人気とんかつ店が高額メニューの“イタ電予約”被害訴え それでも……「特に対策は致しません」店長語る理由(1/2 ページ)

対策をしない実情とは

» 2023年08月25日 15時00分 公開
[ねとらぼ]

 奈良県にある人気とんかつ店が、電話による「いたずら予約」の被害にあったことをX(Twitter)で訴え、議論を呼んでいます。ユーザーからは店側がなんらかの対策をすべきだという指摘が寄せられた一方、店長は「特に対策はしない」といいます。一体なぜなのでしょうか。理由を聞きました。

いたずら予約 とんかつ 人気とんかつ店が「いたずら予約」被害訴え(画像はまるかつ公式Xから)

 被害を訴えたのは、奈良県と大阪府で合計4店舗を展開するとんかつ店「まるかつ」。お金がない子どもたちなどに向けた「無料食堂」を行っていることでも知られています。

いたずら予約 とんかつ まるかつが実施している「無料食堂」(画像はまるかつ公式Xから)

 8月16日の投稿では、まるかつ奈良本店(奈良市)で「いたずら予約」の被害にあったことを報告。「いたずらに使われた電話番号の持ち主の方もお困りで、警察にも報告しましたら、奈良の飲食店で他にも何件か被害があるそうです」と実情を伝えました。そして、「以前にもこのようなことがあった」として、加害者に向けてこう呼びかけています。

 

 

「虚しくて力が抜けます。同時間帯のご注文をお断りしたほかのお客様にもご迷惑をかけたことになります。スタッフの気持ちもあります。いたずらした本人は面白半分かもしれませんし、どんな事情があったかわかりませんが、こんなことはやめませんか?お願いします」

 この投稿は広く拡散され、ユーザーからは「酷すぎる」「こんなイタズラして何が楽しいんだろ?」「立派な営業妨害だ」「こんなことは、許せませんね」と、加害者の行動を非難する声が相次ぎました。

店が「対策」しない理由

 ねとらぼ編集部は24日、店長の金子友則さんに話を聞くことができました。金子店長によると、被害があったのは8月11日(山の日)。祝日で多くの注文があったこの日、午前11時過ぎに男性と思われる人物から電話予約があり、14時30分に店頭に受け取りに行くと伝えられました。注文があったのは4990円の「パーティーセット」と3990円の「バラエティーセット」。いずれも高額なオードブルメニューでした。

いたずら予約 とんかつ いたずら予約で注文されたオードブルメニュー(画像はまるかつ公式サイトから)

 しかし、16時を過ぎても客は現れず。予約時の電話番号にかけたところ、違う男性が電話に出て「何件もかかっていて迷惑をしている」と話したといい、予約がいたずらだったことが分かります。いたずら予約されたオードブルは半額で販売し、「幸い店頭で親切なお客様にお買い上げいただくことができた」といいます。

 Xユーザーから店に対しては、「お店の対策が足りないからだ」などの指摘がありました。しかし、店側は対策が難しいことを、投稿を通じて説明しています。

「いたずら注文はあったとしても年に1、2回程度です。数千件に1件以下です。そのために先払決済手数料や確認の電話の人件費を(間接的に商品代金に上乗せせざるを得ず)他のお客様にご負担いただくわけには参りませんので、ご理解ください」

 また、「高額な注文だけ電話を折り返せば?」という意見には「大阪駅店以外は郊外店ですので、お持ち帰りのご注文単価も高いため、件数はどうしても増えます。電話は2回線、専門スタッフはいません。折り返して繋がらないときは個人情報が宙ぶらりんになり困ります」と説明。

 「事前決済できた人のみ予約を受け付ければ?」という意見には「(事前決済のみなら)確実にご注文数は減ります。繰り返しますが1,000件中、1件もないほどのいたずら注文のために、ほとんどの善良なお客様の手間を取らせたり、手数料も負担し、かつ売上も減るようなことは死活問題ですからできません」と実情を伝えました。「(電話を)非通知拒否にしたら?」という意見には「私どもは無料食堂という取り組みもさせていただいておりまして、一定割合で非通知で電話をかけてこられます。プライバシーは守るためにも、なかなか難しい」としています。

 

 金子店長は取材に、今後も「特に対策はいたしません」とし、「(ご意見は)お店のことを思ってのことだと思いますが、『対策しないのはお店の怠慢だ』などというご意見をいただくと、もう少し実情を想像してほしいと思っています。『いたずら予約』は犯罪ですし、一番傷ついたり、なくなってほしいと一番思っているのは、私たちお店側なのですから」と思いを伝えました。

 そして、利用客には投稿を通じ、次のようなメッセージを伝えています。

「一番の対策は、もしいたずら注文があっても、代わりに購入してくださったり、SNSで呼び掛けたら購入に行くと言ってくださるようなお客様とのつながりや、そう言っていただけるだけの仕事を私どもが続けていくことだと感じています。まるかつは皆様に支えられて幸せ者です。ありがとうございます」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた