雨の中倒れる人を救助→家にはガリガリのワンコが取り残されていて…… 壮絶な状況から保護したエピソードに「助けてくれてありがとう」「考えさせられました」と反響

優しさと行動力に称賛の声が集まっています。

» 2022年12月08日 09時30分 公開
[k村ねとらぼ]

 雨の中倒れていた人を救助したら、その人の家にはガリガリの犬が残されていて、急遽保護することになった――。壮絶な状況から保護された犬のエピソードがTwitterに投稿され、反響を呼んでいます。投稿者のひろこさん(@hirokosandayon)に話を聞きました。

 11月下旬のある日、ひろこさんは深夜、雨の中倒れている人を救助しました。ひろこさんは衰弱しているその人を自宅に連れていき、温かい食べ物を作ってあげたそうです。うどんをすする力すらなく、やっと冷ました雑炊を食べられたというほど弱っていたその人は、ひろこさんが救急車に乗るように言ったところ「家に犬がいる。犬が寒い暗い部屋でひとりぼっちになるので病院に行きたくない」と当初は拒否。

 ひろこさんやひろこさんの母が犬を預かるからと説得し、警察官の説得も加わり、やっと救急車で病院に行くことを承諾、そのまま入院することに。ひろこさんは、その人の家に犬の面倒を見るために向かいました。

取り残されていた犬 部屋にはつながれたガリガリの犬が

 到着してその目に飛び込んできたのは、衝撃の光景でした。ガリガリに痩せ細った犬の「てつ」くんが部屋の中でつながれており、あたりには糞尿や布団の綿などのゴミの山が。部屋の水道、電気などのライフラインは全て止まっていたそうです。

犬のてつくん 肋骨がくっきりと浮かび上がっていました

 ひろこさんによると、飼い主さんは水道も止まってしまったなか、てつくんのために水を買いに行こうと自宅から300メートル先の自動販売機へ向かっていたところ、途中で力尽きて倒れてしまったようだとのこと。

 部屋には人間の食べ物のゴミは見当たらず、犬用の缶詰のゴミばかりだったといいます。50代の飼い主さんはある事情から働くことができず、身寄りも友人もおらず、家族はてつくんのみ。生活保護を受給し始めたばかりだったそうですが、ライフラインの支払いや買い物に行く体力もなかったようです。

ご飯を食べる犬 ごはんをあげに通っていた投稿者さん

 ひろこさんはてつくんに水やごはんをあげるために数日通っていましたが、てつくんに嘔吐、下痢、発熱が見られたことから急遽動物病院へ。そこから行政の担当者と飼い主さんに連絡して、ひろこさんの自宅で保護することになりました

 幸いにもてつくんの熱はすぐに下がり、食欲も回復! 各種検査でも異常はなかったそうです。よかった!

 保護直後は緊張しておびえたような様子を見せていたてつくんですが、ひろこさん家族の愛情を受け、少しずつリラックスした表情に。お家に来て1週間で、ひろこさんの手をペロペロしてくれるようになりました

 体重は10日で7キロから9.7キロに増加。Twitterには、ごはんをあげに通っていたときの怯えるてつくんと、お家に迎えて10日後ごろんと寝転びながらなでさせてくれるてつくんのビフォーアフター動画も投稿されています。

 最初は戸惑っていたお散歩も、今では先住犬のパピヨンの「マリン」ちゃん、チンの「コロン」くんと楽しそうに出かけられるように。ひろこさんはTwitterで入院中の飼い主さんに「てつくんの飼い主さん、早く元気になって会いに来てあげてね こんなに元気になったよ、スキップまでするんだよ、マリコロさん達と仲良くお散歩してるよ」と優しく呼びかけています。

 ねとらぼ編集部では、投稿者のひろこさんに話を聞きました。

――投稿には福祉課の担当者に「もし死んだとなったら犬はそのまま引き取ってもらえたら助かる」と言われたとありましたが……

ひろこさん:はい、福祉課の担当者の言葉が頭から離れません。「もし死んだら」と……。飼い主さんは危篤だそうですが、生きています。てつくんの所有権は飼い主さんにあります。また、「もし手に余るようなら(てつくんを)保健所に渡してもらっても構いません」ということも言われました。「まだ飼い主さんは生きているのに」と思いました。

――てつくんを保護して、今思うことはありますか

ひろこさん:現在飼い主さんは意識不明と福祉課の方から聞きました。福士課の担当者は、一度も飼い主さんの家を訪問したことがなかったそうです。一度でも訪問していたら、衰弱していることやひどい生活環境であることが分かったはずです。もっと早くに何とかなったのでは、と悔しくてなりません。

 人も犬も同じ命です。自分よりも犬に食べさせてやりたい、飲み水を飲ませてやりたいと飼い主さんは雨の中ふらふらしながら歩き倒れていました。飼い主さんへの厳しい批判もありますが、ここまでになるまで行政は……? と思います。

 飼い主さんはてつくんをほんとに大事にされていて、救急車にのるのも拒んでいました、てつくんがひとりになるからです。私が面倒見るからと、説得してやっと救急車にのりました、警察の方も説得してくれました。飼い主さんのてつくんへの思いは本物です、そこだけはかん違いしてほしくないと思います。

 飼い主さんとてつくんは氷山の一角で、貧困のために動物を病院に連れて行くことができない人が沢山いらっしゃると思います。今回のことで初めて知ったのですが、「反貧困ネットワーク」という一般社団法人が、「反貧困犬猫部」という支援活動をしています。そこは、生活保護や困窮している飼い主さんとペットに対する支援を行っているようです。もうてつくんや飼い主さんのように、貧困での飢えは起きてほしくありません。このような活動をもっと沢山の方に知ってほしいと思っています。

(了)

 飼い主さんが今後退院しても、てつくんと一緒に暮らせる家を借りることやお世話をすることは経済的に難しいと考えられるため、ひろこさんはてつくんのお世話を続けて、飼い主さんがいつでも会いにこられるようにしたいと考えているとのこと。

 ひろこさんの一連の投稿には、「こうなる前に何とかならなかったんですかね…… 飼い主さんとワンコさんが早く元気になります様に」「毎日楽しそうにお散歩してますね 最初の写真からはどうなる事かと」「ひろこさんの行動力、尊敬致します」「保護してくれて本当にありがとうございます」「ひろこさん、お母様、てつ君を保護して預かってこんなに元気にして頂き、心より感謝します」などの感謝の声や反響が続々と寄せられています。

画像提供:ひろこさん(@hirokosandayon)のTwitterアカウント

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