水族館で水槽を掃除中に地震が発生したら…… 来館者のとっさの行動が「立派」「素晴らしい」と話題 水族館と来館者に話を聞いた(1/2 ページ)

石川県にある「のとじま水族館」らに当時の状況をインタビュー。

» 2023年05月17日 10時50分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 地震発生時、来館者の機転により、水槽に潜っていたダイバーが無事避難できた――。石川県にある「のとじま水族館」によるツイートに大きな反響が集まっています。ダイバーらと来館者に当時の状況をたずねました。

水槽清掃中に地震 水中での作業中に地震が!!(画像提供:のとじま水族館

 5月5日の14時42分、石川県能登地方で最大震度6強(珠洲市)の地震が発生。「のとじま水族館」のある七尾市でも震度4の揺れが観測されました(石川県発表)。北國新聞デジタルなどの報道によると、当時、水族館館内にいた約1000人の来館者は高台に避難したということです。

 「のとじま水族館」公式アカウントの投稿によると、地震発生時、掃除のため水槽に潜っていたダイバーに、来館者がガラス越しにスマートフォンの緊急地震速報を見せたとのこと。とっさの行動により、無事避難できたダイバーは来館者にとても感謝していたといいます。

 投稿には「お客様の素晴らしい機転ですね」「有事の際パニックになるのが常ですが、ご自身も危険と背中合わせの中相手を思いやれる行動。素晴らしいです」「あぁ、読んでると涙が 私もそんなとっさに動ける人でありたい」「この話を心にとどめて、少しでも自分の糧にしたいと感じました」など、感動の声や自分もそのように行動できたらという声が寄せられました。

 「のとじま水族館」と来館者のあもん(@AmonAran)さんに当時の状況などを聞きました。

水槽の水の中の流れに変化は感じなかった

 「のとじま水族館」の企画係長の高橋さんによると、5月5日はGW中で、こどもの日ということもあって多くの人が館内にいたとのこと。地震で揺れていても、来館者はスタッフの誘導、呼びかけに対して冷静に行動し、混乱などはなかったそうです。避難中に気分が悪くなったり、けがをした人もいませんでした。また、展示されている生き物にも異常や変化はなかったといいます。

 水槽は午後に清掃する決まりになっています。今回と同様、最大震度6強を観測した2007年の能登半島地震では地震発生が朝だったため、今回のように清掃中に大きな揺れが来ることはありませんでした。

水槽清掃中に地震 日比野さんが掃除していた「のと海遊回廊」。能登半島近海の生物を中心に展示し、一体型アクリル水槽や半円状の観察ドーム、天井と床のプロジェクションマッピングなどにより海の中にいるような臨場感が!(撮影:谷町邦子)

 ダイバーの日比野さんは地震が発生したとき、「のと海遊回廊」というエリアの入口側から12〜13メートル付近で、水槽のアクリル面の下方をスポンジで拭いていました。水槽の中の水は一定の方向に流れるように設定されており、特に流れの強さなどに変化は感じなかったと振り返っています。水槽によっては地震に気づかず、また水中のため、意思の疎通は難しい場合があるということです。

 あもんさんは地震発生時、館内を一通り見た後、朝混んでいた水槽を恋人ともう1度見ていたところでした。水槽の写真を撮っている最中、突然スマホに緊急地震速報が流れました。あもんさんさんは「地震が来る」と思い、水槽を掃除している日比野さんに向け、とっさにスマホの画面をガラスにくっつけて知らせようとしました。しかし、その時点で日比野さんはまだ気づいていなかったように見えたといいます。

 2回目の緊急地震速報が流れた途端、今度は水族館が揺れました。多くの来館者はスタッフの誘導のもと出口に走って逃げていきましたが、やはり日比野さんは揺れに気付いていないように見えました。そこで、あもんさんが再度ガラスにスマホの画面をくっつけたところ、日比野さんがそれに気づき、自分たちも逃げるようにジェスチャーされたため、恋人と一緒に避難したということです。

水槽清掃中に地震 日比野さんはちょうどこのあたりを掃除中でした(撮影:谷町邦子)

 その2日後、あもんさんは恋人に「水族館での出来事がTwitterに載っている」と教えてもらい、日比野さんの無事を知りました。あもんさんは「水族館側にも連絡を入れ、ダイバーの日比野さんと電話で話しました。とても感謝している感じで、当時は当たり前のことをしたとしか考えていなかったので、とてもうれしい気持ちになりました」と振り返っています。

 また、日比野さんは「誰もが慌てても不思議ではない状況の中で、ご自身の避難の前に私に状況を知らせてくれたことに、心より感謝をお伝えしたいと思います」と、あもんさんヘの感謝の思いを語りました。

水族館で地震が起きたら?

