医療漫画『K2』、全話無料公開で悶絶するひと多発 今もっとも結婚してほしい身長差カップル(※付き合っていない)について語らせてほしい(2/2 ページ)
そして、2人の関係の転機になる(はずだった)のが、一也が出生の秘密を打ち明ける200話である。アイデンティティーに苦悩する彼に対しての、宮坂さんの言葉はあまりに尊い。ていうか、この200話のラストで宮坂さんがここまで言っている、ほぼほぼプロポーズしているのに、付き合っていないとはどういうことなんだよ!
ここで、半ばネタバレかもしれないが、恐ろしいことを言ってしまおう。この『K2』は現実の時間とシンクロするように劇中の時間も経過していき、今では話数は440話を超えて一也と宮坂さんは出会ってから10年あまりが経っている。つまりは、2人はもう20代後半にもなっているのだが、それでもまだ付き合っていないのである。
な……なんでだよ! 171話の時点でキスを超えて血管吻合をしていたり、262話では宮坂さんは一也のその後の一人称を変える言葉もかけてあげたのに! 果ては380話で一也が「ふ……不純異性交遊などしない……!」と顔を赤らめながら言うとかお前は本当に何時代の人間だよ(劇中のツッコミ)! 完全に親公認の仲にもなるどころか385話ではお義父さんとあんな約束までしているのに!
そもそも、宮坂さんに「(医者という)こんなに怖い仕事は他にないわよ」と言わせる(198話)ほどの道を歩ませたきっかけは、他でもない一也である。一也はその意味でも、宮坂さんに対してなんらかの責任を取らなければいけないはずだ。具体的には今すぐ結婚しろ。
雑巾のようにぺちゃんこになる宮坂さんも愛おしい
そんな風に一也と宮坂さんの関係は、もどかしすぎて悶絶してしまう勢いなのだが、宮坂さんの人柄自体がとてもかわいいし、応援したくなるのも重要だ。
例えば、170話で「一度でいいからショートケーキを口っぱいにほおぼってみたい」と言った時は「グモモモモ」と謎の擬音が出たり、226話では受験のヤマが外れたことを嘆いた時は汽笛のような「ボオオオオ」と謎の擬音が出たりするのがひょうきんでキュート。それがまた、大真面目で誠実だが天然でもある一也と正反対のようでお似合いにも見える理由である。
さらに愛おしくて仕方がなかったのは、400話で宮坂さんが患者の命に関わる重大な判断ミスをしてしまい、続く401話で一也に雑巾だと見間違われるほどにぺちゃんこになってしまうことである。いつもは明るく元気なのに、本気で落ち込み反省し、立ち上がる宮坂さんも実に応援したくなるではないか!
そんな風に宮坂さんのかわいさと一也との関係だけでどんぶりで飯が何杯でも食える『K2』だが、それ以外でもやはり漫画として面白いし、医療を扱う作品としての志も高い。
207話からの「和久井譲介」という謎の転校生が登場してからの学園サスペンスはハラハラさせるし、378話からは現実の世界がコロナ禍に突入したことが反映され、さらに413話からはコロナ治療の最前線を描くなど、現実の医療現場に合わせたアップデートも行われている。398話では過換気症候群に対する「ペーパーバッグ法」が今は推奨されていないことを示す(201話の時点でも素人判断の危険性が語られている)など、医者でなくても知っておきたい知識も描かれる。
『スーパードクターK』シリーズは初めこそ『北斗の拳』をほうふつとさせる濃い絵柄かつハードボイルドな話も多かったが、この『K2』ではほのぼのとする場面も多くなり、医者を目指す若者たちの成長のドラマも一貫して続いていたりと、親しみやすさが格段に増しているのだ。
そして、今もっとも結婚が待ち望まれている、大真面目で人懐っこい大型犬のような一也と、ちっちゃいけどしっかりした飼い主のような宮坂さんという身長差カップル(※出会って10年以上経つのにまだ付き合っていない)を追いかけていると、あらゆる方面からさらに楽しめる内容になっているのだ。
今すぐ読んで、ぜひ「なんだこいつら、はよ結婚しろや」になってほしい。また、宮坂さんと並んでダブルヒロインと呼ばれる「ドクターTETSU」もツンデレでかわいいので(それが極に達するのが第237話からのとある関係に終わりを告げるエピソード)、合わせてチェックしてほしい。
(ヒナタカ)
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