただけただろうか(貞子がかすむほどのキャラの濃さを)。
あらすじは「“呪いのビデオ”の謎を協力して解く」というシンプルなもの。そして、「IQ200の天才」という逆にバカな設定から察しがついた方も多いだろうが、本作はコメディー成分が多め、ギャグを確信犯的に随所にちりばめた内容になっている。
特に目立つのは、川村壱馬が絵に描いたような“ウザキャラ”を見事に演じていること。彼は自称占い師で“王子様”キャラを気取っていて、いちいち顎に手を当ててサムい決め台詞を言う実力が伴っていないナルシスト。超良い意味でイケメンが台無しで素晴らしかったので川村壱馬のファンになった。
その川村壱馬の残念なイケメンぶりに対して、生真面目な小芝風花が「あっ……そういう人か……」といち早く察して、冷たくあしらったりツッコミを入れる様が、ちゃんとギャグとして面白い。彼女の妹と母も物語に関わるようになる、「家族愛」の要素も備えているのもいい。
さらに人気霊媒師を演じた池内博之が、過去最高レベルのハマり役。カリスマ的な人気を得ていると同時にうさんくさいオーラを放ちまくっていて、それも「シリアスな笑い」を引き出しているし、敵か味方も分からない近寄りがたさも含めて魅力となっている。
黒羽麻璃央扮する謎の協力者・感電ロイドについては……いや、こればっかりはぜひ映画本編を見ていただきたい。ていうか感電ロイドっていったいなんなんだ。筆者はその言葉の意味がさっぱりわからなかったので、各自が本編を見て謎を解いてくれ(丸投げ)。こんなエスプレッソのように濃厚なキャラが今回の映画だけではもったいないのでシリーズ化してほしい。
謎解き×仮面ライダーっぽい
本作のさらなる注目ポイントは、「仮面ライダー」シリーズなどで知られる高橋悠也が脚本を手掛けていること。実際に見てみると、謎めいた出来事に立ち向かっていく様や、短い間に矢継ぎ早にイベントを入れ込んでいくエンターテインメント性が「確かに仮面ライダーっぽい!」と思えるのだ。
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