水槽清掃中に地震 能登島にある「のとじま水族館」。向こうには七尾北湾が広がります(撮影:谷町邦子)

 水族館で地震が起きたときの適切な行動をたずねると、高橋さんは「水槽などが多くある屋内から屋外へとスタッフの誘導に従って、冷静に行動していただければと思います」とコメント。普段の自宅や職場、学校などとは違い、慣れない場所なので、自分勝手な判断はせず、スタッフの話をきちんと聞いて行動するのがポイントのようです。

 地震と心温まる出来事で水族館が注目を集めることとなり、高橋さんは「今回の地震でたくさんの方からご心配の声を頂きました。あらためて感謝を申し上げたいと思います。また、このニュースをきっかけに当館のことを知ってくださった方もたくさんいらっしゃるかと思います。今後は地震が終息することを願うと共に、この自然豊かな能登半島に位置するのとじま水族館の生きものたちに会いに来ていただける機会が少しでも増えればと思っています」と、読者へメッセージを送っています。

(谷町邦子 FacebookTwitter

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/18/news002.jpg 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍休止も…… 「強い遺伝子を受け継いだ」と注目集める【注目の“二世タレント”】
  2. /nl/articles/2501/18/news022.jpg 日本地図で人口減の都道府県を可視化してみたら…… 減少一色に染まる中、“意外すぎる県”が増えていた事実に驚きの声 「青ざめたわ」「恐ろしい」
  3. /nl/articles/2501/18/news039.jpg 母「昔は女の子によくモテた」→当時の姿を見ると…… 驚きのショットが1600万再生「私、生まれる年を間違えちゃったな」【海外】
  4. /nl/articles/2501/17/news054.jpg セリアのタオルハンカチにハギレを足すだけで…… 超簡単に“すてきアイテム”が完成! 「可愛い〜」「作ってみます」
  5. /nl/articles/2501/14/news049.jpg ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  6. /nl/articles/2501/18/news040.jpg 街中で見かける“あの袋”の中で大根を育てたら…… 限界突破のわけが分からない姿に「ごめん、わろた」「大根じゃぁないww」
  7. /nl/articles/2501/18/news075.jpg 中学生男子、半年放置して“とんでもない髪形”だったけど…… “まさかの大変身”が100万再生の衝撃 「まさに激変!」
  8. /nl/articles/2501/18/news010.jpg 【ハードオフ】ジャンク品テレビ2台を組み合わせたら… “意外過ぎる結果”に驚きの声「いろいろ詰まっていた」
  9. /nl/articles/2501/18/news006.jpg 3色の“ましかく”をひたすら編んで、完成したのは…… 思わず拍手の仕上がりが114万再生「かわいすぎます!」「メッッチャクチャ好き」
  10. /nl/articles/2501/18/news017.jpg 「どうしてそんなに」スズメたちの隣にいた“ヤバいやつ” インパクト抜群の光景に15万いいね「ワイルドな感じ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  2. 「大根は全部冷凍してください」 “多くの人が知らない”画期的な保存方法に「これから躊躇なく買えます」「これで腐らせずに済む」
  3. 浜崎あゆみ、息子2人チラリの朝食風景を公開 食卓に並ぶ“国民的キャラクター”のメニューが意外
  4. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  5. 中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
  6. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”の家族に反響 ジュノンボーイの幼少期が香取慎吾似?【コンテスト特集2024】
  7. 大好きなお母さんが他界し、実家でひとり暮らしする猫 その日常に「涙が溢れてくる……」「温かい気持ちになりました」
  8. 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」 投稿者に発見時の気持ちを聞いた
  9. 「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
  10. 【今日の難読漢字】「碑」←何と読む?
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」