TikTokで「アナル日光浴」が流行 医者は「科学的・医学的な裏付けないトンデモ」と断言(1/2 ページ)

「アナル日光浴」は2019年にはすでに流行していました。

» 2022年11月02日 18時40分 公開
[上代瑠偉ねとらぼ]

 海外でTikTokの投稿をきっかけに、一部で「アナル日光浴(肛門日光浴/会陰日光浴)」が流行中です。すでに海外では肛門付近にひどい日焼けをした人もおり、危険性を訴える声が広がっています。この記事では「アナル日光浴」が流行するまでの流れや、その健康への影響について考えていきます。

海外でTikTokの投稿をきっかけに「アナル日光浴(肛門日光浴/会陰日光浴)」が流行中 画像はTikTokより

 「アナル日光浴」はその名のとおり、肛門を日光に当てるというもの。SNS上での投稿によると、地面に仰向けで寝転び、両足を広げるのがスタンダードな姿勢だとみられます。

「アナル日光浴」は2019年にはすでに流行していた

 海外の研究資料によると、「アナル日光浴」が広まるきっかけとなったのは、2019年10月21日のInstagram上での投稿とみられます。ユーザーは「アナル日光浴」には集中力を高めたり、性欲を高めたりなどの効果があり、1日分の日光浴に相当するなどと主張。日焼け止めを使わないことを推奨していました。

 該当投稿は2019年11月下旬にTwitterで拡散されました。12月には「ノーカントリー」や「ブッシュ」などで有名な俳優のジョシュ・ブローリンさんが実際に試したところ、肛門付近にひどい日焼けをしたことがメディアで取り上げられ、再び拡散されたといいます。

海外でTikTokの投稿をきっかけに「アナル日光浴(肛門日光浴/会陰日光浴)」が流行中 画像は研究資料より

 日本ではすでに2019年11月から12月にかけて、GIGAZINEForbes JAPANRolling Stone Japanが海外記事を翻訳する形で「アナル日光浴」について記事を掲載していました。ニュースサイト以外では、フジテレビがバラエティ番組「関ジャニ∞クロニクルF」、ABEMAが報道番組「ABEMA Prime」で「アナル日光浴」について取り扱っています。いずれも健康への影響については信憑性がない、という論調でした。

 ところが、2022年に再びTikTokで「アナル日光浴」が流行する事態に。11月2日現在、「#perineumsunning(会陰日光浴)」は約300万回再生されるなど、大きな注目を浴びています。「アナル日光浴」を実践した様子の投稿だけではなく、行為について警鐘を鳴らす医師とみられる人物による投稿も確認できます。

「アナル日光浴」に科学的・医学的な裏付けは見つけられず

 「アナル日光浴」にはどのような危険性があるのか。環境省が発表している「紫外線環境保健マニュアル2020」によると、一般論として紫外線を浴びすぎると、日焼け(サンバーン/サンタン)や免疫機能低下のほか、前がん症(日光角化症/悪性黒子)、皮膚がんなど健康への影響を与えると言われています。

 特に肛門を日光を当てることに何か大きな問題はあるのか。ねとらぼ編集部では、総合診療医や美容皮膚科医など、複数の医師に取材を試みましたが、いずれも特殊な事例のため回答は得られませんでした。

 一方で、2019年当時、“ニセ医学”に関する著書『“意識高い系"がハマる「ニセ医学」が危ない! 』の著者でもある、五本木クリニックの桑満おさむ院長は同院のブログのなかで、「日光浴によってビタミンDの合成を促進するために、わざわざ下半身あるいは全裸になって肛門をお日様に当てる合理的な理由はどう考えてもありません」として、「科学的・医学的な裏付けは無い、トンデモ」「健康法ではなく儀式」であると訴えていました。

 前述の海外の研究資料では、「アナル日光浴」には集中力を高めたり、性欲を高めたりなどの効果があるという証拠はないと断言。短期的には日焼け、長期的には光老化、紫外線が誘発する腫瘍形成などの危険性があると解説されています。また、外科医のカラン・ラジ医師はVICEの取材に対して、「太陽光はやけどや炎症、皮膚がんのリスクを高める可能性があります」と話しています。

 ちなみに、2022年にはアメリカでは一部の保守派が「アナル日光浴」に似た「睾丸日光浴」を提唱しています。「睾丸日光浴」は睾丸を日焼けさせるもので、提唱者らは「テストステロンを増加させる」などと主張しているようです。日本では5月ごろに同じくRolling Stone JapanGIGAZINEが海外記事の翻訳した記事を掲載しており、いずれも提唱者らの主張には信憑性がないと報じています。

海外でTikTokの投稿をきっかけに「アナル日光浴(肛門日光浴/会陰日光浴)」が流行中 画像は写真ACより
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