ゲーム「SD シン・仮面ライダー乱舞」レビュー 知らなかったそんなの……な情報が散りばめられた映画版ファンにうれしい1本(1/2 ページ)
そうだったのか本郷……。
通常はスマホゲーについて取り上げている本連載ですが、今回は映画を見た勢いで購入してしまった「SD シン・仮面ライダー乱舞」についてのお話をしたいと思います。
※以下、映画「シン・仮面ライダー」のネタバレに触れている可能性があります。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
本作はタイトル通りSDキャラクターを使ったベルトフロアアクションなのですが、映画を見た直後のテンションでプレイするには実にいい感じで映画ネタと本家の仮面ライダーネタが混じり合っていました。
そのうえで映画にはなかった新情報まで得られるところもポイントです。映画では本郷猛が「食事をする必要がない体になった」と説明していましたが、ゲームでは実際に料理を食べると「味がしない……」と言い出す描写があったりして、「そうなっちゃうの!?」という驚きがあちこちにあります。なお難易度はそれなりに高く、クモオーグに3度挑んでようやく勝利した状態でこの原稿を書いています。
ちなみに映画については「最高に面白かったが仮面ライダーとしてではなく庵野映画として最高」と評価しており、若干人を選ぶのではないかと考えています。もともとテレビの昭和ライダーはそこまで好きではなく、劇中に盛り込まれた元ネタの再解釈もそこまで理解できるレベルの知識はありません。それでも今回の映画は楽しめましたし、それならきっとこのゲームも楽しめるだろう、という判断は正解だったと思っています。
ゲームはSwitch版とSteam版が発売されていますが、今回はSwitch版をプレイしました。先に書いたようにベルトフロアアクションなのですが、同時に経験値やコイン、アイテムを集めてキャラクターをパワーアップさせながら戦う要素も持っています。
最初のチュートリアルでクモオーグに勝てなかったときは「なるほどここで勝てないから次はレベルを上げて勝つんだな」と思って本編の1面「怪奇クモオーグ」に挑んだのですが普通に負けてしまいました。なお、その前に難易度を最低限に下げているため私自身のゲームプレイがヘタクソという可能性もあります。
そしてそんなヘタクソな人間にとっては「操作項目が多い!」となる多彩なアクションが用意されています。通常攻撃、範囲攻撃、2種類の投げ、ジャンプから2種類の攻撃、回避を組み合わせて戦うのですが、難易度を下げているとだいたい範囲攻撃を連打するだけで敵がどんどん吹っ飛んでいく上、オートモードが存在しているので非常に快適なプレイが可能です。
Rボタンを押しながらLボタンで仮面ライダーに変身。この状態ではRボタンを押しながら攻撃することでSPゲージを消費して必殺通常攻撃や必殺範囲攻撃を繰り出すことが可能です。もう1回Rボタンを押しながらLボタンでコートを脱ぐという芸の細かさ。この状態では防御力を犠牲にして攻撃力がアップします。さらにこの状態でRボタンを押しながらLボタンで超必殺技のライダーキックを繰り出すことができます。変身と超必殺技には毎回演出が入るのですが、もちろんスキップも可能。
ステージをクリアするごとにご褒美アイテムやコインが手に入るのですが、たまにパワーアップアイテムとして「SHOCKERのたからもの」というほほえましい表示とともに料理を入手できます。ステージごとにさまざまな料理が手に入るのですが、どれを食べてもコメントは常に「味がしない……」なのでこんな形でオーグメントとなってしまった本郷猛の悲哀を感じることができるとは思いませんでした。劇中だと「食事をする必要がない体になった」ぐらいだったと思うのですが……。
雑魚が登場するステージを3つクリアするとボス戦になるのですが、その前にどこの土地でもATMがおいてあり、そこでコインを預けることができます。倒れてしまうとコインがなくなるのを防ぐための設備とことで、初回プレイではとりあえず預けておくかぐらいで突っ込んでいったのが功を奏する事になりました。
いよいよボス戦、クモオーグとの対決なのですがこれがまあめちゃめちゃ強い。適当にボタンを連打しているだけではまず勝てません。映画では「空中戦では私が圧倒的不利!」というクモオーグですが、蜘蛛の糸を利用して空中を自在に飛び交う攻撃を駆使してこちらに大ダメージを与えてくる強敵です。その威力は映画でその技を使っていたら勝てたのではないかと思う苛烈さ。
その分倒した時のすっきり感はひとしおなのですが、1回負けて「セーフハウスからリトライ」を選ぶと3ステージすべてをやり直してからボス戦へ行くことになるので繰り返しの手間が地味につらいな、と思うところもあります。その分道中の敵を倒すことでコインや経験値を稼ぐこともできるのですが。
セーフハウスは見た感じ映画の冒頭で爆破される小屋なのですが、今回はクモオーグに襲われないためか無事存在しており、拠点として使われます。自主的なリトライおよびライダーが倒されたときにはここに戻り、ライダーのパワーアップが可能で、ルリ子さんの「私は用意周到なの」という名せりふも聴けます。
なお、パワーアップについては自分で好きに選択していくことも可能なのですが、オススメが「ルリ子のオススメ」になっているのでついついそちらを選んでしまいます。ここでやり直すたびにルリ子さんからクモオーグやコウモリオーグについての設定をいろいろと聞けるのですが「コウモリオーグはヴィルースの研究で緑川博士に負けたことを根に持っている」「クモオーグは人間であることを捨てたかったのでそれをかなえてくれたショッカーのためなら何でもする」など「知らなかったそんなの……」となる情報が聞けるのは映画が気に入った人間としてはうれしい報酬。
このような形で戦闘、拠点へ移動、パワーアップ、また出撃して戦闘を繰り返して進行するゲームなのですが、何度か負けてさすがに集中力がちょっと切れてしまいました。雑魚戦は何も考えずに戦えるのですが、ボス戦は「敵の攻撃が何回か当たったら死ぬ」ぐらいの勢いなのでめちゃめちゃ集中力を要します。クモオーグを倒した後はしっかり「恐怖コウモリオーグ」編になるので、今後が楽しみではあります。
アクションシーン以外の演出については、テレビで放映された「仮面ライダー」をほうふつとさせるものになっています。冒頭では本郷猛が昔ながらの改造用ベッドに寝かされた状態で「仮面ライダー、本郷猛はオーグメントである」から始まりますし、ロード画面ではCMに入る時のアイキャッチに似たBGMが流れます。
これらの演出や映画にはなかった追加情報が得られることも含めて映画が面白かった人には間違いなくオススメできるゲームです。ただし、少なくとも私には歯ごたえがあるレベルの難易度でした。人によってはサクサククリアできるのかもしれませんが、アクションが苦手な人には厳しいかもしれません。その辺りは難易度低下でもうちょっとぬるくしてくれても良いかもと思う反面、繰り返しプレイでパワーアップするというゲームシステムを考えるとその辺りの調整は難しそうだなあ、と思ってしまいます。
とりあえずクモオーグ編までをプレイすれば遊び心地は理解できると思うので、体験版の配信にも期待したいところです。映画の方も冒頭「クモオーグ編」をしばらく配信するようですので、ゲームの方もプレイできる機会が増えればな、と思います。
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