東映「相棒」「仮面ライダー」元社員がセクハラ問題で労災申請 60代スタッフが「会いたいです」など執拗な連絡(2/3 ページ)

» 2023年06月22日 17時55分 公開
[上代瑠偉ねとらぼ]

東映でのセクハラ問題には前例あり

 東映グループでのセクハラ問題には前例がある。2019年6月、東京ドームシティの劇場「シアターGロッソ」で、「お姉さん(MC)」役を務めていた女性が男性器のあだ名で呼ばれたり、すれ違いざまに胸やお尻を触られたりしていると、SNS上でその被害を訴えた。その後、東映側が女性や関係者などに聞き取り調査をした結果、「SNS上での訴えの内容は概ね事実である」と認めるにいたった。

東映 仮面ライダー セクハラ 画像は公式サイトより

 その際、東映は該当する東映グループの東映エージエンシーの社員1人を社内規定に基づき処分し、今後のヒーローショーの制作に関与させないと説明。加えて、委託先の会社に所属するスタッフなど5人については、委託先の会社で内容に応じた出演停止も含む処分をくだしたと発表した。

 元APの女性は当時の東映側による対応を振り返り、自身の被害についてもセクハラの事実があったことと、その詳細を同社の公式サイトで公表し、あらためて謝罪の意を示すことなどが必要ではないかとの考えを示した。

東映 仮面ライダー セクハラ 中央は元APの女性、両隣はユニオンの関係者(撮影:上代瑠偉)

過労死ラインを超える労働

東映 仮面ライダー セクハラ 元APの女性(撮影:上代瑠偉)

 さらに、女性をめぐっては長時間労働や残業代の未払いの問題もある。東映はすでに「36協定」にある月45時間を超過して残業させた(労働基準法32条違反)、「平日55時間、休日15時間」を超過した分の賃金を支払っていない(労働基準法37条違反)などとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けている。

 女性は長時間労働、連続勤務、深夜・早朝勤務を続けており、特に2020年2月の時間計算書には、早朝5時ごろから働くことも多数あったと示されている。月80時間の過労死認定基準をゆうに超える残業もあったという。

 しかし、その後、東映に労災申請への協力を求めたところ、「当社の認識と相違する記載がある」などの理由で、事業主証明への協力は拒否されたとのこと。加えて、東映は長時間労働や、固定時間外手当てを適用した従業員の時間管理をしていなかったことなどは認めているものの、固定残業手当の無効性についてはいまだに認めていない、と女性側は問題点を指摘している。今後は賠償を求める意向だ。

東映のみならず、映像業界全体が抱える問題

東映 仮面ライダー セクハラ 元APの女性(撮影:上代瑠偉)

 女性によると、同じ部署の先輩は8割退職し、年の近い女性社員はほとんど全員退職したという。女性はこれは東映だけではなく、映像業界全体が抱える問題だと主張している。

 「『映像制作現場は職人の世界だ』と何度も言われてきました。早朝から真夜中まで終わらない中、ずっと立ちっぱなしで、タバコの煙が充満していて、いつ怒鳴られるか分からないまま、いつ男性スタッフから肩や腰を触られるか分からないというストレスがある環境です」(元APの女性)

 「フリーランスが多い映像業界では、申し立て≒『面倒くさいやつだと業界で話が広まる』≒『次回作品が回ってこない』という生活に直面する問題になるので、多くの方は泣き寝入りしてしまいます。実際、私がこの告発をした後、ダイレクトメッセージで東映のスタッフから『同じようにハラスメントにあっていたこと』『自分は声を挙げられなかったこと』『応援していること』を伝えられることがいくつもありました」(元APの女性)

 女性は「私が人生をかけて意義を申し立てても、結果何も変わらないまま今日も映像業界は続いている」「東映は業界の最大手としての自覚を持って、映像業界の環境改善に向き合ってもらいたいです」として、あらためて「この最大の目的は、東映によってストップしてしまった人生を取り戻すことです。東映は真摯(しんし)に向き合ってほしいです」と呼びかけた。

 女性側は6月18日から、東映が社内の過重労働・セクハラ風土の是正を宣言するように求める署名活動をインターネット上で開始している。ねとらぼ編集部では、本件について、東映に今後の対応などについて問い合わせ中である。

東映 仮面ライダー セクハラ 女性側は署名活動を実施している(撮影:上代瑠偉)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/19/news005.jpg 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  2. /nl/articles/2405/19/news036.jpg 「ウンコ食い」という毒魚に刺され“骨に激痛”→その40時間後…… ゾッとする経過報告に「えげつない」「何かの病気になりそう」
  3. /nl/articles/2405/20/news009.jpg ドクダミを除草剤を使わず防ぐ方法3選 生態と対策がよく分かる解説に「待ってましたよ!」 「これは嬉しい!」と大反響
  4. /nl/articles/2405/20/news035.jpg 夫が男子トイレで発見した“幸運の虫”を妻に見せると…… 感動を呼ぶその正体に「蝶より綺麗」「素敵な旦那さんだ」
  5. /nl/articles/2405/17/news147.jpg 丸刈り男性が“1年間”髪を伸ばし続けたら…… 55週間の“大変身”の記録に「これはすごい!」「クールだね」
  6. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  7. /nl/articles/2405/19/news034.jpg 父が答えた「人生最後の日に食べたい物」に衝撃走る 思わず涙こぼれる回答に「泣かせないでください」「心に沁みた」
  8. /nl/articles/2405/20/news034.jpg 生後6カ月の赤ちゃん、ママと目が合ってニコッ!からの…… 無敵のかわいさに「撃ち抜かれた……」「癒しをありがとう」
  9. /nl/articles/2405/20/news068.jpg カスハラなど客の迷惑行為で「もう限界」 老舗銭湯が閉店を決意した理由に「一番心折れるパターン」「見ていてつらい」
  10. /nl/articles/2403/13/news017.jpg 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評