「これで、母の味が残せます」こだわりのかつお節がつないだ奇跡の実話に14万人が涙(1/2 ページ)

あったかいお雑煮が食べたくなりました。

» 2022年12月12日 07時30分 公開
[神奈川はなねとらぼ]

 会社にかかってきた1本の電話。過去にやりとりした記録はあるものの、相手は初めて電話すると言っていて……? “母の思い出の味”がつないだ奇跡のエピソードが、Twitterで大きな話題になっています。投稿には記事執筆時点で3万4000件以上のリツイートと14万1000件を超える“いいね”が寄せられました。

 投稿者は、かつお節コーディネーターの大塚 麻衣子(@AJIMAI3)さん。大塚さんが勤める東京都中央区のかつお節屋「タイコウ」では、土地柄や料理、好みに合わせてこだわりのかつお節を販売しています。

 ある日、会社の電話が鳴りました。発信者の名前と番号が表示されたため、過去に取引があった人からだと思い電話に出た大塚さん。しかし、電話口の女性は「初めて注文する」と言うのです。

 疑問に思い、既に登録されている電話番号であることを伝えると「それって〇〇〇〇で登録されているんですか?」とのこと。女性は自分が登録されている人物の娘であることを伝えると「こちらのかつお節だったんですね…」と言い、黙り込んでしまいました。しばらくすると、電話口から静かに鼻を啜る音が聞こえてきたといいます。驚いて声をかける大塚さん。しばらく泣いた女性は、落ち着いたあとで事情を話してくれました。

 過去にかつお節を注文していたのは、2020年夏に急逝した女性の母親でした。毎年親戚が集まって新年を祝うときに、母親は10リットル近い出汁(だし)を用意してそばやお雑煮を作っており、それが家族や親戚の一番の楽しみだったといいます。

 母親が急逝してから、女性や家族が母の遺したレシピを元にお雑煮やそばつゆを作ったものの、全く味が違いました。そこで「ひょっとしてかつお節が違うんじゃ無いか?」と思い付き、いろいろ試していたとのこと。ようやく母が使っていたかつお節を探し当てられた驚きと喜びで、涙ぐんでしまったのです。

鰹節と母の泣ける話 タイコウ本枯節 花くらべ血合い抜き

 大塚さんは、母親との過去のやりとりをよく覚えていました。実は生前最後の注文を受けていたのも大塚さんで、「毎年お宅のかつお節を頼むと、年の瀬って感じがするわぁ!」「お宅のは、普段はなかなか使えないんだけど、お雑煮だけはそちらの枯節じゃ無いと、主人が納得しないのよぉ」と楽しげに話していたのです。それを伝えると、女性はまた泣き声になり、お礼を言ってくれたのだとか。

 ようやく母が愛用していたかつお節に出会えた女性。新たな注文を受けた大塚さんが出汁の引き方やかつお節の扱い方などを説明すると、女性は「これで、母の味が残せます」と言いました。この最後の言葉に、大塚さんも感極まり泣いてしまったそうです。

 「家庭の味が脈々と受け継がれていく。文化というものは、結局は家庭で育まれてつながっていくもの。その一かけらにでもなれていることが、うれしかった。『お宅のかつお節でないと、この味にならないの!』は、かつお節屋にとって、最高の褒め言葉です」と大塚さん。失いかねなかった家族の味をこだわりのかつお節がつないだ、心あたたまるエピソードでした。

鰹節と母の泣ける話 本格派にお勧めだという「近海一本釣 本節 姿売り」

 この投稿は多くの人の心に響き「とてもステキなお話ありがとうございます」「思い出と味覚は深く結び付いていると実感しました」「自分が好きな家族の味を、教えてもらえるうちに学ぼうと改めて思いました」といった声が寄せられています。

 また、ツイートが話題になったことでタイコウのかつお節も「ぜひ食べてみたい!」と大きな注目を集めました。注文が殺到したためオンラインショップは一時休止中ですが、準備が整い次第再開予定とのこと。なお、かつお節の発送は2023年以降になる可能性があるそうです。タイコウの公式サイトには全国の販売店や取扱店も記載されているため、気になる人は合わせてチェックすると良さそうです。

 大塚さんのもとへは「お雑煮の作り方を教えて」「味付けの仕方を教えて」といった問い合わせも届いているそうですが、お雑煮は地域によって全く味が違うもの。この機会に自分の地域や家庭の味の作り方や材料を調べてみるのも楽しそうですね。

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