写真家・岩合光昭氏の新作写真集『ネコ日本晴れ』撮影のウラ話に驚嘆「よく餌付けしてるんじゃないかという声も聞きますが」 担当編集者にインタビュー(1/2 ページ)
岩合さんファン必見!
動物写真家・岩合光昭さんの写真集『ネコ日本晴れ』が9月12日に発売されました。価格は2420円(NFTデジタル特典付特装版は2750円)。大都市・大阪府の中心街から、瀬戸内海に浮かぶ香川県・女木島まで、さまざまな地域に根ざして生きる猫たちの姿をいきいきと写し出しています。今回、ねとらぼ生物部では同写真集の撮影ウラ話、岩合さんファン必見のエピソードなど、担当編集者・斎藤実さんにお話をたくさん伺いました。
A4の大判サイズの『ネコ日本晴れ』は、まるで写真展。猫の毛の質感や、美しい土地の魅力が伝わる岩合ワールド全開の一冊です。カバーを飾る女木島の「シロ」は、なんと等身大を超えるサイズで掲載。計136点の写真の中には見開きにまたがるA3サイズが12点もあり、見応えたっぷりです。
また同写真集は、猫専門誌『猫びより』の連載「岩合光昭の猫」の未掲載写真71点を加え、大胆に編集、再構成したもので、広島県竹原市の観光課長猫「漱石(そうせき)」や、神奈川県横須賀市にある観賞魚店の看板猫「ブータン」と「きんちゃん」など、NHK BS「岩合光昭の世界ネコ歩き」ファンにもおなじみの名物猫たちが続々登場しています。
同時発売のNFTデジタル特典付特装版は豪華ダブル特典。スマホやタブレットで楽しめるデジタル・ミニ写真集『みんな、いい顔だね。』では、本編未収録、未発表の写真12点を掲載しています。『開運猫みゃあちゃん』デジタル・パネルスタンドは、和歌山県・熊野古道の名物猫「みゃあちゃん」をフィーチャー。足を痛めた観光客の膝に乗ると歩けるようになった……など、不思議エピソードに事欠かないみゃあちゃんとAR撮影ができます(FanTopアプリ限定)。
日本晴れの空と海がまぶしい女木島の猫たちを17ページにわたってフィーチャーした同写真集。担当編集者・斎藤実さんが語る女木島の猫たちの魅力、編集者だからこそ知る、世界中の野生動物と渡り合ってきた岩合さんの“猫とのコミュニケーション術”など、ここだけの話をたっぷりご紹介します。
―― 女木島の猫をフィーチャーした経緯を教えてください
斎藤:『ネコ日本晴れ』というタイトルは女木島取材から来ています。時期は2020年晩秋の数日です。岩合さんには全部で2万カット以上撮っていただきました。たくさんの写真に抜けるようにきれいな青空が写ってました。連日秋晴れのいいお天気だったようです。
よく岩合さんの写真集の読者さんからは「猫を見て元気をもらった」という声をいただきます。「日本晴れの空」に猫というのは、まさにファンの皆さんが求めているものじゃないかなと思います。それに女木島は「岩合光昭の世界ネコ歩き」にも出ていません。熱心なファンにもきっと新鮮に映るでしょう。
何よりいい写真、いい猫が多かったです。だから、写真集のカバーフォトと始まりは女木島になりました。この写真集は迫力たっぷりの大判。そして晴れの女木島はとても美しい。是非このサイズで細部まで堪能いただきたいと思います。
―― 女木島の猫の良さは何でしょう?
斎藤:女木島では岩合さんが取材に行く少し前に、一斉TNR(※)が行われました。猫たちは気が荒くてケンカが多く、島でも問題になっていたそうです。それがTNR後はすっかり温厚になって、猫同士のケンカも減り、島民の皆さんとの関係もぐっと改善したと聞きました。今は島民の皆さんが島の猫たちを見守り、お世話をしています。
※飼い主のいない猫を捕獲して(Trap)、不妊去勢手術を行い(Neuter)、元の場所に戻す(Return)こと。猫の望まぬ妊娠・出産を防ぐことで、野良猫の数や殺処分を減らせると考えられています
そういう事情もあってか、猫と地域住民の皆さんの親密さが感じられる写真が多いです。人と写っているカットだけでなく、猫だけのカットにもあらわれています。みんなリラックスしていて自然な様子をしているんですね。他の取材地にも猫と人の親密な関係というのはあるんですけど、今回は女木島が一番のどかというか牧歌的に見えます(天気がいいのもあるかもしれませんが)。車も走っていませんしね。
また岩合さんは写真家の中でも光と陰影に対する感性が繊細で、こだわりが強い方だと思います。だから、天気のいい女木島の取材はすごく楽しかったんじゃないでしょうか。女木島の光や影の表情も豊かです。朝の澄んだ空気、日の高いお昼ごろの明るさ、夕方の西日に照らされて影が濃くなる感じ、陽光を受けてきらめく海。そして刻々と変化する光と影に包まれてのびのびと生きる猫たち。とても美しいです。島の魅力ごと楽しめると思います。
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