偏差値が約20アップし、伝統校合格へ―― “ゆるサポート”のワンオペママはいかにして中受伴走を終えたのか【2023年中学受験】(3/4 ページ)

» 2023年02月17日 16時30分 公開
[ねとらぼ]

6年生のラストスパートと、親の心構え

 そしてついに6年生がスタートし、2023年2月1日までのカウントダウンが始まりました。2021年はコロナ禍で学校説明会や学園祭が中止となる学校も多かったのですが、2022年はオンライン説明会と並行して対面での説明会、見学が開催されるように。塾からは興味がある学校はどんどん見に行くように」と言われるものの、超人気アイドルのコンサート並みな競争率で全く予約が取れず……。受付開始数秒で何百もの席が埋まったWebサイトを見て、「嵐のコンサートか!」と何度思ったことか。

 この話は割愛するとして、いくつかの説明会や見学をへて、ついに娘の最終的な第一志望が決まりました。ひとつ言えるのは、Web配信で学校説明会を実施し、アーカイブに残して繰り返し見られるようにしてくれる学校は神です。

 6年生になってからもマイペースな勉強方法を維持する娘に対して、正直ヤキモキするときもありましたが、前述のように「結局最後にがんばるのは娘自身」という思いを胸に、サポートを続行。春期講習、夏期講習、冬期講習、土日授業での弁当作りや、合否判定模試への付き添い、塾での保護者面談など、下の子を預かってくれる義実家や友人家族、飛行機に乗ってヘルプに来てくれる父の協力に感謝しつつ、適度な距離で娘を見守りました。

 また、親としての心構えや情報収集も本格的に開始。塾で配布された各冊子を読み込み、月並みですが「二月の勝者」(ビッグコミックス)を復読して中学受験の全体像をつかみます。

 なかでも特に参考になったのは、レモン(@oinjuken)さんが運営する「#中学受験のバトンオープンチャット」。記事執筆時点で2800人が参加する「学校情報」オープンチャットでは学校別にノートが作成されており、匿名で学校について質問したり、在校生の保護者に答えてもらうことができます。

 また、SAPIX四谷大塚早稲田アカデミーをはじめとする中学受験塾や、雑談専門のオープンチャットもあり、本やネットにはないリアルな情報を集めることができました。何より、レモンさんはじめ参加者同士が寄り添う姿勢に、「頑張っているのは我が家だけではない」と励まされ、背中を押してもらいました。

 着々と親子で準備を進めていましたが、もちろんときには「いい加減にして!」「そんなに勉強しないならもう中学受験やめなさい!」と怒りが爆発し、深夜に海外在住の夫を電話で叩き起こして、泣きながら家族会議したことも。しかし総じて“ぬるく見守る”“口を出さずに金を出す”ことができたと思います。

 最もよかったのは、娘が「学校よりも塾に行きたい」と言うほど、最後まで塾に楽しく通えたこと。あたたかい先生方のサポートと、成績順でクラスは決まるが“席順を成績順で決める(中学受験塾あるある)”ことはしないなど、生徒に強くプレッシャーをかけない方針が、褒めて伸びるタイプの娘と非常に合っていたのでしょう。

 娘本人が「○○○(塾名)に通ってなかったら、絶対合格してなかった!」と言うように、子のタイプにあった塾を見つけられたことが、最大のポイントだったと考えます。

中学受験のプリントとテキスト 食卓にも積まれていたプリントとテキストの一部 

 インタビューで本人も言っていたように、6年生の夏期講習から成績を順調に伸ばし始めた娘は、最後の首都圏模試センター合判模試で4科偏差値69、2科偏差値73に。2月1日午前に受けた、偏差値60後半の第一志望に合格することができました。

 最後まで“ぬるく見守る”に徹していた私でしたが、合格発表をタップする際には指が震え、「合格おめでとうございます。」という文字に涙。月並みですが、「自分の受験よりも何十倍も緊張した」というあるあるなやつで幕を閉じたのでした。

 多数の学校説明会に行ったなかで、今でも印象に残っている話があります。それはその学校の卒業生が、中学受験の思い出を語ったなかでの一言。「中学受験は、本番中に過呼吸になる子もいます。みんな“この学校に行きたい”“失敗したらどうしよう”と必死なんです」という言葉でした。

 模試に親と手をつないでくる子もいるような、12歳のまだ幼い子どもたちが追い込まれるほど過酷な世界。中学受験に対する賛否両論はありますが、我が家なりのゆるめな伴走スタイルで完走できたのは、以下のポイントがあったからだと思います。

  1. 子どものタイプに合った塾を見つけられたこと
  2. 低迷時期に受験をあきらめず、コツコツ続けたこと
  3. 親子とも追い込まれず、息切れせずに2月1日を迎えられたこと

 この記事を書くにあたり、最後に「第一志望合格がわかった際にどう思ったか」「中学受験して良かったと思う?」「これから受験する人たちに、伝えたいことは」と娘に聞くと、こう返ってきました。

「頭のどこかで“多分受かるだろう”ってなんでか自信があったけど、やっぱり聞いたときはうれしかった。涙は出なかった(笑)。なんでお母さんが泣いてるのって言ったよね(笑)。合格が分かってからは、それまでずっと頭のなかにあった“受験が終わるまで我慢” “勉強しなきゃ” “合格しなきゃ”っていうのがやっとなくなってうれしかった」

「つらかったし大変だったけど、中学受験してよかったと本当に思う。妹にも絶対してほしい。勉強するクセがつくし、塾に行くのは本当に楽しかったから」

「私みたいに5年生では成績があまり伸びなくても、6年生になったらできるようになってるかもしれない。中学受験の勉強を途中でやめないで、あきらめないでほしい」

(了)

 「中学受験をやりきった」という成功体験が、彼女のこれからの人生にとってプラスになり、選択肢を広げていくことを願います。

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