博士だけのアイドルグループ「PhD48」始動 “任期付きアイドル”はポスドク問題への風刺? 発起人に聞くその意図(1/2 ページ)

発起人の物理学者に話を聞きました。

» 2022年12月28日 19時15分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 さまざまなコンセプトのアイドルがしのぎを削るなか、メンバー全員が博士号持ちのグループ「PhD48」プロジェクトが立ち上がり、ネットで注目を集めています。発起人にして物理学者の武田紘樹(@tomatoha831)さんに話を聞きました。

※PhD=Ph.D=Doctor of Philosophy(博士号)

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PhD48 PhD Idol Project公式サイト(画像は公式サイトより引用、以下同)

 PhD48は、「メンバー全員博士号持ちのアイドルグループを作ろう」という、武田さんのツイートがもとで誕生したオーディション企画。研究者の多彩な個性を発信することで、学問と研究をもっと身近にしようという企画のもと、多くの研究者や博士課程の大学院生を対象に、春ごろからメンバーを募ってきました。

PhD48 第1次募集時のメンバー。ドクターが男女問わず集まる

 メンバーに応募してきた法学専門家から、AKB48グループと酷似した名称が「不正競争防止法の混同惹起行為に当たる可能性がある」との指摘もあったことから、当初はオーディション名の「博士アイドル化計画」で活動。パロディとはいえ筋は通すべきといった考え方から、のちにAKB48グループの運営会社に許諾を求めたところ、快諾を得られたということです。

 現在は第2次審査として、“推し本の布教”をテーマとするプレゼンを実施中。ネットでは「論文の査読が通ると握手券1枚」「学術的なMCに期待」「ライブ中に『私、この分野に関しては素人なんですが』って合いの手が入りそう」「箱推ししたい。科研費を投げ銭したい」などと、さまざまな反応を呼んでいます。

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 編集部は武田さんを取材し、企画の経緯や今後の展開について話を聞きました。

―― この企画を始めたきっかけについて教えてください

武田さん 4月ごろに現実逃避して「研究は儲からないから博士だけのアイドルグループPhD48を作って儲けようかな」と妻に話したのがきっかけです。その会話をツイートに書いたら反響があったことから、本当に企画することとなりました。

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―― 今後の展望や目標を教えてください。いわゆる「歌って踊る」アイドル活動もやっていくのでしょうか

武田さん 歌って踊る活動は私にノウハウがないので現状難しいですが、応募者は「言われたらやる」と結構ノリノリな人が多いです。そのようにアイドルや音楽側の活動に詳しい協力者が現れれば、面白そうですし希望者はやってもいいと思います。

―― PhD48の名称についてAKB48公式に許可を取ったということですが、不正競争防止法の懸念については、それで解決したのでしょうか

武田さん PhD48の名称はAKB48などの48グループをオマージュしているので、許可も取らず活動するのは良くないと思い、当初は「博士アイドル化計画」という名前を使っていました。その後、縁あってAKB48の担当社長様に許可をいただけまして、「AKB48公式に使用させていただく筋は通している」とは言えます。

―― その縁で、名前以外の面でAKB公式と何か連携した取り組みなどを行う予定はありますか

武田さん 名前以外で連携することは恐れ多いのでこちらから伺うことはありませんし、今のところ予定もありません。「学術を身近にしたい」という気持ちはあれど、スタッフ・応募者ともにみんな有志で協力してもらってるので、その活動により誰かに迷惑をかけるということはしたくなかったんです。

 また、専門家集団が何か浅い判断をするのはダサいので、気持ちよく活動するためには一声かけて許可を取りたいと思っていました。公式とつないでくれた方、またグループ側の寛大な心に感謝したいです。

―― アイドルグループの運営は大変なことだと思われますが、運営スタッフにはどのような人が参加しているのでしょうか

武田さん スタッフも全員アマチュアで、「学術を身近にするためのゆるいアウトリーチ活動」に共感してくれているボランティアです。現役の大学生、大学院生、研究員や会社員などまちまちですが、現在進行形で研究をしている人か、どこかのタイミングで研究に携わっていた人がほとんどですね。

―― 「任期付き」のアイドルグループということですが、活動が期間限定なのか、一定期間でメンバーを入れ替えるのか、いわゆるポスドク問題への問題提起の意図があるのでしょうか

武田さん 「任期付き」は風刺でもありますが、パロディしたほうが面白いですし、ネタを考えるのが楽なのでそうしています。ボランティアである以上、何年もプロデュースして活動を維持することは難しいこともあり、現実的に運営を維持するのは1年程度が限界だなと思ってそう決めました。でないと、私が研究できなくて無職になってしまいます。

 今後も継続するかは、支援の仕組みを整えられるか、時間が取れるか、要望があるかといった要因で決まりますから、今のところ未定です。まず、言い出したからには現在の企画に全身全霊を注ぐ所存です。

協力:武田紘樹(@tomatoha831)さん

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