「売り物にならない」3本足のハリネズミをペットショップから引き取り、5カ月後…… 閉ざした心を全開にして甘える姿にグッとくる
第20回は保護ハリネズミ「ハリー」くんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第20回は飼い主・Kitty Cats Life(@kitty_cats_life)さんと暮らしていた元保護ハリネズミ「ハリー」くん。大量仕入れにより狭いケージの中で仲間に足をかじられ、3本足となったハリーくんとの出会い、心を開くまでの様子をご紹介します。
―― ハリーくんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
Kitty Cats Lifeさん:2017年12月、偶然立ち寄ったホームセンターのペットショップで出会いました。小動物が入ったケージがきれいな棚にいくつも展示されているなか、床の隅に汚いケージが1つ置かれていました。
疑問に思い店員に話を聞くと、そのケージの中にいるハリネズミは寝ているあいだに他のハリネズミに足を食べられてしまったとのこと。3本足になってしまい、「もう売り物にならない」と言われました。
ハリネズミは1匹当たり1つのケージを与えることが鉄則とされているものの、ハリーは大量に仕入れられた他のハリネズミたちと同じケージの中にいたそうです。「処分予定」と聞き、私にハリネズミの飼育経験があったため、引き取ることにしました。
保護当時、ハリーは生後3カ月ほどでした。足を食べられた傷が痛々しく、また怖い思いをしたせいか、人間が寝静まってからしか小屋から出てきませんでした……。
5カ月半、毎日話しかけ、ハリーはやっと心を開いてくれました。「ここは安全な場所」だと分かってからは、ごはんの時間に呼ぶと必ず出てきて、同居する猫たちにもおびえることなく、逆に人間の気配がすると小屋から出てきてくれるようになりました。
―― 保護動物に対する思いを聞かせてください
Kitty Cats Lifeさん:ハリーは2022年11月16日、長生きをして天国へ旅立ちました。5歳でした。引き取ったとき、ペットショップには他にも足や手を仲間に食べられ、「売り物にならない」ハリネズミが3匹いました……。わが家にはすでにハリネズミが1匹いたため、引き取ることができませんでした。
引き取る側にも限界があります。今でも、「あのとき引き取れなかったハリネズミはどうなったんだろうか……」と思うことがあります。
また2020年には、FIP(猫伝染性腹膜炎)により2歳の愛猫を失いました。現在、多くの猫たちがFIPで苦しみ、息を引き取っているのに、高額な日本未承認薬しかありません。治療費が払えず諦めなければいけない命がたくさんあるのが現実です。もっと安価で、全てのFIPの猫たちに使える薬ができたら……作るべきだと思います。
(了)
ハリネズミやハムスターなどの小動物も、体は小さくとも命があります。不適切な展示により病気を患ったりケガを負ったりしてしまった動物が、「売り物にならない」との理由で処分を待たなければならない現実に胸が痛みます。
Kitty Cats Lifeさんの思いが伝わり、心を開いたハリーくん。安全だと思える場所で長生きができて本当に良かったです。Kitty Cats LifeさんのTwitter(@kitty_cats_life)とYouTubeチャンネル「Kitty Cats Life 〜ふわ猫のいる暮らし〜」では、愛情たっぷりのお家で仲良く暮らす7匹の猫ちゃんたちの姿が見られます。
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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