「売り物にならない」3本足のハリネズミをペットショップから引き取り、5カ月後…… 閉ざした心を全開にして甘える姿にグッとくる

第20回は保護ハリネズミ「ハリー」くんです。

» 2023年03月03日 20時30分 公開
[あだちまる子ねとらぼ]

 近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。

 環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。

 そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。

保護ハリネズミ 仲間に足を食べられ、心を閉ざしたハリーくんでしたが……

 第20回は飼い主・Kitty Cats Life(@kitty_cats_life)さんと暮らしていた元保護ハリネズミ「ハリー」くん。大量仕入れにより狭いケージの中で仲間に足をかじられ、3本足となったハリーくんとの出会い、心を開くまでの様子をご紹介します。

―― ハリーくんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください

Kitty Cats Lifeさん:2017年12月、偶然立ち寄ったホームセンターのペットショップで出会いました。小動物が入ったケージがきれいな棚にいくつも展示されているなか、床の隅に汚いケージが1つ置かれていました。

 疑問に思い店員に話を聞くと、そのケージの中にいるハリネズミは寝ているあいだに他のハリネズミに足を食べられてしまったとのこと。3本足になってしまい、「もう売り物にならない」と言われました。

3本足のハリネズミ 店の隅にいたハリーくん

 ハリネズミは1匹当たり1つのケージを与えることが鉄則とされているものの、ハリーは大量に仕入れられた他のハリネズミたちと同じケージの中にいたそうです。「処分予定」と聞き、私にハリネズミの飼育経験があったため、引き取ることにしました。

手乗りハリネズミ 過密状態で展示されていました
小動物のハリネズミ 「処分予定」でしたが……

 保護当時、ハリーは生後3カ月ほどでした。足を食べられた傷が痛々しく、また怖い思いをしたせいか、人間が寝静まってからしか小屋から出てきませんでした……。

 5カ月半、毎日話しかけ、ハリーはやっと心を開いてくれました。「ここは安全な場所」だと分かってからは、ごはんの時間に呼ぶと必ず出てきて、同居する猫たちにもおびえることなく、逆に人間の気配がすると小屋から出てきてくれるようになりました。

猫とハリネズミ 同居する猫ちゃんとハリーくん
安心するハリネズミ 猫ちゃんとも仲良しです
ハリネズミが気になる猫 安心できる場所を見つけました

―― 保護動物に対する思いを聞かせてください

Kitty Cats Lifeさん:ハリーは2022年11月16日、長生きをして天国へ旅立ちました。5歳でした。引き取ったとき、ペットショップには他にも足や手を仲間に食べられ、「売り物にならない」ハリネズミが3匹いました……。わが家にはすでにハリネズミが1匹いたため、引き取ることができませんでした。

長生きしたハリネズミ 長生きしました

 引き取る側にも限界があります。今でも、「あのとき引き取れなかったハリネズミはどうなったんだろうか……」と思うことがあります。

 また2020年には、FIP(猫伝染性腹膜炎)により2歳の愛猫を失いました。現在、多くの猫たちがFIPで苦しみ、息を引き取っているのに、高額な日本未承認薬しかありません。治療費が払えず諦めなければいけない命がたくさんあるのが現実です。もっと安価で、全てのFIPの猫たちに使える薬ができたら……作るべきだと思います。

(了)

 ハリネズミやハムスターなどの小動物も、体は小さくとも命があります。不適切な展示により病気を患ったりケガを負ったりしてしまった動物が、「売り物にならない」との理由で処分を待たなければならない現実に胸が痛みます。

【子猫成長記録】Part 22 臆病だったハリネズミも今では猫たちと幸せに暮らしています

 Kitty Cats Lifeさんの思いが伝わり、心を開いたハリーくん。安全だと思える場所で長生きができて本当に良かったです。Kitty Cats LifeさんのTwitter(@kitty_cats_life)YouTubeチャンネル「Kitty Cats Life 〜ふわ猫のいる暮らし〜」では、愛情たっぷりのお家で仲良く暮らす7匹の猫ちゃんたちの姿が見られます。

ハリネズミの表情アップ Kitty Cats Lifeさん、ありがとうございました!

 ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

 愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。

  • 「あの謎を調べて!」応募フォームはこちら
  • 「ペットロスとの寄り添い方」応募フォームはこちら

オススメ記事

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/30/news039.jpg 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  2. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. /nl/articles/2411/29/news197.jpg 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  4. /nl/articles/2411/30/news013.jpg PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
  5. /nl/articles/2411/30/news003.jpg スーパーで買った瀕死のズワイガニを水槽に入れ、育てたら…… 100万再生された予想できない結末に「泣けます」「おもしろすぎ」
  6. /nl/articles/2411/30/news023.jpg パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. /nl/articles/2412/01/news060.jpg ドラマ「Dr.コトー診療所」放送から21年…… 子役たちの現在は? 16年ぶり役者復帰に「大人になったね〜」の声
  8. /nl/articles/2411/27/news156.jpg たった1秒なのに300万表示された“猫の登場シーン”が耐えがたい 電車で見たら終わる光景に「草www」「めっちゃ笑った」
  9. /nl/articles/2412/01/news004.jpg 真ん中から毛糸を編み進めていくと…… ポコポコかわいい“冬大活躍”なアイテムが「素敵なデザイン」「とてもかわいい」
  10. /nl/articles/2411/29/news025.jpg 折り紙1枚を折っていくだけで…… 2025年の干支にぴったりなデザインに「職場に持って行こうかなぁ」「素敵です」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  2. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  3. 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  4. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  5. 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  6. 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  7. 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  8. 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  10. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」