海外『トライガン』ファン「黙ってこの本を読め!」 2019年発売のSF小説を布教したツイートが超絶バズって爆売れ→作者困惑(1/2 ページ)
台風が吹けば桶屋がもうかる。
英語圏の『トライガン』ファンによる、SF小説『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』を勧めるツイートが拡散。作者も困惑するほど本の売上が伸び、海外のアニメやSFファン界隈を賑わせています。
きっかけとなったツイートは次のようなもの。
これを読め。何も調べるな。ただ、読め。200ページぐらいしかないし、朗読版をダウンロードすれば4時間ぐらいで聞ける。今すぐ読め。私はめちゃくちゃ真剣に言っている(意訳)
ツイートの投稿者は、bigolas dickolas woIfwoodさん。このハンドルネームは『トライガン』に登場する人気キャラクター、ニコラス・D・ウルフウッドを下ネタ気味にもじったものです。
『トライガン』は内藤泰弘さんによる漫画作品。原作シリーズは1995年から2007年にかけて連載され、1998年と2023年に2度のテレビアニメ化を果たしている人気作です。ツイートを投稿したbigolasさんは同作のファンで、普段は主に『トライガン』関連のツイートをしていました。
そんな特定作品のとがった名前のファンアカウントが、突然接点の希薄なSF小説を激推ししたため、なぜかツイートは激伸び。これまでに1万1000件を超えるリツイートと、12万1000件を超えるいいねを獲得し、本もAmazonランキングのSF小説部門で2位を記録するなど、ネット上でちょっとした“台風”を巻き起こしています。
『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』は2019年に刊行された、アマル・エル=モフタールさんと、マックス・グラッドストーンさんによるSF小説。タイムトラベルや歴史改変といったSF的な仕掛けを交えながら、敵対勢力のエージェント同士である「レッド」と「ブルー」の交流を描くというあらすじです。『トライガン』がヴァッシュとウルフウッドといった男性キャラクター同士の莫大感情を描いているのに対し、『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』は女性キャラクター同士の莫大感情を描いているという点で、共通点が見いだせるかもしれません。
『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』はヒューゴー賞、ネビュラ賞、英国SF協会賞の4冠を獲得するなど、SFファンからは厚い支持を得た作品でしたが、刊行から4年越しでのAmazonランキング急上昇に、作者陣は困惑。
作品を広めてくれたbigolasさんに謝辞を送りつつ、Twitter上に投稿された“ウルフウッドが『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』を読むコラ画像”に「オーマイゴッド」と反応するなど、一連の現象を楽しんでいるようです。ちなみに、マックスさんの方は1998年に放送されたアニメ「トライガン」を何話か見たことがあったとのこと。
この盛り上がりに、日本側の関係者も反応。2023年放送の「TRIGUN STAMPEDE(トライガン スタンピード)」でプロデューサーを務めた渡邊喜洋さんが「Have I bought the book? Yes.(本を購入したか? Yes.)」と投稿すると、アマルさんも「私も(『トライガン』を)視聴リストに入れました&見るのが楽しみです!」と反応するなど、奇妙な交流が続いています。
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