アニメに登場する架空の祭りを現実に開催し、今年で10回目 石川・湯涌温泉「湯涌ぼんぼり祭り」が継続できた理由とは(1/4 ページ)

初めは地元で“オタク”への不安の声もありましたが、マナーの良さに好感度が一転。今ではファンがサポーターとして協力しているそうです。

» 2022年11月07日 19時30分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 夜の街をぼんぼりを持った人たちの行列が練り歩く、湯涌温泉(石川県金沢市)の「湯涌ぼんぼり祭り」。アニメに登場する架空のお祭りを現実にしたこのお祭りが、今年(2022年)で10回目を迎えました。“土地のお祭り”として定着しつつあるお祭りはなぜ継続できたのか、取材しました。

第10回湯涌ぼんぼり祭り 今年10月22日に開催された、第10回湯涌ぼんぼり祭り

 「湯涌ぼんぼり祭り」は、温泉街である湯涌町をモデルに作られたアニメ「花咲くいろは」(2011年放送)に登場する「ぼんぼり祭り」をもとにしたお祭り。「湯涌ぼんぼりまつり」は2011年9月の「花咲くいろは」放送終了後、同年10月から10回にわたって開催されています。2022年10月の開催後、「民俗コスプレの枠を超え、本物の習俗になりつつある」と紹介する来場者の投稿がTwitterで話題になりました。

 華やかなイメージの金沢の市街地とは異なり、9軒の温泉宿からなる静かな温泉街、湯涌町。“金沢の奥座敷”とも呼ばれるこの街で、アニメ発のお祭りがどのように誕生し、継続されていったのか。湯涌温泉観光協会 湯涌ぼんぼりまつり実行委員会の委員長を務める山下新一郎さんに尋ねました。

アニメの祭りが現実になったきっかけ

 アニメーション制作会社「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」(富山県南砺市)から、湯涌温泉観光協会に「花咲くいろは」の舞台のモデルを湯涌町にしたいという話があったのは2009年。湯涌町では侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論になったといいます。

第10回湯涌ぼんぼり祭り 湯涌町をモデルとしたアニメ「花咲くいろは」。温泉旅館「喜翠荘」で働くようになった高校生・松前緒花の成長の物語。「ぼんぼり祭り」はクライマックスに登場

 「そもそもの湯涌温泉とアニメーションのファンの方、俗にいう『オタク』の人たちとのミスマッチというのをみなさん非常に危惧されて。当時の湯涌温泉のお客様は地元の方がほとんどだったんですね。割合で言うと7対3くらいで地元の方が多かったんです」(山下さん)

 当時はアニメのいわゆる“聖地巡礼”(作品の舞台やモデルになった場所への訪問)も今ほど一般的ではなく、新海誠監督による「君の名は。」(2016年)が話題になるのはまだ先のこと。アニメが好きな、俗に言う「オタク」に対するイメージは、マスコミの偏った報道もあり良くなかったそうです。

 地元の常連のお客さんに支えられている落ち着いた温泉地ゆえに、アニメの舞台に設定されることについて慎重だった湯涌温泉観光協会。「花咲くいろは」の製作委員会は何度も現地に足を運びアニメについて説明します。そこに登場したのが「ぼんぼりまつり」でした。

第10回湯涌ぼんぼり祭り ぼんぼりは7月から設置。第10回湯涌ぼんぼり祭りの点灯式は7月17日に開催

 「いろいろご説明をいただいたんですけど、『ぼんぼり祭り』という単語が出てきたんですね。後日、雑談の中だったと思うんですけども、『ぼんぼり祭り』ってどんな話ですか、って聞いたら、稲荷神社の小さな女の子の神様が10月の神無月、出雲に帰るときに道に迷わないようにぼんぼりの灯りで道筋を照らしてあげて、そのかわり神さまは皆さんが書いた『のぞみ札』の望みを出雲に持って帰り、八百万の神とともにかなえるっていうストーリーなんです、と。お聞きしたときにすごくすてきなお祭りだなぁと思って」(山下さん)

第10回湯涌ぼんぼり祭り 願い事が書かれ、ぼんぼりにつるされていた「のぞみ札」

 祭りの設定やストーリーが気に入ったのに加え、湯涌温泉にはホタルが飛ぶ6・7月を除いて夜のイベントが少なく、夜のにぎわい創出のため、そして2008年に湯涌町に大きな被害を出した浅野川水害の復興3周年という思いも込めて、湯涌温泉観光協会は製作委員会に「湯涌ぼんぼりまつり」の開催を提案しました。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」